ブログ

現場重視が生み出す風土とは?

現場重視が生み出す風土とは?

沖縄は先週の終わりに梅雨が開けて、夏らしい天気になってきました。海からの気持ちいい風が部屋の中を吹き抜けていきます。はやく入道雲が見たいですね。 先週といえば、三菱電機の不祥事がまた明るみに出ました。今回の不適切検査はもう35年以上続く組織的な行為だそうです。不適切検査や品質問題が度重なる様は、風土と言われても仕方がないものでしょう。 組織的な隠蔽を生み出す企業風土が生まれる背景については、ここでも何度かご紹介してきました。 ところが三菱電機のケースついて新聞の報道を読んでいると、事業部門が強い権限を持ち経営トップの目が行き届かない、ということが原因に挙げられています。 三菱電機は、原子力発電などの重電からエレベーターなどのビルシステム、数値制御装置などの産業用、情報通信システム、半導体、さらには家電製品まで幅広く手掛ける総合電機メーカーです。 あまりにも幅が広すぎて経営トップの目が行き届かないということでしょうか。それぞれの技術が違いすぎて専門性が高く、縦割りを生み、それが事業部の権限を強めてしまったのでしょうか。 財閥のような巨大企業のことだから中小企業の私達には関係ない、なんて思わないでください。 中小企業といえども技術者や現場の意見が強すぎる会社も気をつけたほうがいいのではないでしょうか。「オレは技術のことはよくわからん。あいつらに任せてる」と、ずっと営業で会社を引っ張ってきた社長さん。「父が創業したときから長年会社を支えてくれた職人さんたちだから」と自分よりはるかに年上の技術者さんたちが現役で支える会社の二代目社長さん。 これからもそうした風土を続けますか?技術者への信頼や会社への貢献度とガバナンスは別の話だと思います。

社長の一挙一投足に潜むリスク

社長の一挙一投足に潜むリスク

業者さんへの態度で損をしかねませんよ。社員の業者さんへの態度は、会社の風土ですよ。なんてことを2回にわたって書いてきました。 では、社風っていうのはどうやって作られるんでしょう? オックスフォード大学のチャールズ・オライリー教授がは、組織文化についての数多くの研究で論じられていることを整理して、こう述べています。 組織文化は、主に上級幹部が持っている価値観と行動を反映している これは「会社の風土は、会社の幹部が持っている価値観と行動を反映している」と読み替えることができるでしょう。 会社の幹部が決める経営方針、事業計画、社内規範、幹部が行う経営判断、社員への指示、幹部たちの発言、行い、態度、といったものが会社の風土になって行くようです。 経営幹部といっても中小企業となると、ほとんど社長一人で物事を決めているのではないでしょうか。 ではれば、社長の一挙一投足が会社の社風になっていくといってもいいですね。 ★ チャールズ・オライリー教授の先ほどの分析には続きがあります。 組織文化は、企業の業績を決定する重要な一因となる だそうです。社長の一挙一投足は、会社の風土になり、会社の風土は、業績を決定する重要な一因です。 つまり、社長の一挙一投足は、業績に影響しますよ。

