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2019.05.17

朝令暮改は悪か?経営判断をブレにしない条件

昨日は「これで行こう」と決めたのに、翌朝には「やはり違う」と感じる。経営をしていれば、そんな場面は珍しくありません。変化の速い環境では、判断を修正すること自体はむしろ健全です。ただし、やり方を間違えると「柔軟さ」は「気まぐれ」に見えてしまう。この違いはどこから生まれるのでしょうか。

目次

朝令暮改は本当に悪なのか
判断を変えるスピードが求められる時代
理由なき撤回が現場にもたらすもの
ブレてはいけない「会社の芯」とは何か
朝令暮改を「進化」に変えるために

朝令暮改は本当に悪なのか

「えっ、昨日と言っていることが違いませんか?」
現場でこんな空気が流れた経験をお持ちの経営者は少なくないと思います。一般的には、朝令暮改という言葉には否定的な響きがあります。しかし私は、朝令暮改そのものが悪いとは考えていません。

むしろ、「これは違う」と気づいたにもかかわらず、過去の判断やメンツに縛られて修正できないことのほうが、経営としては大きなリスクではないでしょうか。オーナー経営者にとって、決断を変える速さは大きな強みでもあります。

判断を変えるスピードが求められる時代

市場の変化は速く、お客さんの反応も即座に返ってきます。数か月前に立てた仮説が、すでに通用しなくなっていることも珍しくありません。こうした環境では、「一度決めたから変えない」という姿勢が、必ずしも合理的とは言えないでしょう。

やってみて、違うとわかったらやめる。別の選択肢に切り替える。この柔軟さは、経営者に求められる重要な判断力の一部だと考えています。

理由なき撤回が現場にもたらすもの

ただし、ここには大きな落とし穴があります。それは、判断を撤回するときに「理由が共有されていない」ケースです。

「やってみたが、想定以上にコストがかかった」
「お客さんの反応が思ったほど良くなかった」

説明は完璧である必要はありません。しかし、「考えた結果、変更している」ということが伝わらないと、現場は混乱します。理由の見えない朝令暮改は、現場の信頼を少しずつ確実に削っていきます。

ブレてはいけない「会社の芯」とは何か

もう一つ、さらに重要な視点があります。それは、判断の変更が「会社として大切にしている価値観」からズレていないか、という点です。

理念、社是、ミッション、ビジョン、バリュー。呼び方は会社によってさまざまですが、要するに「この会社は何を大切にしているのか」という芯の部分です。

方針や施策は変わっても構いません。しかし、その修正が、普段語っている価値観と食い違っていたらどうでしょうか。現場は次第に、「この会社はどこに向かっているのだろう」と感じ始めます。

朝令暮改を「進化」に変えるために

問題なのは朝令暮改そのものではなく、価値観から外れた朝令暮改です。
間違ったと思ったら決断は早く変える。その際には、理由をきちんと伝える。そして、会社として大切にしている「芯」からは離れない。

スピードと一貫性。この両立ができたとき、朝令暮改は「ブレ」ではなく「進化」になります。

最近のご自身の決断は、会社の芯につながっているでしょうか。そんな視点で一度振り返ってみるのも、意味のある時間かもしれません。


2019年:公開
2025年12月30日:大幅に加筆・再構成