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2019.03.20

エースではなく、ローテーションの一人として

挑戦の裏には、必ず「確実を積み上げる人」がいます。
派手さはなくても、チームを支え、次の挑戦へつなぐ力。
挑戦を成功に導く“地味な力”の大切さを考えます。

目次

一勝九敗の現実と、プロジェクト管理の本質
失敗を防ぎ、確実に進める力
「いいくじ引いた」と言われた頃
挑戦の裏にある「地味な力」
確実を積み上げる人が、挑戦を支える
まとめ:エースではなく、ローテーションの一人として

一勝九敗の現実と、プロジェクト管理の本質

新しいことに挑戦する。
それは企業の大小を問わず、どんな組織にとっても成長の源です。
新商品を開発する、新規事業を立ち上げる──。
そこには、これまでにない試みや不確実さがつきものです。

だからこそ、こうした挑戦は「プロジェクト」と呼ぶにふさわしい。
そして、プロジェクトに失敗はつきものです。
むしろ、失敗がない挑戦など存在しないと言ってもいいでしょう。

ユニクロの柳井正氏は著書『一勝九敗』の中でこう語っています。

経営は試行錯誤の連続。
十回新しいことを始めれば、九回は失敗する。

挑戦とは、そういうものです。
けれど、九回の失敗をすべて無駄にする必要はありません。
むしろ、失敗を最小限に抑え、次の挑戦へつなげることができれば、それはもう“成功への道筋”の一部です。


失敗を防ぎ、確実に進める力

私が思う「プロジェクト管理」とは、
単にスケジュールを守ることではありません。
目的を見失わずに、チームを確実に前へ進める力のことです。

挑戦を支えるのは、派手なアイデアやスピードだけではない。
むしろ、確実に進める仕組みや、地に足のついた視点の方が重要です。

新しいことを始めると、どうしても“勢い”に流されがちです。
計画よりも熱意が先行し、想定外の問題にぶつかる。
そのたびに軌道修正が入り、気づけば当初の目的がぼやけてしまう。

だからこそ、プロジェクトには“冷静に地図を描ける人”が必要です。
失敗を未然に防ぎ、矛盾を整えながら、静かに進行を支える人。
その存在が、挑戦を現実に変えていきます。


「いいくじ引いた」と言われた頃

コンサルティング会社に勤めていた頃、新しいプロジェクトに私が配属されると、担当の執行役員がよく「いいくじ引いた」と言っていました。

それはたぶん、私が“確実にまとめるタイプ”だったからでしょう。

剛速球を投げるエースではない。
でも、乱れた試合を立て直し、最後まで形にする。
そんな役回りを任されていたように思います。

たとえるなら、エースピッチャーではなく、試合をきっちり作る“ローテーションの大切な一人”。

派手な活躍ではなくても、チームにとって欠かせない存在。
プロジェクトの成功率を少しでも上げるために、小さな矛盾を拾い、地味な調整を積み重ねる。
それが、あの頃の私の仕事でした。


挑戦の裏にある「確実さ」

経営の世界では、「挑戦」と「スピード」がよく称賛されます。
けれど、挑戦を継続できる組織ほど、その裏側に“確実に積み上げる力”を持っています。

挑戦とは、勢いではなく積み重ね。
それを支えるのが、プロジェクト管理の本質です。

すべての挑戦が成功するわけではありません。
でも、失敗を最小限にとどめ、経験として次につなげることができる会社は強い。

大切なのは、一度の勝利ではなく、チームとして「次も挑戦できる状態」を守ることです。


確実を積み上げる人が、挑戦を支える

私はエースではありません。
でも、試合をつくる“ローテーションの一人”として、確実にプロジェクトを前に進めることを誇りにしています。

どんな組織にも、こうした存在が必要です。
派手ではなくても、安定して結果を積み上げる人。
挑戦のリズムを整え、チームの呼吸を守る人。

ビジョンを掲げる人がいて、それを現実に変える人がいる。

その両方が揃って、会社の挑戦は続いていくのだと思います。


まとめ:エースではなく、ローテーションの一人として

挑戦の数だけ、失敗の数がある。
でも、確実を積み上げる人がいれば、その失敗は「次の成功の材料」になります。

だから私は、これからもこう言われたい。

「いいくじ引いた」と。

それが、私にとっての最高の褒め言葉です。


2019年:公開/2025年10月25日:加筆・再構成