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粗利ともうけ

粗利ともうけ

先日ご紹介した2つの利益、粗利ともうけ。 粗利 = 売値 ー 仕入れ値もうけ = 粗利 ー 人件費・家賃・光熱費など諸経費 でしたね。私のセミナーでよくお見せする図なのですが、これだとわかりやすいと思います。 値引きをすると粗利が削られることがわかりますでしょうか。 粗利で経費をまかなうのですが、値引きで削られた粗利で経費をまかなえないと赤字です。従業員さんの中には、ここを意識していない方が意外と多く、経費を賄う分まで粗利を削り込んで値引きしている例を何度も見たことがあります。 自社の粗利率あるいは原価率、経費率は従業員さんにも把握してもらったほうがいいでしょう。 また、卸販売をするときの掛け率も粗利を削ることになります。 実は、ものづくりをしている事業者さんで、ここを意識していない方も意外と多いのです。 原材料費(=売上原価)から販売価格を決めてしまうのですが、卸販売の掛け率を見越していないので直販であれば利益が出るのですが、卸販売では利益が全然出ていないケースをいくつも見てきました。 毎年、沖縄県内の工芸関係者さん向け経営セミナーの講師をやらせていただくのですが、このあたりはくどいほど繰り返し説明しています。

開いててよかった?

開いててよかった?

コロナ禍でコンビニエンスストアでさえ対前年比で売上減が続いています。 でも、その中身を見ると、都心の店舗と都心から離れた住宅街に近い店舗とでは減少幅に違いがあるようです。 また、お弁当やおにぎりなどの日配品、飲み物・お菓子・缶詰・レトルト・インスタントなどの加工食品、それに食品以外の日用品など、コンビニで売られている商品によっても減少幅に違いがあるようです。 地域による違い、商品による違い、など、コンビニにとってもかつての経験則が通用しなくなってきているのではないでしょうか。 そして、以前のようには来客が見込めない今、コンビニが宅配サービスに力を入れています。先月には公正取引委員会からも自発的な運営の見直しを求められるなど、コンビニを取り巻く環境が激しく変化しています。 「開いててよかった」はかつてのセブンイレブンのキャッチコピー。深夜営業、ATMの設置、プライベートブランド、惣菜、コーヒー、収納代行などなど、社会の変化に合わせたサービスで成長してきたコンビニですが、来店を前提としたサービスのあり方そのものが問われているのかもしれません。 コンビニ業界をリードし続けるセブン&アイ社長の井阪隆一さんは 便利の中身は社会変化とともに変わらなくてはいけない と述べています。 開いてるだけじゃ、便利とはいえなくなってきているのかもしれませんね。

2つの利益、ちゃんと意識してますか?

2つの利益、ちゃんと意識してますか?

先週25日(金)の新聞に「ミニストップ、FC見直し 利益折半 稼ぐ力向上促す」という記事がありました。ミニストップのない沖縄ではなじみのない方が多いかもしれませんね。 これまでコンビニは、売上から仕入れ原価を引いたいわゆる「粗利」の一定割合を経営指導料として本部が徴収していました。近年のコンビニオーナーの負担過剰問題の一つはここにあります。 主力商品であるお弁当・おにぎりなどの消費期限が近づいたものは、本部が値引き販売を許可しませんでした。売れ残れば廃棄することになりますから、売上にはつながらずオーナーの粗利は減ります。一方で、粗利から一定割合を徴収するコンビニ本部としては、値引き販売の禁止を続けても一向に自分のフトコロは痛みません。 深夜時間帯は売上が少ないにもかかわらず、人手不足も相まってアルバイトの時給は高くなる一方でした。この人件費や深夜営業にかかる光熱費などの経費は仕入原価に含まれまれず粗利は減りませんから、コンビニ本部としては自分の取り分が減ることはなく、24時間営業を契約で縛り続けても一切痛みを感じないわけです。 冒頭のミニストップの取り組みは、粗利から人件費や水道光熱費などの経費を引いた「もうけ」をオーナーと本部で折半するということですから、 オーナーの痛み = ミニストップ本部の痛みとなるわけです。 中小企業の従業員さんやものづくりの経営者さんにこの2つの利益を意識していない人が意外といらっしゃるのを感じます。 粗利 = 売値 ー 仕入れ値もうけ = 粗利 ー 人件費・家賃・光熱費など諸経費 意識してますか?

味方を敵にまわす。

味方を敵にまわす。

昨日ご紹介したスゴ請け企業の中で、デニム素材で国内シェア55%を占める株式会社カイハラ。ユニクロ、リーバイス、エドウィンなど名だたるデニムウェアのメーカーから注文を受けています。 カイハラでは、糸を拠るところから染色して織り上げるまで、すべての行程を社内で完結させています。なぜなら、糸、染色、織り、それぞれの工程毎にデニムの風合いを決めるノウハウが詰め込まれていて、だからこそ各メーカーからの細かい注文に応えられるんだそうです。 でも、大手ブランドから生地を依頼されて国内シェアの半分以上を握っているぐらいなんだから、中小企業が目指す姿のもう一つ「自社製品」を製造しても良さそうなものだと加藤浩次さんが質問したところ、カイハラとしては「あくまでも素材に徹する」んだそうです。 その答えを聞いて、加藤浩次さんが「やっぱりそれはメーカーを守るということなんですか?」と質問していましたが、そういうことではないでしょう。それに「守る」というのは自分が相手より強い立場にいる時に使う言葉です。 最終製品の開発ということになれば、リーバイスやエドウィンと競えるだけのアパレルメーカーとしての製品開発力が必要になります。また、ブランド力もないですからマーケティングコストもかかります。それになんといっても、戦う市場がこれまでとはまったく違ってきます。「メーカーを守る」なんて、リーバイス、エドウィンと同じ土俵で戦って勝てるだけの商品力、ブランド力をカイハラが持っているというのでしょうか?逆に返り討ちにされるのではないでしょうか。それはカイハラ自身がわかっているはずです。 一方で、お客さんであるリーバイスやエドウィンと同じ土俵に上がって自らも戦うことになれば、素材メーカーとしての受注量が無くならないまでも減らされることは十分に考えられます。シェアトップといえども55%なんですから、リーバイスやエドウィンとしては2位、3位のメーカーの開発力をを育てながら徐々に発注先をそちらにシフトしていくことを考えるでしょう。また、新製品については競合相手に情報を提供をするのは嫌うでしょうからもう発注されなくなる可能性は高いでしょう。 減らされた分を自社製品の売上で補えればいいでしょうが、リーバイス、エドウィンのシェアをそれなりに奪わなければなりません。そんなリスクは犯さないと思いませんか? 味方を敵に回す構図になっていることをおわかりいただけたでしょうか?

スゴ請け!

スゴ請け!

先日の「がっちりマンデー!」からスゴイ造語が出ましたね。 「スゴ請け」 下請けながら際立った技術力を持っていて、その分野では大きな国内シェアを持つ企業です。 紹介された企業は・デニム生地で国内シェアの半分以上を占める、株式会社カイハラ・バス用電装部品では、ほぼ100%シェアのレシップ株式会社・アパレル用ハトメホックでは国内トップシェアのモリト株式会社(なんと、創業112年!) 日本のものづくりを支える製造下請け企業は利幅が薄く、経済環境が悪くなれば真っ先に値下げ圧力にさらされ、応えられなければ取引を打ち切られます。 そんな、下請け企業の経営者が目指したい姿の代表的なものの一つはこの「スゴ請け」であり、もう一つは「売れる自社製品」でしょう。 中小零細製造業の経営者・事業者さん、あなたはどこを目指しますか?