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ヤマを超えたあと、一番難しいこと

ヤマを超えたあと、一番難しいこと

公取の記者会見のあと、想定していたほどの混乱もなく日常に戻りましたが、これで安心して終わりというわけにはいきません。 これまでをまとめてお読みになる方は以下からどうぞ。第1回:https://banso-sha.jp/blog/20200812/第2回:https://banso-sha.jp/blog/20200813/第3回:https://banso-sha.jp/blog/20200814/第4回:https://banso-sha.jp/blog/20200817/第5回:https://banso-sha.jp/blog/20200819/第6回:https://banso-sha.jp/blog/20200821/ 大した混乱もなく日常の営業は続けられましたが、これで終わりというわけにはいきません。主要製品の販売方法について排除命令を受けた以上、改めていかなければならないからです。 金曜日の夜から日曜日にかけて検討し、ホームページやプレスリリースで公表した改善策をきちんと実施していくことに他なりません。 とても地道な作業です。スケジュールを決め、各対策の実施方法を定めて説明します。実際にやってみると現場から意見や質問が上がってくるので。それに対して変更するのか、あえてそのまま続けてもらうのか、意見交換しながら検討していきます。 また、対策がきちんと現場で行われているのかどうか、グループ各社を回って確認し、改善する必要があれば指示していきます。 これをコツコツ続けて、すべての対策を実施し終えたところで公正取引委員会に報告書を提出しました。 じゃぁ、もうこれで終わりかというとそうではありません。定着させて維持していかなければなりません。現場からの要望に対して応えたり、想定していなかったケースについての相談などもあります。現場の判断で基準が緩んでしまったり、止めてしまうということもありました。これは持久戦で、定期的にグループ各社を巡回して意見を聞いたり、相談に乗ったり、実施状況をチェックし続けました。 この地道な努力が1年後に思わぬ形で報われますが、それはまたの機会に。 実施した対策は、定着させなければなりません。この定着がいかに難しいか。 計画や対策を実施しても、最初はよくても時間が経つとうやむやになってしまう事業者さんをかなり見てきました。 あなたの事業所はどうですか?

あと13時間

あと13時間

公取の記者会見はいよいよ明日です。1日目の金曜夜は、問題を 1.排除命令への対応 2.排除命令によるビジネスへの影響の2つに特定し、2日目の土曜日は、行政処分なので最優先かつ必須の1.についての対応策の策定。3日目の日曜日前半は、2.の影響範囲について、フレームワークを使ってもれなく洗い出したしたところまでを終えています。今回からお読みになる方は、第1回から第4回もご覧下さい。第1回:https://banso-sha.jp/blog/20200812/第2回:https://banso-sha.jp/blog/20200813/第3回:https://banso-sha.jp/blog/20200814/第4回:https://banso-sha.jp/blog/20200817/影響範囲を考えるに際して、一般的に考えられているステークホルダーの枠組みを利用しようとしました。・株主・債権者・得意先・仕入先・地域社会・行政機関 これに社員・従業員を加えて、専務と一緒に考えることにしました。 ■ 株主 一般的な中小企業のように、経営陣がすべての株を所有しているので、この場合考える必要はありません。 ■ 債権者、仕入先 まず、借り入れがあるので金融機関ですが、こちらは経営陣に任せることにしました。買掛金についてもほとんどの買掛先がグループ企業でしたので、こちらも対処不要。原材料の仕入先については、営業に支障が出ていないことを示すのが先だと考え、これも対応はひとまず置いておくことにしました。 ■ 地域社会 地域社会というか、この場合は業界でしょうか。公取から販売方法について指摘を受けた主要製品は、20年にわたって製造販売してきたもので、こうしたケースは競合会社が公取に情報を流して訴えているケースが多いそうです。ですので、対応のしようがありません。 ■ 行政機関 公取については、前日に1.の排除命令への対応策の検討を終えています。許認可事業でもありませんので、ここも対応の必要はなさそうです。 ■ お客様・得意先 直営店での小売と、小売店・卸業者への卸販売を行っていました。売上規模でいうと6:4で直販でしょうか。 (1)お客様への販売方法に関して排除命令を受けたわけですから、1.の排除命令への対応策で検討した販売方法の改善策がまず最優先。これを販売の現場で徹底することです。 (2)次に、この件に関してお客様からのお問い合わせに対してどう答えるか。ここはもう誠実に答えることに尽きます。想定される問い合わせの答えを用意しました。 (3)そして、返品を希望されたお客様へどう対応するかです。ここは最悪のケースを想定し、費用算出しておきました。専務には最悪ケースの場合の覚悟については経営陣に説明しておいてもらうよう依頼しました。 卸売先についても、基本的には①、②を小売の現場で徹底してもらうこと、③は卸先についても同様です。 また、今回の排除命令を受けた経緯と対応についてホームページでの掲載文を作成し、公取の記者会見の開始時刻と同時刻にUPするよう手配をかけました。 ■ 社員・従業員 社内、グループ内に動揺が広がっていますから、販売方法の改善を徹底していく上でも肝心なところです。ですので、  - 不安にならないこと。動揺しないこと。 - (1)、(2)、(3)を会社としての対応策とするので、これを社内に周知徹底すること。 - 公取の記者会見後は、マスコミの電話や取材が来るだろうけれども、全て専務か牧野に回すこと。 以上をメールにして各職場の責任者に送り、月曜日の朝一番で朝礼を開き、メールの内容をプリントして配って説明するよう依頼しました。 各職場への責任者へメールの送信ボタンを押したところで、やれることは全てやりました。 13時間後の明日は、ついに公取の記者会見です。 この続きはまた。

