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経営理念

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社長を「本当の孤独」にしない人 / 実績 / プロフィール / 二代目にならなかった物語 ■ お客様と共有するスタンス 勝つことよりも負けないこと ■ お客様と共有する成功の定義 お客様の事業目的の実現 ■ お客様へ提供する価値 社長を「本当の孤独」にしない ■ 経営理念 自利利他(じりりた) 『自利利他』とは、仏教用語で「自らが修行で得たものを他の人のためにも役立てる」ことを意味します。すなわち、私たちがこれまでの研鑽で得た知識・経験・スキル・ノウハウ、さらにこれからの研鑽で加わる新たな知恵も含めて全てをお客様のために役立てます。 さらにこの『自利利他』は、論語の「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す(*)」と同じ意味だと考えています。つまり、お客様が成功することが、私たちの成功。そして、お客様の社会貢献を実現することが、私たちの社会貢献なのです。*自分が身を立てようとするなら人を立て、自分が事を成し遂げようとするなら人が事を成し遂げるようにする(論語・雍也第六) 継往開来(けいおうかいらい) 『継往開来』とは、孔子を祖とする儒教の体系化に功績のあった朱熹(しゅき)が残した言葉とされており、「過去から現在に至るまでの歴史を継承しつつ、未来に向けて新たな展開を開くこと」を意味します。創業100年を超える世界中の企業のうち、約40%が日本の企業です。さらに創業200年を超える企業となると65%が日本の企業です。この数字を見るとき、経営の分野においても日本の風土の中に守るべきものがあるはず、という思いが湧いてきます。私たちが生きる『いま』は、『これまで』を生きた人たちの遺産です。先人が残してくれた偉業を受け継ぎ、次の時代へ残すべく『これから』の磨きをかけたい。私たちは、心と技の研鑽を重ねるお客様とともに、技を人に役立て、心を未来へとつなぎ、伝統が大切に受け継がれる社会を目指します。 徳技両成(とくぎりょうなり) 『徳技両成』とは、日本に古くから伝わる教訓の一つで「人が道徳的な価値観を持ちながら、同時に技能や技術を高めること」を指します。「経営」というと知識や方法といったいわゆるテクニックが尊重されがちです。しかしながら、経営にまつわるそうした道具は、使う人の「在り方」次第で、世の中に役立ちもすれば社会に迷惑をかけることになりかねません。切磋琢磨という言葉の意味について中国の古典「大学」によれば「切磋とは学び続けることであり、琢磨とは徳を積むこと」だそうです。私たちは、「知の切磋」はもちろんのこと、「人の琢磨」に一層努めます。 ■ 社是 誠実・公正・感謝 誠実なお客様と、誠実に仕事をする。公正なお客様と、公正な取引をする。誠実・公正なお客様と、一緒に仕事ができる有り難さに感謝する。 社長を「本当の孤独」にしない人 / 実績 / プロフィール / 二代目にならなかった物語

社長を「本当の孤独」にしない人

社長を「本当の孤独」にしない人

4年ほど前のことです。ある若い社長さんから 「牧野さんってつまんないだも〜ん」 って言われたことがあるんです。その理由を聞くと、 「経営コンサルといっても牧野さんからは、お金の稼ぎ方とか儲かるネタが出てくる気がしないもん。牧野さんって、安定経営ですよね」 ということでした。 確かに私は、この社長さんが言うように、お客さんに安定した経営をしてもらいたいと考えています。 ただ、あのとき、お金の稼ぎ方や儲かるネタとの対比で「安定経営」と言われたことにちょっと引っかかりがありまして。 私だって、コロナ禍で売上が急減したお客さんの売上を数ヶ月でコロナ前の3倍以上に引き上げたこともあります。けれども、それはお客さんの経営を基本から見直したところ、結果としてそうなったということ。あくまでも意図していたのは、課題を解決して経営を改善することでした。 問題点を改善すれば売上を伸ばすことだってできるんです。むしろ、売上はそうやって伸ばすべきだと思っています。 あのとき以来、ただの「安定経営」で片付けるのではなく、この私のスタンスをうまく表現する言葉をずっと探していました。 先日、東京で活動しているマーケティングのプロフェッショナルの方とzoomで話をする機会をいただきました。 この方は、私の話を聞きながら 牧野さんの考え方は、孫子の兵法に近いですね とおっしゃったんです。 「ん?」ですよね。 この人、孫子の兵法も研究されているんです。 『兵法』というからには、勝つためのものだと思いますよね。実は、孫子は『負けないこと』のほうにより重きを置いてるんですよ。 とのことでした。 それを聞いた私は、「そ、それですっ!」 私のコンサルティング方針が言語化された瞬間でした。 『勝つことよりも負けないことを重視する経営で、小さくても強い会社にする』 方針がこのようにはっきりとした言葉になると見えてきたことがあるんです。 それは「成功の定義」 成功を「稼いだお金の大きさ」で捉えている人もいることでしょう。それも一つの成功の尺度です。お金を稼げなければ事業の継続も難しくなります。 その一方で、現在の私のお客さんたちは、お金を稼ぐことも大事だけど、それよりも 「事業目的の実現」 に重きを置いている人たちばかりだなぁ、と。 「事業目的の実現」こそが お客さんと私が共有している成功・ゴール なんだと気づいたんです。 ここまでわかってきたところで先日、コメダ珈琲でモーニングしながらお客さんと打ち合わせして、そのまま一緒にランチしたんです。 食べ終わった後、コーヒー飲みながらそのお客さんと雑談しているときに、先述のコンサルティング方針と成功の定義を話をしたんです。 そうしたら、そのお客さんが大きくうなずいて 牧野さんに何かしてもらおうとか、成果を求める人は、間違ってる って言うんです。 「どういうこと?」 毎回、あれこれ話して、牧野さんに私の頭の中を整理してもらう。そしたら問題点が見えてきて、一緒に対策を考える。対策が決まったら、牧野さんが私のやるべきことを細かく分解して整理してくれる。そうしたら、あとは、私はやるだけ。