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やれなかったの?やらなかったの?

やれなかったの?やらなかったの?

前回のこのメルマガで書いた、上杉鷹山の危機管理。昨年の第1波が始まったときから次々と素早い経営判断を下し続けていて、「すごいなぁ」と尊敬している経営者さんからメールでご感想をいただきました。そのメールの最後に添えられた上杉鷹山のこの言葉。 為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり上杉鷹山 ガーン。。。今回のネタ用にとっておいたんですけど、先回りされてしまいました。(涙) 若い人のために、現代の話し言葉でいうならば、 やれば実現できるし、やらなきゃ実現できないよね、どんなことでも。つまり、実現できないのは、やらないからだよ。 といったところでしょうか。 私自身もこれまで、理由をいろいろとつけて「だからできなかったんだよ」と自分を納得させてきたことがたくさんあります。 そんな私をあざ笑うかのようなこの言葉。 やれなかったやらなかったどっちかな相田みつを いかがです?

上杉鷹山の危機管理

上杉鷹山の危機管理

上杉鷹山というと「改革」の人として紹介されますが、どんな人かほとんど知りませんでした。藩士なのかと思っていたのですが、米沢藩9代目の藩主だったんですね。 しかも、本人は九州は日向の高鍋藩6代藩主の次男として生まれ、母方の祖母が米沢藩4代藩主の娘だったことが縁で、10歳のときに米沢藩8代藩主重定の養子となります。そして、17歳のときに第9代米沢藩主に。 当時の米沢藩の財政は危機的な状況を呈しており、藩の財政改革が鷹山に託されました。期待されたとおり、若くして藩主となった上杉鷹山は次々と改革の手を打ちます。 しかしながら、米沢藩は藩祖を平安時代後期にまで遡れる名家。代々仕える重臣たちの中には、小藩の次男坊から養子にやってきた鷹山を軽くみる人たちもおり、改革に大反対し、鷹山に隠居を迫る者たちが出てきました。 詳細は省きますが、この反対勢力を排除することで、米沢藩はさらなる改革に突き進みます。その重要な改革の一つが、藩士たちへの収支の公開です。 それまでの改革で鷹山は、収支を明らかにした上で、予算制度を取り入れてきました。この反対勢力の騒動を経て、さらに一歩改革を進めて、収支を藩士たちに公開したのです。 ここで取り上げたいのは、会社の数字を社員にオープンにするかどうか、といったことではありません。 危機に際して、危機感をいかに共有するか。 これです。組織一丸となって危機を乗り切らなければならないとき、危機感が全員に共有されていなければなりません。上杉鷹山にとっての危機は、破綻しかけている藩財政でした。だから収支を藩士に公開したのでしょう。 組織が危機に見舞われたとき、どうやってメンバーと危機感を共有するか。大切で難しいテーマですね。

バトンパス

バトンパス

スズキを世界的な自動車メーカーに育て上げた鈴木修会長が先週、引退を表明しました。あとを長男の鈴木俊宏さんをはじめとする経営陣に託し、自らは相談役に退きます。 息子にバトンを渡したあとの潔さといえば、ジャパネットたかたの創業者である髙田明さんでしょう。社長の座を長男の高田旭人さんに譲ると同時に、会社から籍を完全に抜いてしまいました。社長退任のその日に、社内の自分の部屋を片付ける髙田明さんをテレビのドキュメンタリーで見たことがあります。 大塚家具は、経営権を創業者の父と娘で争い、ついにお父さんは会社から追い出されてしましたね。 中小企業でよく見かけるのが、社長の座を息子や娘に譲ったものの、父親が会長としてとどまり、経営にいちいち口を出すケース。「自分はこうしたいけど、会長はおそらく反対するだろうから…」という愚痴をどれだけ聞いたことか。たいていの場合、会長に反対されないよう中途半端な改革でお茶を濁して会社は迷走をつづけ、新社長が経営者として成長する機会は奪われます。 「まだまだ危なっかしくて任せてられない」なんて言うのなら、後継者育成の仕方が下手だったのか、バトンを渡すタイミングを間違えた自分を責めてはどうでしょう? せめて、意見を求めて相談されるまでは口を出さない、ぐらいの覚悟でバトンを渡しませんか?

インフレを考える

インフレを考える

昨日の新聞によれば、食品価格が世界的に高騰しているそうです。 原因としては異常気象もありますが、コロナ禍の移動制限で農業従事者が減少しているのも一因とのこと。日米欧では収穫などの人手の多くを外国人労働者に依存しているためだそうです。さらには、貿易自由化で世界的に食品の輸入依存度が上がっている傾向も背景にあるとか。 この新聞では、これらを「インフレ圧力」と称していました。供給不足が食品のインフレを引き起こしているとうことです。 インフレは、需要が供給を上回る(需要>供給)ことで起きる現象ですので、経済全体としてはデフレ(需要<供給)であっても、このようにある品目で需給関係のバランスが崩れると局所的にはインフレということは起こりえます。 みなさんにとっても最近の身の回りのインフレ現象といえば、マスク。昨年、世界的にマスクの需要が急激に跳ね上がり、供給のほとんどを輸入に依存していたため国内生産も間に合わず、連日報道される社会現象となるぐらいマスクが高騰しました。あれは、まさにインフレです。逆に、布マスクも普及し始め不織布マスクの国内生産も始まって需要が落ち着いてくると、今度は輸入不織布マスクの在庫がダブつき、投げ売りされるようになりました。まさに、デフレです。 中小零細事業者にとって生産能力は限られていますから、自社製品に人気が出て需要が生産能力を上回れば、インフレになるでしょう。「予約しても○ヶ月待ち」「開店前から行列」なんてよく聞きますよね。 ただ、設備投資をして増産しすぎたり他社も真似して参入することで需要を上回ったり、人気が一時的なもので需要が減少すれば、今度はデフレになります。(高級食パンもそんな兆しが出てきていないですかね。) 経済も商売も、適度なインフレが一番いいのですが… じゃぁ、どうすんのよ! 「他社がマネしにくい永く愛される商品やサービスを適正な価格で」が王道です。 それが難しいんだよ!  ですよね。でも、難しくても道はどこかに必ずあります。

ロスはこぼれる利益

ロスはこぼれる利益

レンゴーは、ダンボールをはじめとする紙製包装資材の企業です。この会社の代表取締役会長兼CEOである大坪清さんの「私の履歴書」を読みました。 大学を卒業して住友商事に入社した大坪さんは、3ヶ月後に摂津板紙という板紙のメーカーへの出向を命じられます。その摂津板紙の創業者である増田義雄社長からビジネスの多くのことを学んだそうです。 増田社長の口癖が ロスはこぼれる利益である だったそうです。 ロスはよくないものだと分かっていますが「利益がこぼれ落ちてる」と言われるとドキッとしませんか? 原材料を扱う現場では、歩留まりとしてロスを極力減らそうと努力しますよね。食品では「フードロス」として社会的に取り組む課題になっていますね。 目に見えるものや金額換算できるものについてはロスを減らそうとする意識が働くでしょう。では、サービス業ではどうでしょう?製造業であっても、間接部門や事務部門ではどうでしょう? 目に見えないものや金額換算できないロスもありますよね。こうしたロスも放置すれば、利益がこぼれ落ちていくことになるんでしょうね。