あと25時間

あと25時間

さて、公取の記者会見は明日です。1日目の金曜夜は、問題を 1.排除命令への対応 2.排除命令によるビジネスへの影響の2つに特定し、2日目の土曜日は、行政処分なので最優先かつ必須の1.についての対応策の策定したところまでを終えています。 今回からお読みになる方は、第1〜3回もご覧下さい。第1回:https://banso-sha.jp/blog/20200812/第2回:https://banso-sha.jp/blog/20200813/第3回:https://banso-sha.jp/blog/20200814/ 3日目の日曜日は、問題の2つめ「排除命令によるビジネスへの影響」について対策を考えます。 ここでも、いきなり考え始めるのではなく、 (1)影響がを受けるところはどこか (2)その影響はどれくらいかを分けて考えなければなりません。 さらに、(1)については「どこ」の検討に漏れがあっては、対策を何も考えていないところができてします。また、「どこ」にダブりがあっては、同じところに全く違う対策を施して混乱させることになりかねません。そこで、漏れやダブリを防ぐにはフレームワークが使えると便利です。フレームワークとは、検討対象に対して「これなら漏れもダブりもないよね」と認められている枠組みです。 フレームワークの簡単な例としては、消費者という検討対象に対して「性別」「世代」「居住地」などがフレームワークにあたります。漏れもダブりもないですよね。 学生、社会人、若者、中高年、というような分け方では、漏れもダブりも出てしまいます。 漏れなくとダブりなく検討することが大切です。そのためにフレームワークを活用するのが有効です。 排除命令で影響を受けるのはどこか。漏れなく、ダブリもなく洗い出すために使ったフレームワークは「ステークホルダー」。利害関係者のことです。 一般的には、企業(株式会社)のステークホルダーは・株主・債権者・得意先・仕入先・地域社会・行政機関といったものがあると言われています。 まだ、対策には取り掛かっていません。公取の記者会見は翌日13時。 この続きはまた。

あと37時間

あと37時間

旧盆はまだ先ですが、今日は内地ではお盆の中日ですね。 今回からお読みになる方は、第1回と前回もご覧下さい。金曜日は、問題は何かを確認しました。問題とは 1.排除命令への対応 2.排除命令によるビジネスへの影響の2つで、1.は行政処分なので、最優先で必須でした。 排除命令への対応は ①公正取引委員会は、自社の販売方法について  ・どこが  ・どのように  問題だとしているのかを把握する。 ②公取から指摘された点にどう対応するかを考えるの2段階でした。 まず、公取からの通知文をしっかりと読み込んで、何を問題としているのかを洗い出します。記憶では指摘された点は6つほど。さらに、その6項目のどこがいけないのか、問題とされた理由を把握していきます。 第2段階は、その6項目について対策を検討していきます。ここでいちばん大切なことは、公取が問題としている理由に対してきちんと応えているか。 「ここがいけないということなので改善します」だけではなく、「これで、公取さんが問題とされた理由は解消しましたよね」といえるかどうかです。 これ、お客のクレーム対応も同じではないでしょうか。お客がいったい何に対してどう不満なのか、そこを解消しない限りお客は納得しませんよね。 検討された対策については、実行可能かも検証が必要です。・費用はいくらかかるのか。・手間がどれくらい増えるのか。・人員は足りるのか。など、実際にやれるのかも検証した上で、対応策として決定します。 日付がかわるころ、ここまで終えたところで、土曜日は終了。公取の記者会見まで、あと37時間です。

残り61時間

残り61時間

公正取引委員会による排除命令の記者会見は月曜午後1時。今は金曜の夕方6時。記者会見までに残された時間は67時間。さあどうする? というところまでが前回でした。 緊急事態が起こった時にまずしなければならないことは「問題は何か」です。 ここで感情的になってしまう方がいますが、それは危険です。あの当時にもそういう反応をされる方々がいました。ですが、感情的なってしまったら問題を悪化させることはあっても、良い方向へ向かわせる要素は何もありません。自分が感情的になっているようだったら、第三者的に冷静に見てくれる信頼できる人を側においた方がいいと思います。 ここでは「排除命令とは何か」を把握することが肝心です。 排除命令は公正取引委員会が出す行政処分で、「あなたの会社には、この点について、こういう問題のある状態です。だからこの状態を排除しなさい」という命令です。 名称自体がわかりにくいので、現在では是正措置命令と改称されているようです。「是正しなさい」の方がわかりやすいですね。 そうとわかれば、 ① 公正取引委員会は、自社の販売方法について ・どこが ・どのように 問題だとしているのかを把握する。 ② 公取から指摘された点にどう対応するかを考えるという2点に問題が集約されます。 ここで、公正取引委員会が記者会見して社名が公表されるので、自社のビジネスが影響を受けるのではないか、という問題もありますが、これを混同して考え始めると収集がつかなくなります。 ここでも「問題は何か」ということが重要です。  1.排除命令への対応 2.排除命令によるビジネスへの影響 というように問題を分けて考えなけばなりません。 また、この場合、行政処分である排除命令への対応が最優先でかつ必須であることは議論の余地がありません。 ですから、ビジネスへの影響を考えるのはその次になります。 排除命令への対応については、専務がいくつか素案を用意していたので、それについて議論し、それでも対応しきれていない公取からの指摘事項も含めて土曜日に検討することで金曜日を終えました。 公正取引委員会の記者会見まで残り61時間。