2025.11.21
経営は「今日」の積み重ねでしかつくられない
― バフェットの言葉から考える“今やっている仕事の質” ― 「今はつらいけれど、将来は良くなるはず」「10年後はきっと結果が出るはず」そんな“未来への期待”だけで走る会社は少なくありません。 けれど、ウォーレン・バフェットのある有名な言葉を読むと、その前提を一度疑ってみる必要があると気づかせてくれます。 結局のところ、経営は「今日」の積み重ねでしかつくられない。その意味と、経営者が今見つめ直すべきポイントを、私なりに整理してお伝えします。 バフェットの言葉が伝える“今”の重要性将来への期待だけで経営すると何が起こるか「今日」が積み重ならない会社の共通点経営は「今日」の質 × 続ける力“今の感覚”をごまかさないということ「好き」が生む継続力と成果あなたの毎日は、未来につながっているか? バフェットの言葉が伝える“今”の重要性 ウォーレン・バフェットはこう語っています。 今はみじめだけど、これから10年間は素晴らしいものになるなどと考えて行動してはいけません。今楽しめないものを、今後10年間楽しむことが出来るでしょうか?たぶん、それは無理でしょう。今、好きなことをやりなさい。 最初にこの言葉を読んだとき、私は「好きなことをやれ」という軽いメッセージだと誤解していました。 でも、経営者の現場を長く見ていると、これは経営者への強烈な警告だと痛感するのです。 将来への期待だけで経営すると何が起こるか 経営が迷走する会社には、ある共通点があります。 「今は赤字でも、5年後には黒字になるはず」「今は成果が出ていないけど、いずれ10倍稼げるようになるはず」「今は楽しくないけれど、将来のためには必要なんだ」 こうした“未来への期待”だけで走っている会社は、どこかで必ず立ち止まります。 理由はシンプルです。 今の行動に情熱がないから。 情熱のない行動は続かない。続かないから積み重ならない。積み重ならないから未来には届かない。 これは、多くの企業やプロジェクトで見てきたリアルです。 「今日」が積み重ならない会社の共通点 未来ばかり見ている会社では、今日の行動の質が下がっていきます。 ●「とりあえずやっておこう」が増える● 本気度が下がる● 社員に伝わらない● 結果として、動きにムラが出る 未来への期待が強いほど、なぜか“今日おこなうべきこと”が軽視されてしまう。 でも、未来をつくる材料は“今日”しかありません。 経営は「今日」の積み重ねでしかつくられない バフェットは人生について語りましたが、経営にこそそのまま当てはまります。 今、楽しくない仕事は10年経っても楽しくならない今、しっくりこない事業は10年経ってもしっくりこない今、好きじゃない働き方は10年経っても好きにならない 経営は“いつか”ではなく、今日・いま・この瞬間の積み重ねでしか形づくれないものです。 だから、未来を良くしたいなら、“今日の行動の質”から変えるしかない。 “今の感覚”をごまかさないということ では、どうしたら今日の行動を変えられるのか? 答えは、とてもシンプルです。 今の自分の感覚をごまかさないこと。 楽しいか? やりがいはあるか? 誰の役に立ちたいのか? どこに時間を使いたいのか? この「現在形の感覚」に一点のウソもないかどうか。これこそが、未来をつくる本当の材料です。 逆に言えば、今イヤなことを続けていても、10年後に自然と“楽しい”に変わることはほぼない。 これは心理学的にも、行動科学的にも明らかなことです。 「好き」が生む継続力と成果 経営には当然、苦しい局面が訪れます。でも、本質的に好きな仕事は、苦しい場面でも続けられる。 そして続けられるからこそ、次第に成果が積み重なり、チャンスをつかむ確率が高くなる。 バフェットが伝えたかったのは、 「好き」は、経営者が持てる最強の資源である。 ということなのだと思います。 “好き”で走っている経営者は、行動量も質も自然と高くなる。そしてその積み重ねが、気づけば圧倒的な差になる。 あなたの毎日は、未来につながっているか? 最後に、あなたに問いを投げかけたいと思います。 あなたは何が好きですか? 未来のために、今を犠牲にしていませんか? あなたの毎日は、“好き”の延長線上にありますか? そして—— 今、心から「好きだ」と言える仕事をしていますか? もし、答えが曖昧なら、その曖昧さこそ、進むべき方向を示すサインなのかもしれません。 🪶まとめ 経営は「未来」ではなく「今日」の積み重ね 未来への期待だけに頼ると行動の質が下がる 今の感覚をごまかさないことが大事 “好き” は経営者にとって最大の武器 未来は“今日の積み重ね”でしか形にならない