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2019.12.13

チップをすべて賭けるか?

大塚家具がヤマダ電機の傘下に入ることになりました。

高級家具を会員制で販売するというスタイルを確立して成長した大塚家具ですが、経営方針を巡る対立から創業者である父の勝久さんは会社を追われ、娘の久美子さんが経営権を握り、それまでの会員制を捨てて、店舗スタイルの転換を進めました。

「客層を落としてはダメ。価格を下げたら二度と戻れなくなる」と当時父の勝久氏はテレビの取材に答えていましたが、その言葉どおりニトリやイケアとの競争に巻き込まれ2016年から3期連続の最終赤字。絶えず資金不安を抱えながらスポンサー探しに追われ、ついに51%の株式をヤマダ電機が取得し、大塚家具はヤマダ電機の子会社となりました。

一方、父勝久さんは、従来の大塚家具のスタイルを堅持した「匠大塚」を創業し、順調に業績を伸ばしています。

高級家具という業界では他の追随を許さないポジションを確立しているのに、なぜ競争の激しい市場にカジを切るのか。当時、私は不安に思っていました。

これまで泳いでいた海とは違う海へ会社を丸ごと飛び込ませてしまい、うまく泳げなかったので会社ごと救助船に拾ってもらった。そんな構図が浮かんできます。

別会社をつくるなり、別会社を作らずとも別ブランドでやってみるということは検討したのでしょうが、そうした手持ちのチップの一部だけ賭けることをせず、久美子さんはなぜすべてのチップを賭けなければならなかったのでしょうか。