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2021.04.20

補助金は誰のため?

ある経営者さんから、採択済みで事業に着手している補助金について相談がありました。
私が補助金の申請を扱わないことを知っている方なので、地元の中小企業診断士さんにお願いして申請書の事業計画を書いてもらったとのこと。

そろそろ完了報告のことを考えなければならない時期になって、申請書を書いてくれた診断士さんとの間に申請内容の認識の違いが表面化してきたというのです。

補助金は誰のためにあるのか。
極論を言ってしまえば、政府や行政機関が企図する政策を推し進めるためです。

補助金の公募要領には、対象となる事業者、そして、対象となる事業、が決められています。
つまり、「産業をこういう方向へ持っていきたいので、それに沿ったことをしてくれる事業者さんには補助金を出すことで推進しよう」ということが公募要領に示されていることになります。

また、政策として推進しなくなったものは補助金の予算が減額されるか、廃止されていきます。

ですので、

あなたがやりたいことをやるために補助金が出てくるわけではない

ということを理解しておくべきです。

この診断士さんも商売でやっており、採択されなければタダ働きになってしまいます。だから、手数料を確実に稼ぐためには採択される申請書にしたいですよね。そうすると、社長さんの意図を汲み取りつつも、公募要領に沿った形で事業の立て付けを書かざるを得ません。
もちろん、事前に診断士さんと社長さんの間で認識合わせはされたようです。が、社長さんの「やりたいこと」への意識が先行して、詰めておくべき認識の違いに目が行かなかったようです。

補助金の申請が採択されたものの、
・「こんなの自分がやりたいことじゃない」とやる気をなくして立ち消え
・なんとか最後まで完了させたけど、その開発した事業や商品はそのまま塩漬け
・購入した設備や機械が使われずにホコリをかぶっている
といった事例はたくさん見てきましたし、よく耳にします。

来月以降、補助金の公募が増えてくると思います。
申請前にもう一度確認してください。
やりたいことと公募要領の間でつけた折り合いは、やる気をなくさず納得できるものなのかどうか。