損をしかねない残念な習慣

損をしかねない残念な習慣

前回は、業者さんに接する態度によっては損をする、という内容でした。 でも、なぜそんな接し方になってしまうんでしょう? ★ まだ、コンサルティング会社に入る前のこと、システムエンジニア時代です。あるお客さんのところへ行っているチームから応援要請がありました。業界ではトップのメーカーさんです。契約上は「自社でやるから対象外」としていた分野について、自分たちでやってみたら難しかったから担当者を入れてほしいということでした。しかも無償で。 お客さんのところへ行ってみると、この会社の情報システム部の方々は若手から中堅・ベテランまで「業者をイジメるのが仕事」と思っているんじゃないか、と思ってしまうぐらい。私が到着するなり、まだ20代半ばぐらいの担当者が態度は横柄だし「なんで早くこなかったんだよ」って感じでネチネチと言葉で威圧にかかってくる。となりのブースで打ち合わせていたウチの課長もネチネチとやられていました。 これが連日なんですよ。 「必要ないと言っていたのに、自分たちじゃできないからなんとかして欲しいとお願いしてきたんだよね。なのにこちらが悪いと言わんばかりのこの対応ってどういうこと?」 私もまだまだ若かったですらね。「あんたたちがそう来るなら、こちらもそのようにさせてもらいますよ」って感じで。 さすがにマズイと思ったのでしょう、部長さんが登場しました。でもお話をしていると、部長さん自らが部下の人たちに業者さんに対するこういう扱いを教育しているんだな、というのを感じました。 私としてはそのような方々とは一緒に仕事はしたくないですから、2ヶ月ぐらいかけて必要最低限のことはやって帰ってきました。「お約束にはなかったことを無償でここまでやりました。スキルトランスファーもしました。あとはお約束どおりご自分たちでお願いします。」と。 ★ それより少し前、業界2位の金融機関の情報システム子会社にいたときのことです。社内をのっしのっしと肩で風切って歩き、社員に横柄な態度で接する二人組がいました。親会社の「システム企画課」という部署の社員です。 あまりにもその横柄な態度が板についているので、二人とも40代の課長と課長代理ぐらいだろうとみんな思ってました。親会社から子会社へ出向してきている若い社員までもが。 ところが、その若い出向社員がその二人組のことを同期の友人に話したら、友人が二人組の若い方を「アイツ」呼ばわりするんだそうです。理由を聞いたら、まだ入社2年ちょっとの後輩なんだとか。 結局、二人ともまだ20代の主任と平社員だと判明しました。「20代であんなに老けて態度もあんなにデカくなっちゃうんだ!?」とみんな驚愕。 金融機関は情報システムに多大な投資をしています。どんなシステムをどれくらいの予算をかけて導入するか立案して決定しているのが二人組の所属する「システム企画課」だったんです。 あの頃の民間企業では、コンピューターは同じメーカーさんで統一しているのが一般的。この金融機関のコンピューターは「お客様の言うことは絶対」を貫くダークスーツ集団。このメーカーさんにとって自分たちの売上を決めているといっても過言ではないのが、システム企画課。システム企画課の社員に対する彼らの接し方はものすごいんだそうです。 あの二人組の年齢の話題で盛り上がっていた私たちに「だからあの部署はああいう勘違い社員を短期促成&量産しちゃうんだよね」と親会社のベテラン社員さんが教えてくれました。 ★ 自分たちが損をしかねない業者さんへの態度。組織風土が作り出しているのがおわかりいただけましたか?ご紹介したのは大企業の一部の部署の例ですので、中小企業なら会社の風土そのものかもしれませんよ。

