2019.09.02
賛成しなければ成立しない
こんにちは。
経営の専門家、伴走舎 牧野です。
株式全体の3分の1以上を持っている株主は「拒否権」を持っていると言うけど、どういうこと?という質問をいただきました。
「拒否権」というと物々しいですね。「何を拒否できるんだ?」とか「拒否ばっかりされたら、なんにもできないじゃん!」とか思ってしまいますよね。
ここからは、発行済の株式がすべて普通株を前提に説明します。
ここで「拒否権」といわれているのは、正しくは「株主総会に全株主が出席して残りのすべての株主が賛成しても、その株主が賛成しなければ議案が成立しない」とい意味です。
3分の1は33.3…..%ですね。ですので全株式の34%を持っていれば、株主総会で賛成しなければ議案を成立させないようにすることができるわけです。
「全体の34%持っていたって、過半数が賛成すれば成立するじゃん!」って思いますよね。株主総会の決議には普通決議と特別決議があって、過半数の賛成で成立するのは普通決議、3分の2以上の賛成で成立するのが特別決議となっています。
特別決議が必要な議決事項は会社法309条2項で定められており、これらを決定するには34%の株式を持っている株主の賛成が必要になるのです。
特別決議が必要な事項の主なものをご紹介しておくと
(1)会社の基盤となるものを変更する場合
・資本金減額の実施、定款の変更、事業譲渡や解散の実施などする場合。
・合併や株式交換、株式移転や会社分割等のM&Aを実施する場合。
(2)株主の地位が変更される場合
・全部取得条項付種類株式の取得や株式の売り渡し請求を決議する場合。
・株式合併を実施する場合。
(3)株主の損得に関わる場合
・譲渡制限株式の買い取りに関する内容決定や自己株式取得をする場合。
・株主への配当を現物で実施する場合。
(4)新規に株式を発行する場合
・第三者割当増資をする場合。
・新株予約権を発行する場合。
(5)経営陣を変更する場合。
・監査役を解任する場合。
(6)株主に大きな利害が発生する可能性がある場合
・経営陣の責任の一部を免除する場合。
参考になりましたでしょうか。