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2019.12.12

忘れ去られる大事な目的

先日は、販売システムを導入したものの、全ての売上が販売システムに入っていないことに一年経っても気づかなかった、という例をご紹介しました。(→ こちら

どうしてこんなことが起きるんでしょうね。

考えられるのは
・目的が小さかったか、目的を忘れてしまった
・システムの導入に合わせて仕事を変えなかった
という2つの理由です。

中小・小規模企業によくあるIT導入の目的が「省力化」。

当初の目的が省力化だった場合は、先日の例でも十分に目的を達成しています。
直営店舗と卸売部門のどちらの部署においても、売上の大半を占める店舗の販売業務と卸売販売の売上集計の省力化は実現していました。

でも、省力化だけのために数百万円もかけて導入したのでしょうか。

おそらく、省力化以外にも目的があったはずです。でも、システムを使い始める前に労力をかける中心となるのは「使い方」を覚えること。使い方を覚えなければせっかくのシステムを使えませんから、従業員さんに使い方を覚えてもらうための講習はシステム導入の一大イベントです。

そして、使い方を覚えると省力化の効果をすぐに実感できます。システム導入の目的のひとつを実現できたことがはっきりとわかります。

この会社の例では、売上の大半を占める主要な販売業務は大幅に省力化されました。しかしながら、直営店舗の外商取引や卸売部門の委託販売といったわずかな業務については放置されてしまったようです。

省力化以外の目的は、使い続けてはじめて実現できるものが多く、
・効果を実感できる人が経営陣や管理職などに限られる
・そうした人数が少ないユーザーに対する使い方の講習は後回し
・実現できるまでの期間が長い
・それまでの間、根気よく継続・定着させる努力が従業員に求められる
といった理由で忘れられてしまったり、努力が払われないようです。