牧野さんがこうやって整理してくれることに、私は高いお金を払う価値があると感じてるから。 と言ってくれたんです。だから牧野に何かやってもらおうとか、成果を求めるのは間違っている、ということでした。 経営しているのは私。だから、整理してくれたことをやるのは私。やって結果を出すのも私。牧野さんじゃないもん。 私の価値をこれほどまでに理解してくれている人が目の前に座っていることに、コメダ珈琲で泣きそうになりました。 <私が提供する価値>1. 頭の中を吐き出す。2. 頭の中が「整理される」。3. 課題が見える。4. やるべきことが「整理される」。5. あとはやるだけ、になる。 このエピソードを大阪のある女性社長に話したところ 牧野さんは社長を孤独にしない人よね。 と言われたんです。 社長は孤独、って言われるでしょ。最後は一人で決めなきゃならないからだとかという理由で。でも社長の『本当の孤独』は違うのよ。社長の『本当の孤独』っていうのは、アウトプットできないこと。社長だったら、いろんな情報をたくさんインプットしてるはず。でも、アウトプットできない、ってことが『本当の孤独』なのよ。あふれかえる情報をインプットして、あれこれと考え込んでごちゃごちゃなった頭の中を全部吐き出して、整理すること。これが私がいうアウトプット。とはいえ、一人ではなかなかできるもんじゃないでしょ。相手が必要。ただ吐き出すだけの相手なら、社長なら周りに何人もいると思う。だけど、的確に整理までしてくれる人なんてなかなか見つからない。だから社長は孤独なの。これが社長の『本当の孤独』コメダで泣きそうになってわかったじゃない。牧野さんは、社長を『本当の孤独』にしない人。社名のとおり、社長に寄り添う人。 と一気に話してくれました。 牧野は、社長を「本当の孤独」にしない人 いま、世の中に情報は溢れかえっていて、スポーツやビジネスに限らず、その世界では一流と言われる人たちが動画で詳しく解説してくれる時代です。それも無料で、しかもカンタンにアクセスできます。 そう考えれば、監督なんかよりはるかに優秀だとか感覚を持ってる人間のアドバイスを一瞬で手に入れられるんですよ。 こう語るのは、2022年夏の甲子園で真紅の優勝旗をはじめて東北にもたらした仙台育英高校の須江監督。 須江監督ご自身は高校時代にマネージャーに転向し、選手経験はほとんどありません。にもかかわらず、強豪校の監督としてその手腕が注目され、すでに3冊もの著作があります。 大量にあふれかえる質のいい情報に生徒がいつでも触られる現代においては、高校野球の監督自身にも変化が求められるのでしょう。だから監督の役割っていうのは、もうカリスマ的に何かを指導したりするものでもないし、思考の交通整理をするのが監督の役割なんですよ。情報が多すぎる時代なので、その多すぎる情報を一緒に整理してあげるんですよね。 変化が激しい情報過多の現代。高校球児であっても、社長であっても、必要とされるのは、須江監督のように「一緒に整理する人」なんだと思います。 プロフィール / 経営理念 / 実績 / 二代目にならなかった物語

実績

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目次 公職等セミナー・講師実績経営診断・経営相談実績メディア掲載 公職等 ■ 中小企業庁 第10回経営発達支援計画認定に係る書面審査員 (2022 − 2023)■ 独立行政法人中小企業基盤整備機構 地域活性化チーフアドバイザー (2016 – 2018)■ 沖縄県 工芸産地組合高度化支援事業検討委員 (2016) 小規模事業者等デジタル化支援事業 DXアドバイザー (2022 - 現職)■ 八重瀬町 中小企業・小規模事業者振興基本条例検討委員会 委員 (2021 – 2022)■ 八重瀬町商工会 理事 (2018年 – 現職) 伴走型小規模事業者支援推進事業評価委員 (2017 − 2018) 地域内資金循環事業等検討委員会委員 (2018 – 2021) 地域内資金循環事業等検討委員会委員長 (2022 – 現職) 経営発達支援計画評価委員 (2018 – 現職)■ 八重瀬町トビウオプロジェクト協議会 ブランド構築全体コーディネーター (2018 – 2019)■ 沖縄県商工会連合会 エキスパート・バンク登録専門家 (2016 – 現職)■ 沖縄県商工会議所連合会 エキスパート・バンク登録専門家 (2016 – 現職)■ 中小企業庁 ミラサポ専門家派遣登録専門家 (2016 – 2021)■ 沖縄県中小企業家同友会 広報委員    (2021 – 現職) 南部支部 幹事 (2021 – 現職) セミナー・講師実績 ■ 「事業計画策定セミナー」  主催:南城市商工会 2022年■ 「初心者向け経理管理セミナー」  主催:南城市商工会 2022年■ 経営基礎講座「損益分岐点(管理会計)」  主催:中小企業家同友会那覇支部経営委員会■ 沖縄県商工会議所連合会 経営指導員研修 「知的資産経営と知的資産経営報告書の作り方」  主催:沖縄県商工会議所連合会 2018年■ 沖縄県高度工芸技術者養成研修 「創業へ向けた経営セミナー」  主催:沖縄県工芸産業協働センター 2018年, 2019年, 2020年, 2021年■ 八重瀬町商工会 伴走型支援事業 「経営計画セミナー」  主催:八重瀬町商工会 2019, 2020, 2021, 2022年度 「事業計画策定セミナー」  主催:八重瀬町商工会 2021年度■ 創業支援関係 「事業計画の作り方」  主催:与那原町商工会 2021年 「事業計画書の作り方」  主催:那覇市創業・就職支援センター 2020年 「いざというときのための経営セミナー」  主催:那覇市創業・就職支援センター 2020年 「事業計画の作り方」  主催:八重瀬町商工会 2018年■ 自主開催セミナー 多数  プロジェクト管理思考 2019年  強社化事業計画 2019 – 2020年  ロジカルシンキング 2021年 − 現在  ドラッカー流リーダーシップ 2022年 - 現在  資金調達 2022年 − 現在 経営診断・経営相談実績 ■ 八重瀬町商工会 新型コロナウィルス感染症対策経営相談窓口設置事業 経営相談員 (2020年)■ 南風原町商工会 新型コロナウィルス感染症対策経営相談窓口設置事業 経営相談員 (2020年)■ 沖縄県 創業等支援診断助言事業 経営診断員 (2018年)■ 沖縄県内を中心に、151社の中小企業・小規模企業・個人事業主に対して経営診断・経営相談を実施  2016年 – 現在 メディア掲載 ■ web マガジン「Re・rise News」  2021年 https://youtu.be/ejn7a9CuJkE 経営理念 / 社長を「本当の孤独」にしない人 / プロフィール / 二代目にならなかった物語

