2019.03.21
ホワイトボードが“会社の未来”を映す
成長している会社には共通点があります。
それは、社員が集まり、考えを交わす「ホワイトボードのある場所」。
思考を見える化することで、会社の未来が動き出します。
目次
現場を歩いて見えてきた、たった一つの共通点
成長している会社は「考える場所」を持っている
「すぐ集まり、すぐ話せる」ことが生産性を決める
「伝えた」と「伝わった」は違う
「場所」と「道具」が、スピードと理解を生む
考える場所が、人を成長させる
「止まったホワイトボード」は、止まった時間の象徴
未来は、会議室から動き出す
現場を歩いて見えてきた、たった一つの共通点
これまでに、従業員1万人を超える巨大企業から、
年商数百万円の個人事業主さんまで、
本当にたくさんの経営現場を見てきました。
大きな会社でも、
安定してしまい頭打ちになっているところがあれば、
勢いを保ちながら伸び続けているところもある。
逆に、小さな事業者さんでも、
成長が止まっているところもあれば、
ぐんぐん売上を伸ばしているところもあります。
規模も同じ、業種も同じ。
なのに、この違いはいったいどこから生まれるのか?
その答えを探して、
私は20年以上、全国の現場を歩き続けてきました。
そしてある日、ふと気づいたんです。
成長している会社には、
必ず共通して「あるもの」が存在している。
それは──
ミーティングスペースと、ホワイトボード。
成長している会社は「考える場所」を持っている
これは偶然ではありません。
成長している会社には、
社員が自然に集まり、
ホワイトボードにアイデアや数字を書きながら
「これ、どう思う?」「じゃあこうしよう!」と
前向きな会話が交わされる“考える場所”があります。
その空間には、いつも熱がある。
声が交わされ、ペンが走り、
新しい発想が生まれている。
一方で、伸び悩む会社ではどうでしょう。
会議室が物置になっていたり、
ホワイトボードが壁の飾りになっていたりします。
Todoリストが書きっぱなし。
予定表が貼られっぱなし。
誰も消さない。誰も書かない。
そんな会社のホワイトボードには、
時間の止まった空気が漂っています。
ホワイトボードには、会社の“思考の鮮度”が現れます。
消されていない文字は、
止まった思考の象徴かもしれません。
「すぐ集まり、すぐ話せる」ことが生産性を決める
私はこれまで、コンサルティングの現場で23年間、
さまざまな企業のプロジェクトを行ってきました。
その中で痛感したのは、
会議室を確保しにくい会社ほど、進行が遅れるという事実です。
プロジェクトがハードであればあるほど、
メンバー間の意思疎通と問題解決のスピードが命。
そのために欠かせないのが、
「すぐ集まり、すぐ話せる場所」なんです。
ちょっとした疑問や違和感を、
すぐにホワイトボードの前で共有できるチームは、
圧倒的に強い。
情報共有の速さが、
意思決定の速さに直結するからです。
逆に、会議室の予定を調整して、
資料を作り込んでからようやく話し合う──
そんなやり方では、
気づいた時にはチャンスを逃してしまいます。
経営も現場も、
動いているときに考えることが大切なんです。
「伝えた」と「伝わった」は違う
人数が多いのにホワイトボードを使わず、
言葉だけが飛び交う会議を何度も見てきました。
それはまるで、言葉が宙を舞う“空中戦”。
参加者の理解度がバラバラなまま、
「たぶん伝わっただろう」で終わってしまう。
でも、そこで図や表を書き出すだけで、
「ああ、そういうことか!」と全員の理解が一気にそろう。
まさに──
空中戦は、一見に如かず。
頭の中の情報を見える化することで、
会議の質は劇的に変わります。
ホワイトボードに書くという行為は、
単なるメモではなく、思考の共有なんです。
「場所」と「道具」が、スピードと理解を生む
売上を毎年20%ずつ伸ばしている
沖縄県内のある企業の社長さんが、
こんな話をしてくれました。
社員からは朝令暮改って思われてるかもしれないけど、
思いついたら関係する社員をサッと集めて、
ホワイトボードにパパッと書いて説明する。
指示はその場で、ちゃんと理解させるようにしている。
スピードと理解。
それを支えているのが、「場所」と「道具」です。
ホワイトボードとミーティングスペースは、
単なる備品ではありません。
それは、会社の思考を映す鏡であり、
未来を描くためのステージなのです。
考える場所が、人を成長させる
考える場所がある会社では、
社員が自分の意見を言いやすくなり、
経営者も一方的な指示ではなく、
対話を通じて判断するようになります。
つまり、ホワイトボードの前では、
立場や役職を超えた「思考の交流」が起こる。
この“考える文化”が根づく会社は、
問題が起きても立ち止まらず、
むしろ課題を糧にして成長していくんです。
そして、こうした文化を支えるのは、
日常の中のちょっとした習慣。
・いつでも使えるようにボードを空けておく
・使い終わったら必ず消す
・気づいたらすぐ集まって話す
それだけで、会社の空気は変わります。
小さな「考える習慣」が、
大きな変化を生み出すんです。
「止まったホワイトボード」は、止まった時間の象徴
あなたの会社のホワイトボードには、
今どんな言葉が書かれていますか?
もし、最後に消したのが数週間前なら、
そこに“止まった時間”があるかもしれません。
書かれた文字が古いほど、
思考の鮮度は失われていきます。
逆に、毎日のように文字が入れ替わるホワイトボードは、
会社の脳が活発に働いている証拠です。
経営とは、未来を描く行為です。
その未来は、
ホワイトボードの上で最初に形になります。
未来は、会議室から動き出す
会議室やホワイトボードは、
単なる設備ではありません。
そこは、会社の「思考の発電所」。
経営者と社員がエネルギーを生み出し、
未来を形にしていく場所です。
だからこそ、
“考える場所”と“考える時間”を、同時に動かすこと。
それが、会社をもう一段上のステージへと導く第一歩です。
あなたの会社では、
「考える場所」と「考える時間」、
どちらが先に動き出しますか?
2019年:公開/2025年11月3日:加筆・再構成