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リストラは麻薬

リストラは麻薬

三洋電機って会社があったこと、ご存知ですか?私の世代なら、ダックスフントの「おしゃれなテレコ U4」がすぐに思い浮かぶと思います。(当時のCMはこちら)むかしのテレビはガチャガチャとチャンネルを回したものですが、これをリモコンで回す「ズバコン」を開発したのもサンヨーでしたね。近年では電池の技術力が高く「エネループ」なら若い方もご存知ではないでしょうか。時代の先駆的な商品を開発して世に送り出してきた印象を持っています。 しかし、その三洋電機も10年前にPanasonicに吸収されました。当時約10万人いた従業員のうち、Panasonicに雇用されたのは9700人あまりだったそうです。事実上の消滅です。 先日、三洋電機の元社員さんたちのその後を伝える番組を見ました。三洋電機の末期、経営再建のために8000人規模のリストラをしなければならなかった人事部長さんは、もう二度と人事の仕事はしないと誓い、現在は回転寿司チェーンの広報をされています。 その方が、あの当時を振り返ってこうおっしゃっています。 リストラは麻薬的なもので、人を減らしたら固定費が減るのでその時は業績が良くなる。けれども、中期的に見ると会社の体力そのものを奪っていく。結構きつかった。このままでいいのかと。 会社は人が財産とよくいわれますね。経営状態悪化の徴候が現れたり早期退職を募ると、転職先の見つかりやすい優秀な人や技術を持っている人から辞めていくのもまた事実です。牧野がかつて勤めていたIT企業でもそうでした。「中期的に見ると奪われる会社の体力」とはそのことを指すのでしょう。 * この投稿はメールマガジンでもお届けしています。ぜひご購読を。<メールマガジンご購読のご案内>

人材を見つける人材

人材を見つける人材

昨日は、一般社団法人 琉球フィルハーモニックさんとの初回打ち合わせでした。クラッシック音楽のファン、ひいては琉球フィルのファンを広げていくお手伝いを、伴走舎がさせていただくことになったんです。そのための戦略をご提示したところ、ご賛同いただけてひと安心。なにしろクラッシック音楽はド素人。その案を気に入ってもらえなかったらどうしようかとドキドキでしたから。 今年のNHK大河ドラマは渋沢栄一。日本の資本主義の父。現在の埼玉県深谷市の農家の長男として生まれ、若い頃は尊皇攘夷思想に傾倒し、横浜で外国人を斬り殺すテロも計画して実行寸前まで準備していたというから驚きです。でも、そんな人が後に一橋家に仕官したというからさらに驚きです。 一橋家への仕官をオファーしたのが慶喜の重臣である平岡円四郎。この人は開明派ですが、栄一の持つ思想面を問わずにその能力に日頃から目をかけ、栄一の窮地を救う形で仕官を持ちかけました。 一橋家へ仕えてからの栄一は、その能力を開花させ短期間にどんどんと出世します。やがて慶喜が将軍になったことで、かつて倒そうとしていた幕府の役人に自分自身がなってしまったことを栄一は悲嘆したようですが、フランスへの派遣を命ぜられるという幸運に恵まれます。このフランスでの見聞が、日本資本主義の父となる栄一の活躍の基礎になりました。 渋沢栄一が飛躍へと向かう扉を開いたのは平岡円四郎だと、歴史学者の磯田道史さんは言います。でも、一橋家にとっては危険思想を持つ栄一を平岡円四郎はなぜ仕官させたのか? 当時の一橋家の状況は、とにかく能力のある人材を一人でも多く必要としていたんだそうです。平岡円四郎にとしては、まず能力、思想は後からなんとでもなる、ぐらいの自信があったのだろうとのことです。 歴史の研究者は、いってみれば人や社会が繰り広げた成功と失敗の研究者。その磯田道史さんは解説します。 人材を見つける人材。そういう人がいないと、年功ぐらいでしか人を登用せざるを得ず、組織や社会は衰退していってしまう。 あなたの会社にとって、人材を見つける人材は誰ですか?

ビシッと決めたいクイックスタート!

ビシッと決めたいクイックスタート!

若い頃、私にとって牛丼のベンチマークは吉野家。もう、絶対王者でした。 30年前の吉野家で、新人バイトに先輩バイトが仕事をいろいろと教えているところを何度か見かけたことがあります。先輩バイトの教え方にも良し悪しがあって、「こんな先輩の下についた新人バイトは仕事を覚えるまで時間がかかるだろうなぁ」と思ったこともありました。今では吉野家にもマニュアルが用意されていると思いますが。 マニュアルは作るのが面倒でしょうけど、一旦作ってしまえばこんな便利なものはありません。 マニュアルの効果の一つは、バイトさん、社員さんに関わらず、新人さんに早く仕事を覚えてもらうということです。給料を払っているわけですから、一刻も早く仕事を覚えて戦力になってほしいですよね。 コンサルティング会社でもそうでした。即戦力として期待されて中途入社した人たちは、すぐにプロジェクトに送り込まれるのですが最初はなかなか仕事が進まない。特にコンサルティング業界の外から転職してきた人たちが。 なぜだろうとインタビューしてみると「仕事の進め方で戸惑っている。他の人たちはどうやっているのか」と何人もの人から質問さてしまう。これだ!と。 そこで、比較的経験豊富なメンバー3人で集まってメソッドを作りました。プロジェクトの最初から最後までをどう進めていくかを体系化してまとめたわけです。ある頭文字をとって「TIGER1」と私が命名しました。 このTIGER1によって中途入社した人たちのクイックスタートが可能になりましたし、若い人たちにとっても経験不足を補うことができました。退職して沖縄に引っ越してからも「牧野さん、あれ、参考にしていますよ」とかつての後輩たちに言われます。 あなたの会社の新人さん、クイックスタートを切れてますか?

