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残されたのは67時間。

残されたのは67時間。

台風5号が過ぎ去ったと思ったら、6号と7号が発生し、6号は週末にかけて沖縄へ向けて近づいてきますね。 さて、牧野がサラリーマン時代のお話です。その会社に転職してちょうど1年ぐらい経ったころです。 金曜日の夕方6時、その日の仕事を終えた私は「さぁ今週も終わり。か〜えろっと♪」ってな感じで家路につこうとしました。帰り際にすれ違った専務(私より7歳ほど年下)に「例の対策、バッチリ? できた?」と聞くと、返ってきた答えが「牧野さん、まだ何もできてないんです...」 「え〜っ、マジ!?」と問い返す私。 「助けてくれ」と言わんばかりの表情の専務。 「今まで何やってたの!?もう残り時間ないじゃん!」と、私も呆れてしまいましたが「じゃぁ、今からすぐ始めるよっ!」と対策にとりかかることにしました。 「例の対策」とは、会社の主要製品の販売方法について、公正取引委員会から一番厳しい行政処分である「排除命令(現在は、是正措置)」が出ることへの対策です。 入社した頃から「これ、ちょっと大丈夫?」とは思っていましたが、新参者が口を挟むのはどうかとそのまま見守ってしまい、とうとう来たかという感じでした。 排除命令は事前に通知されて反論する機会も与えられていますが、そのまま反論はせず排除命令を受ける判断を会社はしていました(ここも言いたいことはいっぱいありますが割愛します)。このため、翌週月曜日の午後1時に公正取引員会が記者会見を開き、排除命令を発表することが事前にわかっています。 これは一部の社員の知るところとなり、なにせ会社の売上の大部分を占める主要製品に関することですから、社内には動揺が広がっていました。 この件は、公正取引委員会が調査に入った頃から「こういう厄介なのは僕がやっときます」とかっこよく専務が一切を担当しており、排除命令が確定してからの対策も「すべて僕に任せて下さい」と彼が大見得を切っていたので、いまさら何もできていないとは「オマエ、今まで何やっとんねんっ!」という気持ちをぐっと堪えて、会社の一大事ですからひと肌脱ぐことにしました。 さて、公正取引委員会の記者会見まであと67時間。迫真のドキュメンタリー(?)の始まりです。この続きはまた。

既存客からヒントを探れ

既存客からヒントを探れ

人口10万人あたりの新規感染者数が全国最悪となった沖縄。地元の感染者も増加しており、身近に迫ってきていることを感じます。 それでも今日は朝から地元商工会で経営相談。相談者のみなさんは感染防止対策をしっかりしてお越しください。 さらに、今日夕方にはTEORI WORKS OKINAWAで打ち合わせ。先週末、Chatworkで「いろいろと相談したいこと盛りだくさんです」との連絡。どうしたどうした?ドキドキ… 「相談したい事はあるけど整理出来ていないので、牧野さんに話して問題点を洗い出してもらいたいです!」とのこと。そういうことなら、まっかせなさいっ! ★ ある建築関係の下請けをされている個人事業主さんのご相談。鉄の溶接のお仕事をされているそうです。コロナの影響で、元請けからの工事の発注がほとんどなくなってしまったため、新規事業としてある種の構築物を販売したいので、補助金を活用して販促用にモデル展示を工場の敷地に作りたいとのこと。 これまでモノを売ったことのない人が、いきなりモノを売ろうとしていることに不安を覚えました。私からの質問は「それ、お客さんはどんな人達ですか?」 ご本人にもわからないとのこと。 「誰に向けて売るのかご自分でもわからないのに、補助金を活用するとはいえ何十万円もの自己負担をしてそれを建てるのは、リスク高すぎないですか?どうしてもやりたいなら、まずは縮尺模型とかにしてはどうですか?」 この私の問いには、相談者さんもかなり落ち込んだよう。 「元請業者さんからの仕事はなくなったとはいえ、一般のお客さんからの注文がなくなったわけではないでしょう。一般のお客様からはさまざまな注文が注文が入りますよね。これまでの溶接のお仕事の注文台帳はありますか?あるならば、それを読み返してみてください。これまでの注文の中にコロナを乗り越えるためのヒントがきっとあるはずです。」 これを聞いた相談者さんの顔はみるみる明るくなって帰っていかれました。 注文や販売の履歴には、なにがしかのきっかけが埋もれています。あなたは、売上帳や注文台帳をたまには見返していますか?