業者扱いしないでください

業者扱いしないでください

先日、ある方から「こんな業者さんを知りませんか?」とご照会がかかり、私の知人をご紹介したことがあります。二人を引き合わせるために私も同席したのですが、大切な知人を紹介したことを後悔しました。 ★ コンサルティング会社時代を含め、これまで30年もの間、様々な企業さんと長時間にわたって深く関わり、お客様がいわゆる「外注・下請け」といった業者さんをどのように扱うのかを見てきました。 コンサルティング会社といえどもお客様から見れば「業者」ですので、自分たちがどのように扱われるかも見ています。 また逆に、プロジェクトを遂行する上で、日本を代表するコンピューターメーカーさんに私の下請けに入っていただくなど、私から外部の方に仕事をお願いすることも日常的でした。 下請けに入っていただいた企業さんに対する私の部下の態度には、特に注意を払っていて、気になるところがあれば厳しく注意していました。 あの人たちは「外注・下請け」という立場かもしれないが、自分たちの足りないところを補ってもらっている。「業者」じゃない、「協力会社」さんだ。助けてもらっている、そういう気持ちで接しなさい。君がコンサルタントとして長くやっていきたいのであれば、なおのこと。君が「業者扱い」した刃は、必ず自分に向かって戻ってくるから。 というように。 ★ コンサルティング会社では、お客様の経営管理システムに必要なハードウェア、ソフトウェア一式を導入するコンペを取り仕切ることが何度もありました。見積金額にして3〜5億円のケースがほとんどです。解決したい課題や要求スペック・設計条件などを記載したRFP(提案依頼書)を作成して説明会を開き、提案書と見積書を提出してプレゼンテーションもらう。コンペに参加いただくのは、大型機やサーバーを製造している大手コンピューターメーカーさんばかりです。 RFPを作った立場としては、書かれたことに対して丁寧に答えてくれている提案書やプレゼンテーションにお目にかかれるのはとても嬉しいことです。苦労して書いた甲斐があったと思いますし、そういう会社さんに受注してもらいたいと思います。 ですが、そうした提案が一つもないときがあります。 他のお客さんへの提案に使った提案書を手直ししたならまだしも、お客様名だけを変えてそのまま持ってきたと思われるものも。見積に至っては「この仕事を取る気あるんですか?」とか。 発注先が決まり、受注したメーカーさんが送り込んできたエンジニアさんたちの仕事ぶりを見て「このプロジェクトでOJTしてるでしょ」と言いたくなるケースもありました。 ★ こうした経験で気づいたのが「発注者側の問題」です。 コンペを取り仕切り、受注した企業さんとプロジェクトを遂行する、ということを繰り返しているとなんとなくわかってきます。親しくなった営業さんにストレートに質問したことがあるのですが「そりゃぁ、コンペではお互い火花バチバチでも、情報交換はしてますからね」という答えでした。 このように、業者さんに対する姿勢によっては・見積金額の高さ・商品、資材などの質の悪さ・未熟な担当者などの可能性を生み、いいことがありません。 最近では、中小企業の二代目、三代目の方でちょくちょく見かけるので心配しています。

コロコロと考えが変わるリーダーの代名詞「朝令暮改」。やってもいいのは、こんな社長だけ。

コロコロと考えが変わるリーダーの代名詞「朝令暮改」。やってもいいのは、こんな社長だけ。

前回は、かつてZOZOを率いた前澤友作さんの決断の早さでしたね。 2918〜19年にかけて、次々と打ち出したZOZOのサービスを1年も経たないうちに終了させたケースについて取り上げました。大手企業だったらメンツや社内調整に手間取ってズルズルと傷口を広げたんじゃないだろうかと。 大手に比べ資金力に劣る中小企業は、見切りをつけることも必要です。そこは小回りの効くという強みを活かしたいところ。 こうした決断のサイクルが早まると「朝令暮改」と受け取られかねません。文字通り、朝出した指示を状況が変われば夕方には撤回なんてこともありえるでしょう。それでも、コロコロ変わるリーダーの代名詞「朝令暮改」もやむなし、と考えています。 ですが、この「朝令暮改」という四文字熟語が一般には悪い意味で使われるように、社員さんがやる気をなくし、会社が迷走しかねない危険性を孕んでいます。 そこで、必ず守っていただきたいのが次の2点です。 まず、撤回するときは、その理由を社員さんに必ず説明してください。「やってみたけど、手間がかかりすぎるから」「考えていたほど、お客さんに喜ばれない」というように、ちゃんと理由を説明してください。 もう一つ。こちらのほうが大切なのですが「ブレないこと」 下した判断が、経営理念、ビジョン、行動指針など、日ごろから社員さんやお客さんに説明している会社の方針に反していないかということです。 説明理由にブレがないとき、人は納得できます。 これをお読みの社長さんは、この2つが大事なことはもう痛いほどおわかりですよね。 まとめると、・間違ったと思ったら決断は早く。朝令暮改もOK!・ただし、理由は説明すること。・決断が日ごろの方針からブレないこと。です。 社長さんのためのメルマガの登録はこちらから。 https://youtu.be/ejn7a9CuJkE