2020.11.05
正義はホントに我にある?
「正義は我にありっ!」は、ドラマ「下町ロケット」の主人公「佃航平」がよく使うセリフですね。
ドラマに出てきたような民事訴訟の場合、正義は自分にあると信じて戦わなければなりません。
私も中小企業のサラリーマン時代、勤めていた会社が7千万円近い賠償金に加え、長年使い続けてお客様にも親しまれてきた商号・商品名の使用を止めるよう訴えられたことがあります。賠償金はなんとかなったとしても、創業以来四半世紀使い続けていた商号と商品名が使えなくなることは、商売ができなくなることを意味します。
この裁判を会社でたった一人の担当者として一手に引き受けていた私は、まさに「正義は我にあり」という心境で130を超える証拠書類や反論書類の作成をやり抜きました。
ただ、ふだんの商売や仕事において「正義は我にあり」は持ち込まない方がいいでしょう。
人が三人以上集まれば派閥ができる、と言われるくらい人の意見や考え方は千差万別です。
組織の中で新しいことを始めようとすれば、反対意見の持ち主はいるものです。「どうしてわからないんだ!」と怒ってみても仕方がありません。
「正義は我にあり」で対応しても対立を深めるだけで、自分が少数派であれば逆に孤立してしまいます。どうしても必要なことであれば、時間をかけて粘り強く続けていれば、理解者が増えてくるでしょう。
「納得できるものができた」と自信をもって売り出した商品が全く売れず「どうしてこの商品の良さがわからないんだ!」とマーケットを恨んでも仕方がありません。商品の魅力の伝え方が間違っていたり、その商品を理解できる人のもとにまだ届いていないかもしれません。売り方、発信の仕方に工夫を重ねて商品を伝えて行く必要があるでしょう。
実は、私もつい、「正義は我にあり」のような対立を生む発言や行動をしてしまうことがあります。
いやもう「あーっ、しまったー!」と後になって頭を抱えてまうことしきりです。
「伝わらないかぁ。どうやったら伝わるかなぁ。」
こんなふうに、ゆったり構えられるおおらかさを身につけたいものです。