2021.07.14
誰でもなれる2種類の専門家
脳という臓器は、重さでは全体重の2%ぐらいしかないのに、基礎的なカロリー消費量(基礎代謝量)となると20%も占めています。囲碁将棋のプロ棋士は一局で体重が 2、3キロ減る人も少なくないといいますから、脳はとてもエネルギーを必要とする臓器なんですね。
1秒でも長く生き延びようとするのが動物の本能です。だから、人間の本能は脳をできるだけ使わないようにしてカロリーの消費を押さえているのかもしれません。それが前回お伝えした、人が現状維持を好む理由なのかもしれませんね。
成功体験も脳の活動の節約の一種ではないでしょうか。年齢とともに経験が蓄積されます。新しい機会に対しても過去の成功体験をあてはめて処理することで脳の活動を抑えているんじゃないかと。
日露戦争、連合艦隊によるロシアのバルチック艦隊との海戦。その勝利の前提ともいえた旅順攻略戦。最初に立てた作戦に固執するあまり、戦場を長期化させて次々と無駄に兵士を死なせていく乃木軍作戦参謀たち。しびれを切らした児玉源太郎は直接現地に赴き、到着するなり発したこんな言葉があります。
諸君は過去の専門家であるかもしれん。
司馬遼太郎「坂の上の雲」文春文庫第5巻 P.99
しかし、明日の専門家ではない。
確かに、成功体験が多ければ多い人ほど過去の専門家といえるかもしれません。
成功体験に頼ることは明日の専門家ではなくなることを意味します。
過去の専門家と明日の専門家。
あなたはどちらの専門家になりたいですか?