2021.06.09
タフさに隠された脆さ
プロテニス選手大坂なおみさんの「うつの症状に悩まされていた」という告白に驚いた人は多いと思います。
メンタル的にタフでなければ勝ち上がることができないのがプロアスリート、と私たちは思いがちです。
でも、大坂さんの告白に対して数多くのアスリートから共感の声が寄せられています。元陸上選手の為末大さんは「心身ともに強靭なイメージがあるアスリートですが、実際には日常的に強い重圧に晒されおり精神的に不安定です。」と日本経済新聞電子版でコメントしています。
コンサルティング会社時代、新規参入した他社が進めるプロジェクトから救援要請を受けて、地方のプロジェクトに入ったことがあります。なかなか厳しいお客さんを相手に新規参入したために、経験の少なさからプロジェクトが行き詰まっているとのことでした。
レスキューに入る我々も、プロジェクトに向けられるお客さんからの視線と、他社の既存メンバーからの「お前ら何しにきとんねん?」という2つの厳しい視線にさらされ、非常に高いプレッシャーとストレスを受け続けます。しかも、昼間はプロジェクトに入って現状を調査し、深夜に集まってミーティングを行い「じゃあこの点について明日の朝までに」なんて感じの連日のハードスケジュール。
私なんて「ひひぃ〜」って感じで音を上げる寸前。
こういうレスキュー的なミッションですから、メンバーの中には若手のエース級が何人もいました。困難な状況にもひるまずガンガン突入していく彼らを見ていて「タフだなぁ」と10歳ほど年下の彼らに尊敬の念すら抱いていました。
また、彼らは身内にも厳しく「牧野さん、ここをちゃんと押さえといてもらわなきゃ困りますよ」とか「牧野さん、あそこでヘタ打ったでしょ。マジむかつきました。」なんて言われて、ひえぇぇ。
このプロジェクトを終えて数年後、彼らと久しぶりに再開したときに「君たち、あのときタフだったよねぇ。オレ、尊敬してたもん」なんて話をしたら、彼らから驚く答えが。
「牧野さん、オレたちだってあんとき精神的に壊れるんじゃないかってくらいの状態だったんですよ」
高いプレッシャーとストレスに晒され続けるというのは、タフなように見える人たちでも私たちと同じようにシンドイんだということをこのとき知りました。(「タフな人」という印象を持たれていた優秀な人たちが、心の不調で最前線を離脱するのも見ています)
このとき、私たちがどうやってこの困難な状況を乗り切っていったかというと…
状況を客観的に分析して、論理的(ロジカル)に考えて出した解決策を、論理的(ロジカル)に説明する。
そしてその解決策を自分たちがリードしながら論理に従って(ロジカルに)実行する。
これをお客様と他社の既存メンバーに対して地道に繰り返して両者からの信頼を勝ち取りました。
感情が先走る状況では、その感情に理解を示しつつも、論理的(ロジカル)に迫る。
これです。
順調にお申し込みをいただいている論理的思考(ロジカルシンキング)のセミナーは、10日開催分を昨日締め切りました。
17日(木)開催分はまだお席がございます。
お申し込みはお早めに。