2021.04.19
あなた、当事者ですよ。
「炎上してる現場の真っただ中にいる人ほど当事者意識がないんだよね」という感想をコンサルティング会社時代、豊富な経験を持つ同僚から聞いたことがあります。
当時、役員から呼び出されて「うちの社長が先方の社長に対して、なんとかするとコミットしてる。とにかく明日から行ってなんとかしてこい。」みたいな感じでその同僚と一緒に送り出されたことが何度かあります。実際に現場に行ってみると、これまでに見たことないようなひどい状況だったりするんですよね。
でも、そのプロジェクトで仕事をしている顔見知りの後輩たちから「お久しぶりでーす。牧野さんたちが直々に出てくるなんて、何かあったんですかぁ?」なんて声をかけらたものです。
そうした現場の反応に接して出てきたのが冒頭にご紹介した同僚の感想です。
経営の現場でもそれに近いものを見かけます。
自社製品に関して行政から改善命令を受けたある会社の社長さん。
記者会見まで行われて社名を公表され、地方ローカルとはいえマスコミにも取り上げられて会社としては大ピンチです。
そんなピンチにこの社長さんは「どうしてこういうことになったんだ!?」と他の役員さんと責任をなすりつけあったり、スタッフの方々に「お前たちは何をしていたんだ!」と叱責するばかり。
「社長も含めこの経営陣はリスクは承知していたけど、放置していたんだな」というのがこのやり取りを聞いていてわかりました。
その後の改善措置として実施する内容の検討はスタッフまかせ。
スタッフさんが考えた対策とそれにかかる費用について「これで行政に報告します」と説明して、支出の承認を求めたところ、その社長さんから返ってきたのは、
わかった。それでやっとけ。
しかしお前らが考えることは、いつも金のかかることばっかりやな。
それを聞いて私もぽかんと口が開いたままになってしまいました。
ひどい経営者だと言ってしまえばそれまでです。
それよりも、この社長がこうした行動・言動をするのはなぜか?
おそらく、自分が当事者だという意識がなかったのでは。
普段から会社に降りかかる様々な問題の原因を会社の外の世界に求めたり、社員に求めたりしているんじゃないでしょうか。
つまり、「最終的な責任は、社長の自分にある」という意識がないのでは。
この出来事を振り返り、そう感じました。