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2020.05.14

ぬくもりは伝わらなくても、熱さは伝わるよ。

人が移動を控えるようになり、仕事やプライベートに限らずオンラインでのコミュニケーションが日常的になっています。「Zoom 飲み」なんてのがトレンドとしてマスコミなんかでも取り上げられていますね。その一方で「オンラインでは、ぬくもりがない」とか「息づかいが伝わらない」といった意見もマスコミでは聞かれます。

クラウドなど存在もしない20年以上前のコンサルティング会社時代、自前の情報システムセンターを地方の工場に置いている製造業のクライアントさんが多く、プロジェクトルームのある東京との間でコミュニケーションが必要でした。当時はインターネットに限らず安定した高速回線はとんでもなく高価で、動画を送るのには恐ろしく時間がかかる時代。それでも大企業さんですからINS64(NTTのISDN回線。デジタル回線を2本バルクにしても今では考えられない128kbps。若い人は知ってるかなぁ)を使い、当時としては高価なテレビ会議システムをお持ちでしたので、それを利用して明石や仙台といった地方にいる情報システム部門の方と毎週会議をしていました。

距離は何100キロと離れていても、プロジェクトをなんとしても成功させたい、新システムを無事に稼働させたい、という同じ目標を共有する熱さみたいなものは感じていました。会議ではたまにはエキサイトすることもありましたし、もちろん、相手の人柄も伝わってきます。

そうした会議を数ヶ月続けた後に「牧野さん、やっぱり現地を見てよ」ということになり、工場へ出張するのですが、「画面で見るより小柄だな」といった感想はあるものの、初対面という感じはまったくなく、現地を案内してもらう間も、会議の間も、いつもどおりでした。

夜は居酒屋で地元の名物食べながら生ビールをグイッってやりながら、プロジェクトのことを熱く語り合いましたが、初対面の人と飲んでる感じは一切なかったです。宿泊できずに日帰りするケースでは、リアルでは初対面にもかかわらず「え〜、牧野さん、泊まっていかないのぉ!」って感じです。

それから20年以上経ち、インターネットは高速化され、画像の処理技術が向上してZoomのようなサービスが普及し、コロナ以前にはすでにオンラインのコミュニケーションは一般的なものになっています。

私も、昨年、Zoomで開かれる勉強会に参加し、そこで知り合った同じような目標を持つ人たちとZoomで雑談したり、相談したり、飲み会したりと、まだ一度も会ったことない人たちなのに、励ましたり、励まされたりしてこの一年を過ごしてきました。現在でもリアルではまだお会いしていませんが、困ったときには助けていただいています。

お互いの体温は当然ながら伝わりませんが、心の熱さとか人柄はしっかり伝わる、というのがこの20年、オンラインでのコミュニケーションをとり続けてきた経験から実感しています。