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伴走舎 代表・中小企業診断士八重瀬町商工会 理事牧野 誠 経営理念 / 社長を「本当の孤独」にしない人 / 実績 / 二代目にならなかった物語 ■ 業務内容 勝つことよりも負けないことを重視する経営で、小さくても強い会社にする専門家 経営に関する悩みや課題を総合的にご相談、解決していきます。 □ 経営コンサルティング□ 目標実現のためのプロジェクト管理□ 業務の効率化、改善□ システムの導入時のITコンサル□ 融資にまつわるご相談□ 各種手続きのご相談□ その他経営にまつわるご相談 経営をしていると、 「これって誰に相談したらいいの? 」 ということが、よく あると思います。 税金の事なら税理士、役所への手続きなら司法書士、社会保険や労務の問題なら社会保険労務士、ITのことならITコンサルタントなど、それぞれの分野の専門家がいて、何か問題があれば、それぞれの専門家に相談することになると思いますが、経営っていろんなことがつながっているし「これは?」「あれは?」がいっぱい出てきて、「あ〜ん、もうわんない!」ってなりませんか? しかも、その分野ごとに、いちいち最初から会社のことを話さないといけないというのも「めんどくさい」し、おまけにその専門家から 「それは○○士さんに聞かないと」とか言われると「え〜!?また?疲れる…」ってなりますよね。その結果、 「どうしたらいいの?」「何をしたらいいの?」「どうするべきなの?」 という状態になると思います。 このような経営の悩みをトータル的に相談できる人って、いないの? そうすれば、 何か困ったりしたら、なんでも相談できて、パートナーとして側にいてくれたら、とっても助かる! と思いませんか? それが私の仕事となります! 経営に関するすべてについて相談ができて、あなたの会社を目指す方向にサポートしながら伴走していきます!つまり、「経営の専門家」があなたと一緒に 、会社経営という荒波を乗り越えていくんです。 ところで、 このような悩みや課題を抱えていませんか? ・職人の仕事に集中したいから、 経営に関しては側にいてアドバイスが欲しい 。・売上を上げたいけど、何から手をつけていいのかわからない。・会社の効率化を図りたいけど、どうすればいいの?・売上は上がっているけど、会社の経営は苦しいまま。・どうすれば、利益を出せるようになるの?・官公庁への手続きってよくわからない、何をしたらいいの?・登記とか 税の申告とかってどうすればいいの?・会社を引き継ぐことになったけど、 何から始めたらいいの?・効率化のために IT(システム)を入れたいけど、何からやればいいの? 社長のあなたが「安心」できるように、私【 牧野 】がしっかり伴走しながら、支えていきます。 と言われても、私【牧野】のことをまだよくわからないですよね。そこで、簡単に経歴とかやってきたことをご紹介します。 ■ 経歴とやってきたこと 実は私、元々はシステムエンジニア出身なんです。 主に、 会社における業務改善のために IT(システム)導入するためにどうしたらいいのかということを、 設計・プログラミング・構築 というようなことを手掛けてきました。 特に、管理業務の改善や効率化を図る為のシステム導入に携わることが多かった為、必然的に会計の知識を求められることから、ひたすら会計の勉強をしまくりました。おかげで、会計の知識はある方だと自負しています。 また、経営に関することもひと通り知っておかないと、経営管理システムの構築は出来ないので、いろんな社長さんとお会いしてお話を聞くなどして経験を積んできました。 そしてシステムの導入にあたって 、重要な仕事が、【プロジェクト管理】と言われるものです。 システム構築し導入するまで、一連の作業工程をプロジェクトと呼びます。このプロジェクトを無事に完了させる為に、しっかり管理することが、プロジェクト管理なんです。 プロジェクト管理には、システム構築の為に必要な人員集めから、役割分担、スケジュール、進捗の管理、作業の効率化、トラブル対応など、納期を守りつつ完了させるスキルが必要となってきます。 つまり、このプロジェクト管理のスキルというのは、【目標を設定して、達成まで導く能力】です。また、リーダーの役割や部下の動かし方、他部署との連携や、トラブル対応など多岐にわたるので、全ての会社において共通して必要なスキルとなります。 このプロジェクト管理という仕事を、私は、約20年ぐらい続けてきました。 この20年の間に、システムエンジニアから国内大手コンサルティング会社を経て、沖縄へ。製造・観光業の企業2社においてバックオフィスの改革、ITを活用した経営・業務改革に取り組みました。 しかし、50歳を目前にして体力的にも精神的にもキツくなり、転職したところで、収入は下がることが目に見えていたので、それなら「独立」しかないのかなと考え始めます。 そして、今までの経験から「経営コンサルタントだな!」と考え、中小企業診断士の資格を取れば、安泰かなと思い、資格をとるための勉強を開始しました。 難関の国家資格でしたが、見事、2年という短期間で合格!2016年3月に「牧野誠中小企業診断士事務所」を開設しました。 ここまでは順風満帆!しかし、開業してからお客様がゼロの状態が続きます。 なぜ?どうして?という日々が続きます。実績もあるし、資格もあるのにお客様がいない。 当時の私は、「経営の事を知っている」と「実際に経営をする」の違いをわかっていませんでした。 経営を上手く行うためには「知識」は絶対に必要です。しかし、「行動」しないと経営は成り立ちません。サラリーマン時代と違って、自分で仕事を作らないといけません。 よく考えてみると、会社から与えられた仕事をずっとしてきました。