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あなたのお客は誰ですか?

あなたのお客は誰ですか?

受動喫煙を防止するための条例が、コロナ禍の中、昨年の4月から全国各地で全面施行され始めました。特にお酒を提供する飲食店からは客離れを懸念する声が聞かれましたが、始まって1年が過ぎてどうだったのでしょう?コロナ禍とのダブルパンチだったのでしょうか。 日本たばこ産業(JT)による「全国たばこ喫煙者率調査」によれば、喫煙者は年々減り続けて2018年にはピーク時の1/3にまで減ってしまいました。2018年の喫煙率は男性27.8%、女性8.7%、男女合計で17.9%。 JT自身も「当社は、喫煙者率が減少傾向にあるものと考えております。」の見通しを示し、2018年の調査をもってこの調査を終了しました。 たばこを吸える年齢=お酒を飲める年齢 ですから、お酒を飲める人のうちたばこを吸う人は5人にひとりにも満たないことになります。 このデータを例に挙げたのは、私が社長さんの伴走するとき常々気にしているのは「あなたの会社のお客さんは誰ですか?」だからです。 さて、はたしてお酒を提供するお店の禁煙化は、客離れを引き起こしたのでしょうか?コロナ禍でかき消されてしまい、実際のところはよくわかりません。 ただ、経済が今後通常に戻ってきたとしても、お客が変化してしまっていることは間違いありません。これはお酒を提供するお店に限ったことではありませんよね。ですから「自分のお客は誰か?」を注意深く見守ることにしましょう。

誰でもなれる2種類の専門家

誰でもなれる2種類の専門家

脳という臓器は、重さでは全体重の2%ぐらいしかないのに、基礎的なカロリー消費量(基礎代謝量)となると20%も占めています。囲碁将棋のプロ棋士は一局で体重が 2、3キロ減る人も少なくないといいますから、脳はとてもエネルギーを必要とする臓器なんですね。 1秒でも長く生き延びようとするのが動物の本能です。だから、人間の本能は脳をできるだけ使わないようにしてカロリーの消費を押さえているのかもしれません。それが前回お伝えした、人が現状維持を好む理由なのかもしれませんね。 成功体験も脳の活動の節約の一種ではないでしょうか。年齢とともに経験が蓄積されます。新しい機会に対しても過去の成功体験をあてはめて処理することで脳の活動を抑えているんじゃないかと。 日露戦争、連合艦隊によるロシアのバルチック艦隊との海戦。その勝利の前提ともいえた旅順攻略戦。最初に立てた作戦に固執するあまり、戦場を長期化させて次々と無駄に兵士を死なせていく乃木軍作戦参謀たち。しびれを切らした児玉源太郎は直接現地に赴き、到着するなり発したこんな言葉があります。 諸君は過去の専門家であるかもしれん。しかし、明日の専門家ではない。司馬遼太郎「坂の上の雲」文春文庫第5巻 P.99 確かに、成功体験が多ければ多い人ほど過去の専門家といえるかもしれません。成功体験に頼ることは明日の専門家ではなくなることを意味します。 過去の専門家と明日の専門家。あなたはどちらの専門家になりたいですか?

人間は、進歩か退歩かのいずれか。その中間は無い。

人間は、進歩か退歩かのいずれか。その中間は無い。

人間の脳は変化を嫌い、現状を維持を好むと言われています。 ストレスの社会心理学的方法である社会的再適応評価尺度(ライフイベント法)では、人生に起こるイベントのストレス度を0〜100点で評価しています(100が一番ストレス度が高い)。 それによりますと、離婚は73点とストレスが高いのは想像つきますよね。でも、幸せの絶頂ともいえる結婚が50点と高く、解雇・失業の47点と同じレベルなんですよ。他にも、個人的な輝かしい成功 28点、休暇 13点、クリスマス 12点 のようにポジティブなイベントも人間にとってはストレスのようです。 これほどまでに人間は現状を維持したがるんですね。 では、人間にとって現状維持が好ましいものなのかどうかというと、哲学者の森信三がこんな言葉を残しています。 人間は、進歩か退歩かのいずれかであって、 その中間は無い。現状維持と思うのは、実は退歩している証拠である。 となれば、小さな会社の社長は進歩を選択する以外ありませんね。