差別化とは、ある意味、●●を切り捨てること

差別化とは、ある意味、●●を切り捨てること

沖縄は暑い日が続いてますね。でも日陰にいると海からの風で心地よく過ごせるのが沖縄のいいところです。 ペンションのオーナーさんから相談を受けたことがあります。メゾネットタイプでゆったりと過ごせ、広い芝生の庭があり、海に近くて昔の面影を多分に残す集落にあるというロケーションの良さがウリ、ということだそうです。うん、のんびり過ごせそうですね。グループやご家族連れにも向いてます。確かに、宿泊施設としては差別化が図れるかもしれません。 ところが、もう一つの差別化ポイントを聞くとちょっと話が違ってきます。それは、ペット同伴可、ということ。家族の一員であるペットと一緒に旅行したい、という方にとっては、ペットも一緒に泊まれる宿泊施設は少ないので、大変ありがたいことです。 ですが、ペットを飼っていない方や飼っていても家の外で飼っている方などの中には、たとえ掃除や消毒がきちんとされていてもペットが泊まったことがある部屋はイヤ、という方が出てきます。 これは、「絶対イヤ」というお客を切り捨ててしまう差別化です。差別化の一面もあるかもしれませんが、ターゲットを絞り込んだという側面が強いです。 ターゲットを絞り込むと、そのターゲットを狙う競合との差別化を考えなければなりません。このペンションオーナーさんの話が腑に落ちなかったのは、ターゲットを絞り込んたという認識がないままに差別化を図る話をされていたからなのだと思います。 他社・他店との差別化を狙った場合、こういうこともあるってことは覚えておいてください。 とはいえ「ペットと一緒でなきゃ困る」というお客には熱烈に支持される、という側面もあります。 こう考えると、商売っていうのは自分で選んだ道に「賭ける」ってことなのかもしれませんね。 あなたのご商売の差別化はどうですか?

手段の〇〇化は思考を●●化する

手段の〇〇化は思考を●●化する

みなさん、4連休はどうでしたか? 本来なら東京オリンピックが始まっていて、今日は4日目の競技が行われていたはずなんですよね。 さて、4連休の前日から「Go To トラベル」がスタートしました。 「Go To トラベル」は4月30日に成立した第1次補正予算で事業費が組まれました。 ところが委託費が巨額だとして批判を浴び、6月に入って委託先の公募がいったん中止しましたが、6月半ばに「Go To イート」など他の事業を切り離して「トラベル」だけを国土交通省が委託先公募を開始しました。この頃、赤羽国交大臣が「8月の早い段階で開始したい」と発言していましたが、7月に入ってから7月22日への開始の前倒しが決定しました。 その後の迷走ぶりはニュースでみなさんの記憶に新しいかと思います。21日の事業者向け説明会では、事業者からの質問に対して役人が「検討中です」と答えるばかりで、事業者からは「明日から始まるんですよ」と呆れられるシーンがニュースにもなりました。 「Go To トラベル」の目的は、新型コロナの影響で経済的にダメージを受けている観光・運輸事業者を支援する、ということだったはずです。 ですが、 ・業界からの悲鳴 ・需要をアテにしていたオリンピックの延期 ・観光・運輸業界を支持基盤にしている有力政治家 ・国土交通大臣は連立相手の指定席 ・事業の受託に動く政商と揶揄される企業 ・最近支持率を下げつつある政権 ・得意の経済で政権の浮揚を図りたいという思惑 ・国と東京都との確執 ・リーダーのメンツ といったものが複雑に絡み合い、手段であったはずの「Go To トラベル」を「7月22日に開始すること」が目的化してしまった、ということは考えられないでしょうか。 目的をきちんと再確認すれば、軌道修正もできたのではないかとおもうのですが、これだけの利害関係者がいて「手段の目的化」の集団感染が起きてしまうと思考も硬直化してしまったということも考えられます。 このメルマガでは、この「手段の目的化」を何度か取り上げてきましたが、目的を見失わず、目標に照らして手段の軌道修正を図る柔軟な思考を持ち続けたいものです。

コロナで浮き彫りになった宝くじ

コロナで浮き彫りになった宝くじ

今週の沖縄の天気予報は晴れマークが続いてますね。4連休が楽しみになってきました。 車関係のご商売をしている社長さん。 老朽化した工場を建て替えるための資金調達のご相談にのっていたところ、今週になって「牧野さん、今月からコロナの影響で出はじめて、売上が去年の1/3ぐらいになりそう!」なんていう連絡が入りました。 おじいさんが始めて40年以上経つ商売を昨年はじめに引き継いだ3代目。個人事業ではありますが、従業員さんを4人ほど雇用されている立派な若い社長さんです。 よくよく聞いてみると、商売を引き継いでから売上を伸ばそうと観光関係の取引先からの仕事を受け始めたんだそうです。これが見事に当たり、毎月の売上が2倍以上に伸びたのでこちらに注力してきたんだそうです。 新型コロナの影響で観光業界が受けたダメージが、7月に入ってからこの社長のご商売に影響を与え始めたということのようです。 この観光関係の取引先からの売上は当面戻ってこないでしょう。 そこで二人で話し合ったのは、こんなことでした。 コロナで失ったこの売上は1年間限定の宝くじみたいなもの。だから1年前に戻るだけ。でも、この売上のために本業ともいえる40年かけて培ってきたお客様のほうがおろそかになっていたので、離れていったお客様もいるかもしれない。その人たちをきちんとそして丁寧に取り返しに行こう。そして新しい地元のお客様をゆっくりと丁寧に掘り起こしていこう。その方が安定した事業基盤が築けるに違いない。 ご商売によってコロナの影響はさまざまですが、あなたの受けた影響はどんなものだったのか、もう一度冷静に見直してはどうですか?