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差を生む小さな気遣い

差を生む小さな気遣い

引っ越しは人間相手のサービスであり、こころに訴えかける部分が大きい。 と、アート引越しセンター創業者の寺田千代乃さんは日本経済新聞「私の履歴書」で書いています。 人を相手にする商売は、感情に訴えかけるところに差が生まれます。こころに訴えるのは、気遣い。新たなサービスも生まれてくる。 ツナギのユニフォーム採用荷物の上げ下ろしをしているとズボンの後ろからシャツがはみ出ることがあり、だらしがないとのクレームを受けて。 くつ下の履き替え新築の住宅への引っ越しで、従業員のくつ下が汚れの指摘を受けたことから。 殺虫サービス密閉した引っ越しトラックの中での殺虫。自宅を新築して引っ越した後に家具の中からゴキブリが出ててきて悲鳴をあげた自分の経験から。 10円玉2枚見積り依頼でかけてもらった電話代と、訪問時に会社へ予約を入れるために借りた電話代として、10円玉の新硬貨2枚を小袋に入れて目立たないようにそっと置いてきた。携帯電話のない時代ならではの気遣い。 寺田さんが、 クレームがアイディアの新しい種だった。 と書いているとおり、クレームからはじまったものが多いですね。 小学生の頃、家族でモスバーガーを電話注文すると、お店まで取りに行くのは「ボクが行く!」とおりこうさんぶりを発揮していたのですが、それは、お店に行くと小袋に入れた10円を電話代としてもらえたから。当時、10円出せば駄菓子屋さんで子供の小腹ぐらいは満たせたものです。その秘密が兄弟にバレてからは、取りに行くのはジャンケンになってしまいました。モスバーガーの10円玉、数10年を経た今でも続いているようですね。

覚えやすさは武器になる

覚えやすさは武器になる

沖縄に引っ越す際に電話の移転の手続きをしたとき、電話番号の末尾4桁の候補を3つ挙げられ、自分で選ばせてもらえました。学生時代に引いていた電話を就職の際に引っ越したときには、選ぶなんてことはできなかったので「いまは選ばせてもらえるんだ」と驚いたことを覚えています。それでも、当時から、事業用の電話は番号を選ばせてもらえるということは知っていました。 アート引越センターの創業者の寺田千代乃さんの「私の履歴書」から。 事業所のあった大阪府大東市で電話開設を申し込みした際に提示された番号が「1881」「1919」と「0123」だったそうです。 尻上がりの電話番号は縁起がよく、ゼロから始める自分たちにぴったりだということで「0123」にしたそうです。当時の電話はダイヤル式なので、ゼロを回したあとは、1,2,3と戻る時間が早くてかけやすい、というのもあったようです。 そこからは番号を「0123」に統一しようと相当の苦労をしながら入手をすすめていき、最終的には500を超える「0123」を所持しているとのこと。 この電話番号統一戦略は功を奏し、「アート」という社名と「0123」はセットで浸透していきました。ドメイン名も「the0123.com」です。海外引越サービスでは、社名に「ART」とあると美術品だと思われて通関に手間取った経験から社名を「the0123」にしているんだとか。 「覚えやすい」ということは「記憶に残りやすい」ということですし「思い出してもらいやすい」ということになります。「引っ越しするけど、どこにたのもうか」となったときに真っ先に思い出してもらえることにつながります。 「覚えやすさ」大切ですね。「伴走舎」は覚えてもらえましたか?