社長になる前の二代目も気をつけたい

社長になる前の二代目も気をつけたい

先日は「社長が傲慢になるのを防ぐ五原則」をご紹介しました。これ、将来社長になる予定の二代目の方にも。 沖縄のとある会社の創業者の息子さんT。県内の専門学校を出て若くして入社し、早くからお父さんが会社の経営を譲る道を準備していていました。ですので、本人も二代目になるものと思っていましたし、社内でもそう思っていました。 こちらも沖縄、別の会社の創業者の息子さんH。県外の私立中高一貫校で過ごし、海外の大学を出て数年ほど外資系企業で働いていましたが、呼び戻される形で入社しました。当然、将来の社長として。 いまでは50代となったこの二人のその後ですが、Tさんは50歳を目前にして会社を去ったそうです。Hさんは社長にはなったものの子会社の社長。この会社のメインストリームの経営を任されるには至らなかったそうです。 働き盛りと言われる30代〜40代のこの二人の過ごし方を先日の「社長が傲慢になるのを防ぐ五原則」に従って振り返ってみました。 1. 早起き二人に共通するのは「あまり会社にいない」Tさんは出勤がかなり遅く、出勤しても昼前には外出して夕方に戻ってくる。Hさんは子会社も兼務していたのですが、会社に顔を出すのは週に1〜2回。会社にいない間に何をしているのか、社員さんに聞いてもはっきりとはわからなかったことも共通しています。 2. 笑顔普段あまり会社にいないこの二人が事務所に入ってくると、それまで和やかな雰囲気から急転して暗く険悪なものに変わっていくのを部外者の私でも感じとることができました。この二人がいる間、職場には会話がなくなりますし、当然笑顔も消えてしまうというのも共通しています。 3. 素直この二人が身近な人の忠告を素直に受け入れられたのかどうか、それは私にもわかりません。たまりかねて私から声をかけたことがありますが、Tさんはスルー。Hさんは、プライドの高い本人の気分を害さないよう婉曲に伝えた私の真意を理解することができず、改めようとはしてくれたものの額面通りに解釈していました。 4. 感謝「社員にはチョー厳しく、自分にはチョー甘い」というのが二人の共通点です。これ、私の言葉ではなく、社員さんからの言葉です。 5. いい出会い50代になったその後の二人をみれば、親身になって忠告してくれる人に出会えなかったのではなかろうかと。Tさんは社交的ではなかったです。交友関係が趣味の集まりの人たちぐらいではなかったかと。Hさんは「あまり会社にいない」理由の一つであった若い経営者が集まる団体の活動に熱心でした。そこで知り合った「先輩にお世話になっている」とか「あの先輩がこんなアドバイスをしてくれた」とかしきりに口にしていました。その先輩たちの忠告やアドバイスはどうだったのでしょう。

私がしたいのは、よい●●を作ることではない。

私がしたいのは、よい●●を作ることではない。

先日、牧野は、ITを23年、プロジェクト管理を18年、コンサルティングも18年続けてきたとお伝えしました。 どれもその分野におけるスキルが求められます。それを高めるための努力も続けてきました。 これを読んでいるあなたも、これまで長い時間をかけて技術、技能を磨いてきたことでしょう。 ただ、私自身、スキルを磨くことだけに囚われていた時期があります。いまでもついつい、スキル向上に目を奪われてしまっている自分に気づくことがあります。 2012年に書いた牧野のメモからです。 わたしはこの時、あらためて思った。大事なのは技術ではなく、それを使って何を生み出すことが出来るかだ。技術は短期間で廃れるが、生み出された物語は何十年、何百年と受け継がれていく。わたしがしたいのは性能のよいコンピューターを作ることではない。コンピューターを使って感動を巻き起こすことなのだ。スティーブ・ジョブズ 彼は、ただコンピューターを作りたかったわけではなく、コンピューターで世界を変えようとしていました。ペプシコーラの事業担当社長をしていたジョン・スカリーをアップルの社長に引き抜いた時の口説き文句は有名です。 このまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか?Do you want to sell sugared water for the rest of your life, or do you want to come with meand change the world? 彼はこの言葉どおり、本当に世界を変えてしまいましたよね。 私たちは彼のように世界を変えるほどではないにしろ...  私がしたいのは、よい●●を作ることではない。 ●●を使って感動を巻き起こすことなのだ。 あなたにとって、●●に入る言葉はなんですか?