ブログ

2020.07.15

経営者は何を残す?

一昨日は、もう4年ほど続けている月に一度の勉強会でした。
勉強会よりもそのあとの懇親会の方を私は楽しみにしています。

その懇親会の席で「尊敬する経営者は誰か?」という話になりました。

この会のメンバーは沖縄県を代表するような企業の取締役や部長といった方々です。ご自分の会社の創業者や歴代の経営者の名前が挙がりました。そうした名前の中には、朝の連ドラにも登場した歴史上の人物や、全国組織の経営塾を開いておられるカリスマのような方もいらっしゃいます。そういう名前があがり始めると、本田宗一郎とか松下幸之助、スティーブ・ジョブズといった名前も出てきます。

このとき私がふと思ったのが「こういうときに豊田佐吉は出てこないよなぁ」


みなさん「豊田佐吉」って誰だかわかります?


あのトヨタの創業者です。「とよださきち」と読みます。
「とよた」ではなく「とよだ」です。

さらに、トヨタ自動車が織物の自動機械メーカーの自動車部から始まったということもあまりご存知ないようでした。

トヨタ自動車は豊田自動織機という会社の自動車部として産声を上げ、現在に至ります。現在でも豊田自動織機はトヨタ自動車の大株主(第2位)で、トヨタグループ各社の株式も保有している本家ともいえる企業です。

豊田佐吉は織機をはじめとした発明家で、経営は娘婿の豊田利三郎、息子の豊田喜一郎が担いましたが、この3人はあのトヨタの礎を築いていながら、本田宗一郎の知名度やカリスマ性とは比べものになりません。

これって、経営者が残したものの違いかも知れませんね。

それは、

との違いってことではないでしょうか。

名古屋にトヨタ産業技術記念館という博物館があるのをご存知でしょうか。とても大きな博物館で、ゆっくり見て回ると1日がかりになると思います。

ここでは、繊維と自動車という2つの産業の技術史を通して、「研究と創造の精神」と「モノづくり」の大切さを社会に伝えようとしています。

ガイドツアーもありますし、館内のあちこちにはスタッフの方々が配置されていて、質問するととても丁寧に教えていただけます。

この博物館のスタッフの方々は若い方が多く、そのほとんどがトヨタグループ各社からの出向なんだそうです。ここで豊田佐吉が残した「研究と創造の精神」と「モノづくり」の大切さを学び、それをアウトプットとして来館するお客様に伝え、そして数年後に各自のいたグループ企業へと伝道師として散っていく。

トヨタは創業者の精神や理念を引き継いでいこうとしているんだな、とこのとき理解しました。