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2021.05.13

アメフトから経営戦略を学ぶ?

牧野がアメリカンフットボール観戦、特にアメリカのプロリーグ NFL(National Football League)の試合をみるのが好きだと前回お話しました。

テレビ視聴率や1試合あたりの観客動員数をはじめ収益の面でもアメフトはアメリカで最も人気が高いスポーツ。
とはいえ、アメリカのプロスポーツには他にもベースボール(MLB)、バスケット(NBA)、アイスホッケー(NHL)など人気の高いものが目白押し。100年以上の歴史のあるMLBと比べても、NFLの誕生は1970年とかなり後発でした。

プロスポーツのリーグですから稼がなければなりません。
後発のNFLが先行するMLBをはじめとする他の人気プロスポーツとどうやって戦うのか。


NFLのチャンピオン決定戦であるスーパボウルは過去55回の歴史の中で連覇は8回だけ。3連覇以上はまだありません。
チームの本拠地も、ニューヨーク、ロサンゼルスといった大都市から、グリーンベイ、シャーロットといった小さな町まで幅広く、それでも赤字のチームは一つもありません。
小さな町のチームでもスーパーボウルを制覇を果たしています。

NFLのリーグ運営の特徴は以下の4つにあると言われています。

1. レベニューシェアリング
テレビ放映権はリーグが一括して管理し、放映権料やチケット収入の一定割合などをプールして全チームに均等に配分します。

2. ハードサラリーキャップ
選手に支払う年俸総額の上限制です。
NFLでは他のスポーツに比べて厳格な制度になっているそうです。

3. ウェーバー式ドラフト
前年度の最下位チームから成績の悪い順に選択権が与えられ、一番最後がスーパーボウル優勝チームになります。
指名が被って抽選というのは、日本のプロ野球(NPB)固有の方式です。
NPBのようなウェーバーと逆ウェーバーの交互方式ではなく、2巡目以降もずっとウェーバー式なので、前年度成績の良かったチームにとってはとても辛いシステムです。

4. コモンオポネント方式
対戦カードは前年の成績が近いチーム同士で組まれます。
NFLには全32チームが所属していますが、1シーズンの試合数は16試合。前年弱かったチームが強かったチームと対戦しないことで、プレーオフ進出をかけたシーズンが混戦状態になるわけです。

以上はすべて、戦力均衡を目的とした制度です。一見すると自由競争の国アメリカらしからぬ制度ばかりです。
ですが、常勝チームやスター軍団を生まれさせず、戦力が均衡したチーム間で激しい競争をさせる。
そうやって、白熱した好試合が生まれ、プレーオフ進出レースが予断を許さない環境を整えているといえるでしょう。

戦力均衡がNFLが選んだ差別化。
他のスポーツのプロリーグとの競争を勝ち抜くNFLのリーグ経営戦略なのです。

NFLの運営に深く関わり、カンザスシティ・チーフスのオーナーでもあった故ラマー・ハント氏の有名な言葉があります。

理想は、各チームが8勝8敗の成績でレギュラーシーズンを終えることだ。
もちろん、チーフスの優勝を願ってはいるが。
それでも全チーム8勝8敗となることが理想の姿なのだ。

さて、あたなもアメフトをもっと知ってみたくなりました?