会社から仕事をどんどん与えられ、それをこなす事に疲れと嫌気がさしていましたが、仕事があることの大切さを自分で経営するようになって初めて気づきました。 経営に関する知識と実績は確実にあります。これまでも課題を解決し、「目標」を達成してきました。 では、何が足りなかったのか? 私に足りなかったのは、「自分事にする」ということ。これまでの実績や資格に依存しすぎて、自分の事をよくわかっていなかった。自分が本当に何をやりたいのか? という「目的」がなかったのです。 目的がないから、その方向に向かっていけない。行動力が発揮できない。実践での経営ではこの「目的」がとても重要なのです。 だから大切なのは、私自身が経営する「目的」です。 サラリーマン時代というのは、仕事や会社の「目標」の達成ばかりをやってきたのです。もちろん、経営知識という点では「目的」は大切と知っていましたし、自分なりには「目的」を持ってやっているつもりでした。 でも当時は、それは表面上というか、「困っている経営者を助けたい」みたいな、ありふれた理由でなんとなく目的として都合よく当てはめていた、という感じだったのです。 だから、最初のターゲットはコンサル料金を支払えそうな、ある程度の規模の企業に絞って、営業をかけてみましたが、どこか、上手く歯車が噛み合わない。そして仕事が取れない焦りから、相手の心配よりも契約を取ろうと躍起になっていました。 そりゃ、上手くいかないですよ。自分の売上、目先の利益。自分の事しか考えていない。そんなの相手にもちゃんと伝わっています。 そこで、ようやくプライドを捨て、専門のコンサルにお願いをして、私の分析をしてもらいました。意外と自分のことは自分でわかっていないと思ったからです。そして何度もコンサルに言われてきた「目的」を探し始めたのです。 私は、昔から人の役に立ちたいとは漠然と思っていました。そして人の役に立っている仕事をしている人を見るたびに心から尊敬していることに気づきました。そして自分では、そんな立派なことはできないけれど、こういう人たちを応援したいなと日頃から思っていたのです。 実は、昔からそう言うところがありました。スポーツを見るのが好きで、頑張っている姿や、自分ができない分、鮮やかなプレーを見たくて、応援する事が好きだったのです。 そうか! 自分は、夢中になっている人や、頑張っている人、そして単なる金儲けだけでなく仕事に対して誇りや夢を持っている人を「応援」したいんだ! これが私の「目的」だ! ・小さくとも夢の実現に向けて頑張っている社長・伝統のある家業を継いでなんとか頑張ろうとしている社長・職人気質で自分の技術だけに集中したい社長・新しいことに挑戦し、世の中に役に立ちたいと考えている社長・やりたい事に本気で取り組んでいる社長 こんな経営者を「応援」したい! そして、立ちはだかる経営の課題や困難を乗り越えられるように、私が助けたい、サポートしたい!できることなら、側に寄り添って、一緒にその夢の実現を叶え、一緒に喜びを分かち合いたい!それなら、私にできることは 伴走者でしょ!一緒にゴールまで導くことでしょ! という事に気づいたのです。とてもスッキリしました。やる事が決まった瞬間でした。そこからです。目的が決まれば、やることが見えてきます。やることの「目標」が定まれば、ここからは私の得意分野です! すると、どんどん仕事が決まり始めたのです。 自らの目的に従い、目標に向かって、コツコツやってきたことが確実に身になっているのを感じました。 そこで、私が感じたことは、焦ったり、楽な道を探して、一時的なお金を手にして経営が安定したと思っても、すぐに不安定になるということ。 そんなジェットコースターみたいな経営して、自分のやりたい事業に集中できますか? そして、そういう経営は、やはり「目的」がありません。 当時の私のように「目的」が見えていない状態だから、あちこち、色んな誘惑に惑わされて、目の前の利益だけにしか目が行かなくなってしまっているのです。 だから続かない。 私が考える「経営」とは、 地道で派手さはなくとも、コツコツ積み重ねていくこと!瞬発力はないかもしれませんが、確実に強く、安定しながら成長していくことです。遠まわりのようですが、経営は長期戦です。 もちろん、お金儲けのために一気に楽にお金を集めたい方もいらっしゃると思いますが、それは一時的なものです。長くは続きません。 私は「経営」とは「継続すること」だと思います。 継続できるから社会に役に立つことができる。そして社長さんも社員の皆さんも安心して仕事を続ける事ができる。 私は仕事があるという事のありがたさを身に染みてわかっています。 自分で経営を行なって、初めて、社長としての悩みを実感しました。サラリーマンの時に接していた社長さんの悩みを、今になって、本当の意味で理解できたと痛感しています。 だから安定して、経営を続ける事ができるということは、すごいことだし、とても大切なことだと思います。 そして、私は今でもコンサルを受けています。 なぜなら、私の経営を続けていくことに必要だから。 相手のことは、色んなことが見えたりしますが、自分のことは自分ではわかりにくいものだから。 あなたが社長だからといって、全てが出来ないといけない!全てがわかっていないといけない!という訳ではありません。 足りない部分は、できる人にお願いをするというのも「経営」を継続させるための手だと、私は思います。 経営はやはり「生き物」だと私は実感しました。やはり人が行うものなので、感情や価値観、想い、そして環境や運までもが経営に影響を与えていきます。 最初の頃の私のように、知識だけでは経営はできません。私自身も経営者の一人として、「やっぱり経営って難しい」って感じています。 だからこそ、 経営の悩みや課題を一人で抱え込むのではなく、相談できる人、話を聞いてくれる人、助けてくれる人、 つまり、 あなたの事を応援してくれる人を増やすことが、実は「経営の本質」ではないでしょうか。 私には伴走者として、社長さんとゴールまで一緒に導くという目的があります。その導くための技術として、経営に必要な豊富な知識と実践での経験で学んだことがあります。 そして同じ経営者として、経営の苦しみは十分に理解しています。 だからこそ、伴走して苦しさも楽しさも一緒に分かち合いたいと思っています。 