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2026.01.01

迷路に出る前で、立ち止まっていた

もう一度、あの本を聴き終えたあとで手が止まった

2000年ごろに一度読んだはずの本を、四半世紀たってもう一度手に取りました。正確には、Audibleのおすすめに流れてきて、なんとなく再生した、というほうが近いでしょうか。内容はほとんど覚えていませんでしたし、「昔流行った寓話的なビジネス書」くらいの距離感で聴き始めています。

ところが、聴き終えたあと、しばらく動けなくなりました。止まったのは時間というより、頭と体の間にある何かです。これは当時読む本ではなく、「今」読む本だったのだな、と、遅れて腑に落ちてきました。

改めて向き合ったのは、スペンサー・ジョンソンの『チーズはどこへ消えた?』です。物語としてはとてもシンプルなのに、今の自分の足元にだけ、やけに重く引っかかってきました。

目次

もう一度、あの本を聴き終えたあとで手が止まった
しがみつきたくなるものほど、手放しにくい
環境は音を立てずに変わっていく
迷路に一歩出る、という小さな選択

しがみつきたくなるものほど、手放しにくい

特に胸がざわっとしたのが、物語の中で壁に刻まれる言葉でした。

この一文は、説明も比喩も要らないほど、そのままこちらの事情に触れてきます。

会社でも、仕事でも、人生でも、似たような場面はいくらでも思い当たりますよね。うまくいっていたやり方、慣れ親しんだ取引先、かつて正解だった成功体験。時間をかけて積み上げてきたものほど、「自分のチーズ」になっていきます。

大事にしてきたからこそ、手放すことが怖くなる。その感覚自体は、とても自然なものです。問題は、その自然さが、変化への反応を遅らせてしまうところにあります。

環境は音を立てずに変わっていく

この本が容赦ないのは、

と、かなり直接的な言葉で突きつけてくる点でしょう。少し怖さを感じるのも無理はありません。

ただ、読み返してみて強く残ったのは、「変化は劇的な音を立てて起こるわけではない」という感触でした。環境は静かに、しかし確実に変わっていきます。気づいたときには、いつもの場所にあったはずのチーズが、もう存在しない。

この「気づいたときには」という部分が厄介です。変化の最中にいるときほど、人はそれを変化として認識しにくい。だからこそ、しがみついている感覚のほうが、よほどリアルに感じられてしまいます。

迷路に一歩出る、という小さな選択

一方で、この本は怖さだけで終わらせません。

読み返すほどに、これらの言葉は年の初めにふさわしい温度を持っていました。

変わることには、やはり勇気がいります。不安もありますし、失敗する可能性も消えません。ただ、変わらないことのリスクは、思っている以上に大きい。その事実だけは、静かに受け取っておきたいところです。

大きく変わる必要はありません。全部を捨てる必要もない。ただ、迷路に一歩、足を踏み出す。それだけでいい、という感覚です。派手ではなくても、止まらないこと。才能とは継続する力であり、毎日1%の変化を重ねていくこと。その姿勢そのものが、経営者としても、一人の人間としても、いちばん強い生き方なのだと思えました。


公開・更新履歴
2026年01月01日:公開