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2021.04.26

それでよかったと思えるように取り組む

昨年末に行われたスピードスケートの全日本選手権で、国内主要大会では史上初となる全5種目制覇を達成した高木美帆選手。
500mは平昌五輪金メダルの小平奈緒選手を破り、1000m、5000mはリンクレコード、1500m、3000mは国内最高記録を出すなど、もう完全試合といっても過言ではないくらいの成績でした。

2020-21シーズンは、ワールドカップや世界選手権など国際大会が軒並み中止されるか、開催されたとしても日本スケート連盟が選手の派遣を見送るなど、日本選手は国際大会に一つも出場することができなくなってしまいました。

国際大会に出場できないことがどういう意味を持つか。

清水宏保さん(オリンピックに4回出場、長野五輪では500mで金メダル)によれば、オリンピックでメダルを争う選手にとってはとても厳しい状況なんだそうです。
それは、2022年の北京オリンピックのちょうど1年前のシーズンというのに、ライバルがどれくらい仕上げてきているか、自分との差がどれくらいあるかを直に確かめられないから。

来年のオリンピックを前に海外の有力選手と直接競うことなく、国内で過ごさなければならない高木美帆選手はこう決断します。

アスリートとしてどうあるべきか考えていた。
いつ次レースができなくなるか分からないなか、自分にとって何が新しい挑戦か考えた1つが5種目全部出ることだった。
精一杯やれるときに頑張るしかない。

その結果は先述のとおり。
彼女が出した記録は、今季の世界選手権の優勝タイムを上回るものもあったようです。

この結果について、国内でずっとやれたからこそ違う挑戦ができた、結果的に国内にとどまってよかったんじゃないのか、という声に対して高木美帆さんはこう答えます。

「国内で戦うことになって良かった」というより、
「国内で戦うことになったからこそ、それでよかった」と思えるように取り組んできた。

状況に身を任せるのではなく、後悔しないように状況に対処する、といことでしょうか。