単なる、相談窓口としてではなく【伴走者】として。 だから屋号も「牧野誠中小企業診断士事務所」から、私の想いが詰まった「伴走舎」に変更しました。 そして、ご契約いただいている社長さんと一緒に、ゴールを目指して、 勝つことよりも負けないことを重視する安定経営で、小さくても強い会社にする! 「経営の専門家」牧野誠が今日も伴走しています。 【できること、得意なこと】 経営に関することの全てをご相談、アドバイス、サポートができます!※登記や税務などの代行業務はできませんが、必要書類、書き方などのご相談はできます。 その中でも、【プロジェクト管理】は得意です。あらためて、 プロジェクト管理を簡単に説明すると、 目標を設定して、達成まで導くことです。 どの会社でも、目標があり、それを達成するために試行錯誤していますよね。そして、なかなか達成できないとか、中途半端で終わるのは、目標の立て方、課題の解決、チームの役割、スケジュール管理などが上手く機能していないからです。これらを上手く機能して達成までに導くのに必要なのが、プロジェクト管理のスキルなんです。 また、その過程で生まれるのが、・なんで、そんなことをやっているのか?・もっとこうすれば、すぐ終わるのに!という効率化と改善へと繋がっていきます。 つまり、あなたの会社の売上を上げたい、生産性を上げたい、残業を減らしたい等、目標を達成するためのサポートを行っています! もっと具体的に、このスキルを用いた伴走の内容をご説明すると、 目標に対して、 【現状】と【未来】と【日常】を管理すること。 【現状】➡︎ 今、目の前にある課題のあぶり出しと解決【未来】➡︎ これから起きるかもしれないリスク対策【日常】➡︎ 通常業務の効率化・改善 これらをしっかりアドバイスすることで、目標達成へと導きます。 プロジェクト管理能力で必要な代表的なスキルとして、 ・課題解決力・管理力・実現力 がありますが、これに関しては20年以上の実績と経験があります。こうしたスキルを用いてしっかりとサポートしていきます! だから、あなたが、 ・課題や壁にぶつかった時・戦略・戦術、計画の立て方に困った時・スケジュールや人の管理の仕方に困った時・目標実現に必要なヒト・モノ・カネの運用の仕方・先が見えないリスクの回避(対策) このような事に困った時に、いつでもご相談、サポートを行っていきます! 【お客様から一番聞かれる質問】 「どうしたらいい?」 お客様から一番質問される言葉です。こんな時って、お客様である社長さんはどういう状態だと思いますか? 答えがわからなくて、困っている状態と思われている方が多いのですが、実は、 ご本人自身が、頭の中の整理ができていない状態だけなのです。 答えはもちろん、何が問題なのかもわかっていない。だから、何から相談してもいいのかわからない時に、漠然的に「どうしたらいい?」ってご相談される場合が多いのです。 だから、その時に私がやることは、 一つ一つ話を聞きながら、事実と思い込みを切り分け、本人の主観的な捉え方を客観的に判断しながら、相手の頭の中を整理してしていく ということをしているんです。 これをするだけで、私が解決策を話さなくても、お客様の方で勝手にどんどん解決案を思いついて、 「わかった!こうしたらいいんだ!スッキリした!」 と、喜んで帰られるケースがたくさんあります(笑) だから、あなたの悩みや課題でも、何から相談していいかわからない時でも、 「牧野さ〜ん、どうしたらいい?」 ってお気軽にご相談ください!整理していきましょう! ■ サービス内容 ● 経営に関するご相談 経営に関することなら、なんでもご相談できます。 売上や財務・会計に関する悩みから、会社設立、事業継承、経営診断、助成金の申請など、あなたが会社を経営する中で困ったことがあれば、ご連絡ください。 経営に関することで、「これは誰に相談したらいいんだろう?」と思ったら、伴走舎へ! ● 財務・会計 ITシステム導入コンサルティング ・会社の総務・経理にシステムを入れて業務を「効率化」したい!・無駄な伝票が多すぎて省略したい!・もっと生産効率を上げるためにペーパーレスにしたい! 会社の効率化や改善のためにシステムを導入したいとお考えのあなた!ぜひ、ご連絡ください! システム会社等にご連絡する前に、あなたの会社に必要なシステムだけを分析し、適正なご提案を致します。 ● 経営コンサルティング(伴走) 会社経営においては常に経営課題を抱えていることでしょう。それを解決する度に成長していくことになりますが、社長さんにとっては、「あれもこれもやらないといけない。もっと自分の仕事に集中したいのに!」と感じていると思います。だからこそ、課題に対して迅速に対応し解決しないといけません。 そのためには、側に「相談できる人」「解決できる人」がいるだけで安心できませんか? 牧野の「伴走」ならそれが可能となります。 経営に関する悩み・課題に対して、いつでもご相談でき、それらの解決策を一緒に見つけていきます。 経営戦略の立案から財務分析、経営目標実現に向けて必要なサポートを全て行っていきます。 「小さくとも強い会社」これを目指して、安定して成長できるよう伴走していきます!! ■ お客様の声 ● 製造業:T様  牧野さんの印象はフレンドリーで喋りやすく、コンサルタントにありがちな固苦しさがないので、とても親しみやすいです。だからそのうちタメ口になっちゃうけど、いつも笑顔が返してくれるので、とても、やり易いですね。 仕事面では、いつもこちらに合わせて難しい言葉を使わないで説明してくれるので、とってもわかりやすく、親身になって答えてくれるのでありがたいです! また経験豊富な知識はもちろんのこと、メールとかの返答が速いというのも助かっています! ● 伝統工芸品工房:S様  いつも話を根気よく聞いてくれて、その人に合うよう分かりやすく解決方法を導いてくれています。牧野さん自体が元々、工芸産地に関わっていた経験があり、工芸独特の問題点をある程度把握してることもあるので、とても相談しやすいです。  また、一人では目の前の仕事に追われてしまうので、長期的なプランがあったほうが良いことはわかっていますが、それについて社員とも話せないし、同業者とも話せない。だからこそ、第三者である牧野さんがいてくれて、ありがたいなと感じています。  