定義が変わった

定義が変わった

コロナ禍にあって、ほとんどの経営者さんが今後の自分の事業について苦慮されていることと思います。 先日、テレビ東京のワールドビジネスサテライトでコロナ時代でも繁盛している店の3つの共通点について特集していました。「3つのない」だそうです。 1. 都心一等地に出店し”ない”2. 購買意欲をあおら”ない”3. 個性的な商品を作ら”ない” 1. は、わかる気がしませんか? いま、コンビニも都心の店舗が苦戦しているそうです。人混みを避けるために公共交通機関を使わずクルマで買い物にでかけるため、駐車スペースに余裕のある郊外の店が選ばれるようです。 2. は、人との接触を避けたいがために、店員さんに接客されずに買い物ができる店が選ばれる傾向があるんだそうです。 3. は、店内の滞在時間を減らすため、あれこれ迷わずに必要なものをサッと選んでパパッと買ってサクッと店を出たい、というお客の心理の表れなんだそうです。2. とも関係していそうですね。 コロナ禍でもこの「3つのない」で業績を伸ばしているのが西松屋なんだそうです。ワークマンも好調な要因は西松屋と共通していそうですね。外食や日用品を扱うお店にとってもヒントがありそうです。 番組の中で専門家が解説していました。 時代は変わった。コロナによって定義が変わった。新しい時代の定義にどう合わせていくかに真剣に向き合えば、企業は伸びる。 言わずもがなの解説なのですが、実際に取り組むとなると難しい。でも、やらなければ生き残れない。「時代の変化」などと大げさに考えず、自分や身近な人たちの生活の変化を見つめてみるところから始めてみましょう。

多くは失敗する。でも、やらなきゃ死ぬだけ。

多くは失敗する。でも、やらなきゃ死ぬだけ。

いま、政府が重点を経済政策の中に、創業と事業承継の2つがあります。新しい事業が生まれることで経済の活力を生み出し、後継者の見つからない事業を存続させて雇用はもちろん技術、ノウハウ、ネットワークといった貴重な経営資産の消失を防ごうとするものです。 創業といえばスタートアップ。スタートアップといえば「デジタル」「イノベーション」といった言葉を連想される方も多いのではないでしょうか。 日本経済新聞の先月の記事を読んでいると、そのデジタル系のスタートアップにもコロナ禍で明暗が出ているようです。 医療分野で解禁されたオンライン診療。このオンライン診療を支えるシステムを提供するスタートアップの中には、導入施設が2000社に倍増した企業もあるそうです。 また、コロナ禍で浮き彫りになった行政のデジタル化の遅れ。電子申請システムを手がけるスタートアップでは、30近い自治体や政府機関に利用されているところも。 一方で、インバウンド向けの旅行アプリを事業にしているスタートアップは、逆風にさらされており、役員報酬の返上やオフィス退去による固定費の削減を図りつつ、4割を占める外国人社員の力を活かして翻訳に事業転換した企業があります。 イノベーションを生み出すべく創業したものの、コロナ禍でチャンスを掴んだ企業もあれば、逆風にさらされる企業もある。 でも、歩みを止めるわけにはいかないですよね。イノベーションに関する世界的権威とも言われる経営学者ヘンリー・チェスブロウは、 多くのイノベーションは失敗する。しかし、イノベーションをしない企業は死ぬだけだ。 と書いています。 コロナ禍で立ち止まってはいられません。みんな、もがくしかありません。

ネーミングの妙

ネーミングの妙

今日もアートコーポレーション名誉会長 寺田千代乃さんの「私の履歴書」(日本経済新聞)から。 オムロンの精密機器輸送に使っていたアルミボディーにペイントされた「OMRON」の文字をご主人のアイディアで同じ5文字の「引越専用車」に書き換えて引越事業を始めたそうです。 当初は寺田運輸の一部門として「寺田運輸引越センター」の名称で広告を出していましたが、引越の仕事が増え始め、運送とは違ったサービスも求められるため、切り離して別会社でやっていくことになり、社名を考えることになりました。 当時はまだ電話帳で業者を探す時代。電話帳で最初の方に載る社名を考えたそうです。調べてみると、掲載は五十音順でひらがなよりカタカナが先、文字より長音「ー」が先なことがわかり、「アー」で始まる社名にすることになりました。 その頃、アートフラワーの人気が出始めていた。「アートがいいんじゃない」「アート引越センターか」。こんなやり取りで社名が決まった。当時、カタカナの運送会社はほとんどなかったと思う。(日本経済新聞「私の履歴書」寺田千代乃(9)) 狙うべきは検索結果のトップ。紙とデジタルの違いはあれど、これは今も昔も変わらないです。 余談ですが…昔、社名を変える必要のあったある会社が、「AC」と略されていたライバル会社よりもABC順で前に出るため、まずはじめに英和辞書で「ab」からで始まる単語を探した、という命名エピソードを聞いたことがあります。