2021.04.16
沈んだお金
前回の続きです。 10年前にパナソニックに吸収されることで消滅した三洋電機という会社。経営再建をめざして8000人のリストラに携わるなど、経営を間近で見てきた元人事部長さんが漏らしていた一言。 「ダメだな」と思ったら合理的にやめる事業はやめる ダメだな、と思っても合理的に止められない理由の一つが前回の「情実・忖度」でした。 もう一つが、サンクコスト。埋没コストとも言われます。サンクとは、沈むを意味する英語の動詞 sink の過去分詞形 sunk。「救いようがない」という意味もあるようです。事業に投下してしまったものの、もう取り返すことのできない費用のことです。 設備や不動産などは売却して取り返すことができるでしょうが、そこまでにかかった人件費や家賃などは取り返すことができないですよね。それを「これだけお金をかけたのだから」と回復の見込みのない事業をダラダラと続けるうちに傷口を広げて倒産してしまったという例はよく聞きます。三洋電機の元人事部長さんが指摘しているのは、そのことでしょう。 お金は取り戻せるが、時間は取り戻せない。 という一言をどこかで読んだことがあります。 ある事業に投下したお金は、その事業からはもう取り返すことができなくても、他の事業で稼ぐことで取り戻すことができます。けれども、これまでその事業にかけた貴重な時間はもう二度と戻ってきません。 そのまましがみつくか、早く見切りをつけて次に賭けるか。 まさに、経営判断です。 この投稿はメールマガジンでもお届けしています。ぜひご購読を。「経営者のためのメールマガジン」ご登録はこちらから。https://banso-sha.jp/news/magazine_subscribe/