そして工房の目的、ビジョンが整理されていくことは、自分だけでは絶対できないことだったので、牧野さんから丁寧に指導してもらえるので、とても助かっています。  さらに問題を明確にしてタスクに落とし込んでやってくれるので、本当に、牧野さんにお願いして良かったなと思うところです。  だから私みたいに経営のことはわからない、ものづくりの人にとって、牧野さんは必要な存在だと思いますよ。もっと牧野さんのことを知ってもらいたいですね! ■ 一番伝えたいこと 経営コンサルティングって、「なんか、怪しい」「胡散臭い」って言うイメージありますよね。 金だけとって、全然意味ない、効果ない。みたいな。 わかります。私もそう思います(笑) 経営コンサルティングって、会社の売上を上げる!業績をV字回復させる!みたいなイメージが強いと思います。 だから、売上が上がらなかったら意味ないみたいなことを言われると思うのですが、 私が考える経営コンサルティングとは、勿論、売上を上げることもとても大切ですが、一番大切なのは、 ① 社長さんのわからないことをすぐに解決すること② リスク対策をしてあげること③ 相談できる相手であること だと考えています。 【社長のわからない事をすぐに解決すること】 社長だからと言って、経営のこと全て、例えば財務の分析の仕方や経営に関する法律の知識を完全に知っているわけではないですよね。でも経営に必要なことだから、わからないといけない、解決しないといけない。 だからこそ知識を持った人に聞ける環境があれば、全てをわかっていなくても、安心して経営をしていけることになります。 その環境がなければ、経営者自身で時間と労力を使って調べないといけません。これって、経営判断のスピードが落ちると言うことです。 【リスク対策をしてあげること】 売上を上げることも大切ですが、会社経営においてはリスク対策を促してくれる存在がとても重要です。知らずに他社の著作権を侵害していた。脱税になるとは思わなかった。皆さん、口々に言うのが「知らなかった。それって法律に引っかかるの!」つまり知らずに法律を犯している事例ってたくさんあるのです。契約書、規約の作成もリスク対策です。ちゃんと作れていますか? リスク対策で一番危険なのは、社長自身が、リスクがある状態にいることをわかっていないこと。だから、コンサルタントがそのリスクを前もって対策を提案するのです。 【相談できる相手であること】 経営課題の悩みを社内で相談しても、なかなか上手く伝わらなかったり、答えが見つからず、時間だけが過ぎて行ったり。結局、社長さんがたった一人で試行錯誤して判断するしかないことって多いですよね。でも、ちゃんと解決できる方法を知っている専門家がいると、もっと良い方法で解決できることがたくさんあると思います。だから社長の判断をより良いものにするためにも、相談できる相手の存在は大切だと考えます。 経営をしていると、本当に色んなことがあります。売上だけの問題だけじゃありません。だからこそ、 あなたを応援してくれる人を増やして、あなたの事業が安定して、また世の中に役に立つこと これが【経営の本質】だと私は思います! 私にもあなたの経営を応援させてください。 そしていつでも伴走しますよ。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 もしいま、社長のあなたが、経営の課題を解決したい、悩みを解消したいと感じていたら、ぜひ、ご連絡ください! まずは、 「牧野さ〜ん、どうしたらいい?」 でご相談ください。 経営理念 / 社長を「本当の孤独」にしない人 / 実績 / 二代目にならなかった物語

二代目にならなかった物語

二代目にならなかった物語

投稿:2021/11/16更新:2023/5/9 目次  #1 建具屋に生まれた子供  #2 ”たてぐや”になりたかった子供  #3 建具屋なんか継ぎたくない  #4 体から消えた木の匂い  #5 「ここ持ってろ」から「これやっとけ」に。  #6 建具屋、継がない。  #7 建具屋、廃業。  #8 建具屋廃業から四半世紀  #9 継げるものがあることが羨ましい #1 建具屋に生まれた子供 「建具」って知ってます?「たてぐ」と読みます。 扉や窓などのことです。 現在はアルミ建具が主流ですが、日本の家屋は伝統的に木製建具が使われてきました。障子(しょうじ)や襖(ふすま)が代表的ですね。 明治以降はガラスをはめ込んだ木製建具も作られるようになり、田舎の木造民家では現在も木製建具を見かけます。 上の写真のような感じです。 古くから現在に至るまで、日本の家屋に使われてきた木製建具。 日本の木造建築を受け継ぐ伝統技術がユネスコ無形文化遺産に登録され、その中には建具製作も含まれています。 日本の伝統技術ですね。 さて私、牧野は、その日本の伝統技術を受け継ぐ小さな建具店の三人兄弟の末っ子として生まれました。 父が木工職人の修行を経て、独立して始めた店でした。 工場(こうば)の中に自宅があるのか自宅の中に工場があるのかわからないくらいの小さな建具店。 その場所は、現在は取り壊されて駐車場になっているのですが、「こんな狭い土地だったのか!」と驚かされます。 通いの職人さんが1人、住み込みの職人さんが2人、そして父を加えた4人の職人で営んでいました。 住み込みの職人さんがいたので朝昼晩の三食は職人さんと一緒。 お風呂も家族と職人さんが交代で入りました。 人数が多いので次々に入らないと最後の人が夜遅くなってしまうのでテレビ番組のいいところでも前の人が出たらすぐに入らないと父に怒鳴られましたね。 大人ひとり入るのがやっとくらいのお風呂場でしたが、なんと檜風呂! 建具の木工所ですから、木材の端切れが山ほどあったので、お風呂は薪で沸かしていました。薪で沸かす檜風呂、贅沢でしたね。 当然、お風呂沸かすのは子供の仕事。上手いもんでしたよ。 中学生くらいになると、端材をお風呂の薪として最適な長さに電ノコで切りそろえて準備する、なんてことも日曜日のお手伝いでした。 #2 ”たてぐや”になりたかった子供 建具屋の家に生まれた私。工場(こうば)と住居が一体でしたから雨の日の遊び場は工場でした。 端切れを集めて遊んだりカンナ屑の山に寝転がったり職人さんの仕事を眺めたり。 職人さんがノミやカンナの刃を研ぐのを覗き込んだりもしていました。 