経営と思想

経営と思想

何年か前のことです。 人口1,000人ほどの沖縄の小さな島で、「離島の資本主義」を持論に奮闘されている社長さんがいます。もうすぐ70歳を迎えようというお歳です。経済産業省から「はばたく中小企業・小規模事業者300社」にも選ばれました。 この島へは日帰りができず、一泊しなければなりません。泊まれば島に数軒しかない居酒屋の一つで、その社長さんと二人で飲むのがこの離島出張中の密かな私の楽しみでした。また、社長さんが仕事で本島へやって来て泊まるときなんかも、会食の予定がキャンセルされたときなど、代打としてお声がかかります。 飲みながらこの社長さんが何度も口にしていたのが 牧野さん、仕事には思想がなければダメだよ、思想。牧野さんの思想は何? でした。 「普通にあるものがない」という離島の厳しい経営環境で、小さな企業がどうやって生き延びていけばいいのか悪戦苦闘しながら模索してきたこの社長さんの経営には、民俗学に造詣が深いことも相まって、なんというか思想性を感じていました。 そうした経営の中から生まれたであろう「離島の資本主義」にもそれを感じていた私は、事業や経営といったところから離れた人生論的な問いかけかと思っていたんです。 その社長さんと飲むときはノートにメモしながら飲んでいたので、「思想」と大きく書いてグルグルと○で囲ったのですが、そのノートもどこへ行ったのか。 ところが、昨日の新聞のコラムに、本田宗一郎さんのこんな言葉が掲載されていました。 社の連中に話をするのはみな、技術の基礎になっている思想についてである。すぐに陳腐化してしまう技術はあくまで末端のことであり、思想こそ技術を生む母体だ。 社員から「オヤジ」と呼ばれ、作業服姿の似合う「技術屋」のイメージが強い方なので、意外でした。 「思想」とは今なら・パーパス(存在意義)・ミッション(使命)・ストーリー(物語)に相当するだろう、とコラムの執筆者は解説しています。 あの社長が私に問いかけていたのは、こういうことだったんでしょうかね。

仕事の引き継ぎにとって大切なこと

仕事の引き継ぎにとって大切なこと

設立して10年、20年と経過した会社には、昔から引き継がれてきている仕事がたくさんありませんか? ・退職した人から引き継いだ仕事・前任者から引き継いだ仕事 といったものです。心当たりありますよね。 でも、その仕事がなぜ存在するのか理由を説明できますか?その仕事の目的といってもいいでしょう。 そして、その仕事、いまでも必要なものですか? 創業20年を超える沖縄県内の小売業さん。POSレジを導入して売り場業務の効率を高めていました。でも、なぜか閉店後のレジ締めにとても時間がかかってる。そのために毎日毎日、売り場の全員が残業することに。 レジ締めの業務を分析してみると、その原因は、たった一つの集計項目のために30分も費やしていたためだと判明しました。 その項目とは、創業当初から20年以上も続いている集計項目。それだけがPOSレジでは集計されず、電卓をたたいて集計していたんです。 なぜ、その集計項目が必要なのか。その理由を探っていくと... 先代の経営者が、創業後しばらくして集計を命じて毎日報告させていた項目だそうです。しかし、その後の経営環境の変化で必要性がどんどん薄れ....二代目にバトンタッチされた現在では、完全に不要な項目だとわかりました。 すぐに二代目から先代に対してお伺いを立ててもらい、即日その項目の集計業務は廃止となりました。 おかげで毎日のレジ締めが早く終わり、従業員のみなさんも残業をせずに早く帰れることに。 社歴の長い会社の社長さん、特に先代から経営のバトンタッチを済ませている社長さんは、昔から続いている仕事が現在も必要かどうかチェックしてみてはどうでしょう。 さらに、仕事を引き継ぐときは、その仕事が必要な理由、目的についても引き継ぐことをオススメします。