TEORI WORKS OKINAWA
宮城 様
日本の伝統的工芸品でもある琉球かすりと南風原花織を生産する織物工房「TEORI WORKS OKINAWA」。この工房では、従来からの和服の着尺や帯はもちろんのこと、かすりと花織を生地として活かした洋装ブランド「MARIKASI」も展開しています。服と生地のデザイナーであり織物職人でもある宮城麻里江さんとともに、この工房の立ち上げからずっと経営に関わってきました。
- お義母さんの工房からの独立が2019年の末に急遽決まり、年明けの1月1日に自分の工房がスタートすることになりました。独立まであまり時間のない中、とても困ったと思ったことは何ですか?
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ものづくりの挑戦についてはどうしていけばいいのか自分で見通しが立てられるけれども、経営的にどうしたらいいのか…工房をどう成り立たせていけばいいのかまったくわかりませんでした。
工芸関係者向けに開かれたビジネスアドバイザーによる講習などを受けたりもしましたが、遠すぎるんです。先生のおっしゃっていることが、ものづくりの現場からは遠すぎる。
自分の思い通りの織物、服を作りたい、織り子さんの待遇を改善して、織物を職業として楽しく働いて欲しい、といった自分の理想を実現したいと思っていましたが、そもそも工房の経営が成り立つのか不安で不安で。
そこで牧野さんに相談すると、一緒に当面の経営の見通しを計算してくれて、なんとかやっていけることを数字で確認できたのは心強かったです。
- 決して安いとはいえない費用をかけてまで、外部にコンサルをお願いする理由は何ですか?
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自分一人ではどうしても目の前の仕事に追われてしまいます。長期的なプランがあったほうがいいけれども、まだ誰もやっていないことを考えてもいたり、自分だけの理想を目指していたりするので、友達や同業者とも話せないし理解してもらうのも難しいです。
そんなときに、第三者がいてくれたほうが絶対にいいですよ。絶対に。
客観的に見てくれる人がいることで、工房の目的、ビジョンが整理されていきますし、業界や工房の問題点も見えてきます。そうやって見えてきた「こういうものづくりやります」というのを工房のメンバーにも話すことで、私にも責任感が生まれてきます。
- 税理士さんやよろず支援拠点、商工会など、困ったときに相談できるところは他にもあると思いますが、牧野に依頼しようと思ったのはなぜですか?
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牧野さんは一時期、工芸関係の会社に勤めていたこともあり、客観的な第三者といえども、沖縄の伝統工芸の現状を知っているんですよね。だから、工芸特有の問題もすぐに理解してくれるんですよ。
私が抱えている問題についても、なぜうまくいかないのか私の話を根気強くちゃんと聞いて、その上で解決策を提案してくれるんです。「MARIKASI」の立ち上げときにお世話になって、牧野さんのそういうところがわかっていたので、迷わずお願いしました。
- これまで牧野のコンサルを受けてみて、よかったと思うところを教えてください。
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デザイナーでもあるし織物職人でもある私は、経営そっちのけで日常業務に追われれちゃうんですよ。それでもいいんでしょうけど。
だけど、月に1、2回だけでも牧野さんと話をしていると、自分のビジョンを思い出すんですよ。「ああ、私が目指しているのはこれだったよね」って。それに、日常業務に紛れていろんな問題が起きてるんですけど、なかなか手をつけられずにいると頭の中でどんどん膨らんで「大変だぁ!」ってなるんですけど、牧野さんと話してると「スーッ」と整理されちゃうんです。
私の話を根気強く聞いてくれている牧野さんは大変なんでしょうけど。でも、私に合わせてわかりやすく説明してくれるから、まさに「スーッ」と入ってくるんです。そうやって問題を明確にしたら、解決策を一緒に考えて、何をやればいいのかタスクに落とし込んでくれるので、あとはそれをやるだけなんです。ホント、楽になります。
工房立ち上げ直後に新型コロナの感染拡大が始まりましたよね。牧野さんと毎月これを繰り返したことで、どれだけ救われたか。
- 逆に、この点は直してほしい、というところがあれば、それもストレートに教えてください。
- 特にないんです。ホントに。ものづくりをやっている人とって、牧野さんは必要ですよ。もっとたくさんの人に牧野さんを知ってもらいたいです。