砥石は真ん中だけではなく幅いっぱいにまんべんなく使って均一にすり減るように使わなきゃダメとか教えてもらいましたね。 研いでは研いでは使い続け、新品と比べてとんでもなく短くなったノミやカンナの刃。元の厚さの1/4ぐらいにまで削れて薄くなった砥石。 そんなのを見ながら道具の大切さを知ったんでしょうね。 いまでも道具にこだわるのはそのせいでしょうか。 父にくっついて現場にもよく行ってました。 建具を入れる場所の寸法を測ってノートに鉛筆で記入するのを不思議そうに見てました。どうしてこれだけの記号であれだけの建具が出来上がるんだろう?って不思議だったんです。 もちろん、長さの単位は寸と尺。 父は鉛筆をノミで削ってました。その鉛筆を耳にヒョイと挟む。それ見て「かっこいいなぁ」って。 だから家に帰ると、自分もマネしてました。 出来上がった建具の納品にもついていきました。 現場で建具を入れてみるとちょっと合わなかったり、ピタッと閉まらなかったり。 父はそれをその場でチョイチョイっとなおしてしまいました。 建具がピッタリ閉まらないぐらいのことなら、父の仕事を見てたのでいまでもチョイチョイと自分でなおしたりしますよ。 工場の職人さんや父の仕事をみながら育った私。 保育園の卒園アルバムでおおきくなったらなにになりたい?の問いにまこと少年は「たてぐや」と書いてました。 アルバムを見た父がニヤニヤしてたのを覚えてます。 #3 建具屋なんか継ぎたくない 保育園の卒園アルバムに おおきくなったら”たてぐや”になる と書いた少年は、小学生になっても父について現場に行ったり工場で職人さんの仕事を眺めたり手伝ったり、なんてことをちょくちょくしていました。 小学校に入った時点で歳の離れた兄たちは中学生私が小学校の高学年になるころには兄たちは高校生でした。 「建具屋なんて継ぎたくない」「家の手伝いをしていて、この仕事、 自分には向かんと思った」なんて話が兄たちから出てきます。 まだ小学生の自分は「なんでだろ?」なんて思っていたのですが、兄たちの話を何度か聴いているうちに自分も大人ぶって「たてぐやなんか継ぎたくない」なんてこと言うようになったと思います。 けど、建具屋がキライだったわけじゃないんです。 ただ、兄たちを真似て大人ぶってただけだったんだと思います。 父や職人さんの仕事の手伝いは、わりと好きなほうでした。 ただ、おがくずまみれになってしまう電ノコを使う作業はイヤでしたが。夏は特に。 #4 体から消えた木の匂い 家の中に工場(こうば)があるのか工場(こうば)の中に家があるのかわからないくらいの小さな建具屋。 小学校に入る前に工場を増築したので工場(こうば)の中に家があったと言うのが適切かもしれません。 工場(こうば)では、毎日、木製の建具を作っています。出来上がったばかりの木製建具はとてもいい香りがします。 新築の和室の畳と木の混ざった香りもいいですよね。 工場(こうば)には、納品前のできたての建具だけでなく木くずに、カンナ屑、おが屑など木にまつわる、いわゆるゴミがいっぱい出ます。 家ではその木のゴミでお風呂も沸かします。 とにかく家中、木なんです。 高校2年のとき、工場兼自宅からは離れたところに新しく家を建てました。 予鈴が鳴ってから自転車で走っても遅刻しないぐらい学校の近くに。 工場と家が離れたことで、おがくずの埃っぽさはなくなるし、騒音はしないし。「いいな」と思うことが多かった。 でもあるとき、友達に言われたんです。 「牧野、木の匂いがしなくなったな」 このとき、生まれてはじめて気づきました。 生まれたときからずっと木の香りの中で暮らしていたんだと。 そして、木の香りが自分の体に染み付いているってことも。 #5 「ここ持ってろ」から「これやっとけ」に。 家の中に工場(こうば)があるのか工場(こうば)の中に家があるのかわからないくらいの小さな建具屋。 小学校ぐらいまでは、「ここ押さえてろ」とか「ここ持ってろ」といった単純な手伝いばかりでした。 それが中学校ぐらいになると工程をまるっと任されるようになってきます。 例えば、フラッシュ戸。洋室の出入り口のドアなどは、木枠に合板を接着させて作ります。 接着剤が乾いたら、木枠からはみ出した合板の切り取りやガラスを入れる窓部分のくり抜き、その後の仕上げのコバの貼り付けなど、工程をまるっと任されるようになってきました。 あと、増えたのがアルミサッシ。 風雨にさらされる建物の外周の建具は年々、木製建具ではなくアルミサッシに置き換わっていきました。 木製建具の注文は職人さんに任せ、増え続けるアルミサッシの注文には父が対応するようになっていたのが子供でもわかります。 父のアルミサッシを組み立てる作業を手伝っているうちにだんだんと覚え高校生になると、一人で組み立てられるようになってきました。 父がガラスをカットしておいてくれてどの型番をいくつ、という指示を見ながら倉庫から型番通りのキットを運び出し、部品を箱から出して組み立てていきます。 ガラスの縁にゴムを巻いてアルミの窓枠にセットしてドリルでネジ止めして。 網戸は任せてもらえませんでした。今でも自宅の網戸の張替えなら自分でやっちゃいますが、シワが寄ったりするんですよ。 お客さんのお宅に納める網戸にシワが寄ってたらいけませんよね。 #6 建具屋、継がない。 小学校へ上る前は、「たてぐやになる」と言っていた少年も高校生になると進路を考える時期がやってきました。 父から店を継いでほしいとは兄弟3人とも言われたことはなく、すでに、一番上の兄は東京へ出て会社勤めをしていました。すぐ上の兄は実家にとどまり建築士として名古屋の設計事務所に勤めていました。 兄たちと同様、父からは、「大学へは行かせてやる」と言われていましたので、どこを受験するか。 理系の進学に強い県立高校だったのですが、数学は1年生の1学期でつまづき、高校で学ぶ数学のことはまったく覚えていません。卒業できたのが今でも不思議。 なので当然、選択肢は文系。 ある日、すぐ上の兄が私の部屋へ入ってきて、「大学で経営を学んでこないか?」と聞きました。 将来独立して自分の設計事務所を開く夢を持っていた兄は、その事務所と家業の建具屋の経営をまとめて私がみてはどうか、というのです。 ものづくりは職人さんたちに任せて経営だけをみればいい。このまま父一代で終わらせるのはもったいない、ということでした。 私の答えは、 「やだ」 高校3年生当時の私にとって、経済学部とか経営学部って一番興味のない学部だったんです。 それに、木製建具の注文が減る一方でその分をアルミサッシが埋め合わせており、この状況は進むだろうな、と感じていました。アルミサッシって、ずっと手伝っていて、魅力がなかったんです。 だから大学は自分で選びました。そのとき思い描いていた将来のために。 この時点で、兄弟の中から建具屋の後継者が出ないことが確定しました。 #7 建具屋、廃業。 高校三年のとき、進路のことで、父からではなく兄から継がないか問われ「やだ」と答えた私。 大学からは親元を離れ一人暮らし。なかなか家には帰らなくなりました。だって、怖くて厳しい父親はいないし、口うるさい母親もいない。羽を伸ばしちゃいますよね。 大学卒業後、東京で就職してしまうともうほとんど帰ってません。 お盆休みのような決まった休みの制度が会社にはないのをいいことに、お盆は「仕事で帰れない」などと理由をつけてほとんど帰りませんでした。 そのくせ9日間の夏季休暇をとってバイクでツーリングに行ってましたからとんでもない親不孝者です。 正月だけは帰ってましたが。 社会人になって4年ぐらい経ったころ、客先のプロジェクトルームへ出勤すると突然会社の総務から出先へ連絡があり、「すぐにご実家に連絡してください」とのこと。 実家へ電話してみると、叔父さんが出て父がもうすでに冷たくなっていると告げられました。 本当に突然のことでした。前の晩、父に電話しようと思っていたのに電話できなかったことを後悔しました。 火葬場の関係で告別式まで日が空いていてその間ずっと父の側にいたのですが毎晩の弔問がありました。父の仕事関係の仲間の人たちです。 みなさん、父の顔をみて涙を流しているんです。 死んだら涙を流してくれる仲間がいる。 父が誇らしかったし羨ましかったです。 私も小さい頃から知っている人たち。でも、高校あたりからほとんどお会いしていません。 私が末の息子だとわかると、みなさん、言うんです。 継がないか と。 お父さんがこれだけの店にしたのに終わらせるのはもったいない。仕事のことはオジサンたちが教えてやるから。 そうこうしているうちに告別式。 葬儀屋さんが「これだけの規模のご商売でしたら200〜300人でしょう」と予想した参列者の数を上回る500人の方々が父を見送りに来てくださいました。 こんな時になって初めて父の偉大さを知らされるとは。 告別式、初七日を終えて、店をどうするかを話し合い。 というより、母は店をたたむことを決めていました。収入の不安定な自営業は、これを機にもう終わらせたいと願っていました。息子たちが安定して給料をもらえる会社員でいてほしいと願っていました。 それまで店を継ぐなんてことを考えていなかった私。だから店を継ぐということがどういうことなのかわからなかったし、何から始めればいいのか、何をすればいいのか想像もつかない。 まして、頼りの父はもういない。 当時の仕事の方はというと、システムエンジニアとして一人前と認められつつあり、当時の先端分野をやらせてもらっていてこれから、というところ。 木製建具からアルミサッシへの移り変わりはさらに進んでいて、職人さんもその頃は一人だけ。商売の勢いは見えている。 なんだかんだ考えても怖くて継げなかったんだと思います。 いろんなことが怖くて。 ただ、父が築いたものをなくしてしまうこと店の名前が消えてしまうことには罪悪感のようなものを感じていました。 #8 建具屋廃業から四半世紀 高校卒業後の進路を決めるとき、そして、父が急死したとき。 二度あった家業を継ぐ機会を見送り、店をたたむことに。 父の築いたものを失くしてしまったこと店の名前が消えてしまうことに罪悪感のようなものを感じました。 父の死から四半世紀。中小企業診断士の資格を取り独立しました。 父と同じく自営業です。母が生きていれば反対したでしょう。 独立に際して、かつての父の店の屋号だけでも復活できないかと、自分の事務所名にすることも考えました。 しかしながら、中小企業診断士の事務所の名前が建具屋の店名では、混乱を招くし自分が商売上も苦労するだろうと諦めました。 やっぱり屋号さえも残せない… 独立してしばらくしたころ、沖縄の離島にある木工所を紹介され中小機構のアドバイザーとして訪問しました。 訪問時は社名から、木製の小物を作っている会社という認識でした。製造方法も機械で量産しているのではと思っていました。 ところが。 工場をのぞかせていただくと、子供の頃の記憶がブワーっと蘇ってきました。 まず、工場の中へ入った時の匂い。子供のころ遊び回った自宅兼工場のあの匂いとまったく同じだったんです。 そして並んでいる機械。家にあった機械とほとんど同じ。違うのは電子制御になっていることぐらい。 仕掛中や出来上がった製品を立て掛けてある景色も同じ。 この会社では、家具が中心だけれども建具もやるんだそうです。 ただ一点、違うところは、アルミサッシがないこと。 木工だけで経営されているんです。 「できるんだ・・・」 四半世紀前に、私が 「もう無理だろ」 と思っていた木工で、現在もしっかりとした業績をあげてらっしゃるんです。 #9 継げるものがあることが羨ましい 中小企業診断士として独立後、中小機構のアドバイザーとして訪問した離島の木工所。工場に入ると、子供の頃に見た景色、包まれていた匂いがありました。 社長さんとその後何度もお会いし、お酒も一緒に飲んでお話を伺ってわかってきたことがありました。 この社長さんも二代目。音響関係の仕事をしていたけど別の木工所で修行した後にお父さんのあとを継いだそうです。 そして、継いでから会社の業績を拡大し、技術力を評価されるようになってきたことも。 私にはできなかったことをこの社長さんは全部やってきた。 アルミサッシに駆逐されるのではと足を踏み入れることさえしなかった私。 当時の私にはそんな知識も知恵もなかったし、勇気もなかった。 中小企業診断士となった今なら、父の店を生き残らせる道はあったと確信できます。だってその実例が目の前にある。 ただ、これから始めるにはあまりにも遅すぎる。 継ぐべきだったはずのものがもう跡形もなくなってるんです。 今の自分にできることといえば継ごうとしている人、継いだ人の伴走をすること。 継げるものがあることが私にとっては羨ましいんです。 継いだ人、継ぐ人、みんな集まって話しませんか?