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山に登る、バスに乗る

山に登る、バスに乗る

先週Zoomで行われた懇親会で、牧野のメルマガをご購読いただいている年商15億円規模の会社の代表取締役さんとご一緒しました。この方が経営者として果たされてきた成果を知れば知るほど私からの尊敬の念が増している方なんです。このような方にご購読いただいているのはとても光栄なことです。 この方から「牧野さん、これ」と画面越しに見せていただいたのは、2020年6月16日に配信した牧野のメルマガをプリントアウトしたもの。右上に「経営指針作成資料」と大きく赤鉛筆で書かれていました。 経営指針を作成する際の参考資料の一つとして、ファイルして持ち歩いておられたんだそうです。 このお話をお聞きして、恐縮してしまうやら、感激してしまうやら。 そのメルマガとは、こちら。山を選ぶよりパートナーを選ぶほうが難しい この他にも、重要だと思うものはプリントアウトして振り返りをされているんだそうです。もう感謝しかありません! この方から昨日メールをいただき、この2020年6月16日号に関連して、山登りの例えをご紹介いただきました。 夢や目的:何のために登るのか。なぜ登るのか。事業領域:どこのどの山に登るか。経営戦略:どのように登るか。(コース等)経営戦術:どんなやり方で登るか。(装備、スキル等) 様々なご苦労をされて現在のところまで会社をもってこられた方なので、経験から生まれた例えなんでしょうね。「どの山に登るのか」、を「事業領域」とされているところに敬服しました。「なぜ登るのか」、は「理念」といってもいいかもしれません。 先述の2020年6月16日号のタイトルは「事業領域を選ぶより、理念に共感してくれる人を選ぶほうが難しい」ってことになるでしょうか。 私は、この号の後半にあるジム・コリンズの「誰をバスに乗せるか」についても同じような解釈をしています。 経営理念:何のために・なぜ、バスの旅に出るのか。事業領域:どこへ向かってバスの旅をするのか。経営戦略:そこまでどのように走るのか。(コース、予算等)経営戦術:どんな走り方をするのか。(1日の走行距離、時間帯、宿泊、食事のとり方等) 乗客は「理念や価値観を共有できる人」となるでしょうか。 こんなお話をいろいろ伺いながら、この方とまたゆっくりお酒を酌み交わさせていただけたらと思っています。

それでよかったと思えるように取り組む

それでよかったと思えるように取り組む

昨年末に行われたスピードスケートの全日本選手権で、国内主要大会では史上初となる全5種目制覇を達成した高木美帆選手。500mは平昌五輪金メダルの小平奈緒選手を破り、1000m、5000mはリンクレコード、1500m、3000mは国内最高記録を出すなど、もう完全試合といっても過言ではないくらいの成績でした。 2020-21シーズンは、ワールドカップや世界選手権など国際大会が軒並み中止されるか、開催されたとしても日本スケート連盟が選手の派遣を見送るなど、日本選手は国際大会に一つも出場することができなくなってしまいました。 国際大会に出場できないことがどういう意味を持つか。 清水宏保さん(オリンピックに4回出場、長野五輪では500mで金メダル)によれば、オリンピックでメダルを争う選手にとってはとても厳しい状況なんだそうです。それは、2022年の北京オリンピックのちょうど1年前のシーズンというのに、ライバルがどれくらい仕上げてきているか、自分との差がどれくらいあるかを直に確かめられないから。 来年のオリンピックを前に海外の有力選手と直接競うことなく、国内で過ごさなければならない高木美帆選手はこう決断します。 アスリートとしてどうあるべきか考えていた。いつ次レースができなくなるか分からないなか、自分にとって何が新しい挑戦か考えた1つが5種目全部出ることだった。精一杯やれるときに頑張るしかない。 その結果は先述のとおり。彼女が出した記録は、今季の世界選手権の優勝タイムを上回るものもあったようです。 この結果について、国内でずっとやれたからこそ違う挑戦ができた、結果的に国内にとどまってよかったんじゃないのか、という声に対して高木美帆さんはこう答えます。 「国内で戦うことになって良かった」というより、「国内で戦うことになったからこそ、それでよかった」と思えるように取り組んできた。 状況に身を任せるのではなく、後悔しないように状況に対処する、といことでしょうか。

補助金は誰のため?

補助金は誰のため?

ある経営者さんから、採択済みで事業に着手している補助金について相談がありました。私が補助金の申請を扱わないことを知っている方なので、地元の中小企業診断士さんにお願いして申請書の事業計画を書いてもらったとのこと。 そろそろ完了報告のことを考えなければならない時期になって、申請書を書いてくれた診断士さんとの間に申請内容の認識の違いが表面化してきたというのです。 補助金は誰のためにあるのか。極論を言ってしまえば、政府や行政機関が企図する政策を推し進めるためです。 補助金の公募要領には、対象となる事業者、そして、対象となる事業、が決められています。つまり、「産業をこういう方向へ持っていきたいので、それに沿ったことをしてくれる事業者さんには補助金を出すことで推進しよう」ということが公募要領に示されていることになります。 また、政策として推進しなくなったものは補助金の予算が減額されるか、廃止されていきます。 ですので、 あなたがやりたいことをやるために補助金が出てくるわけではない ということを理解しておくべきです。 この診断士さんも商売でやっており、採択されなければタダ働きになってしまいます。だから、手数料を確実に稼ぐためには採択される申請書にしたいですよね。そうすると、社長さんの意図を汲み取りつつも、公募要領に沿った形で事業の立て付けを書かざるを得ません。もちろん、事前に診断士さんと社長さんの間で認識合わせはされたようです。が、社長さんの「やりたいこと」への意識が先行して、詰めておくべき認識の違いに目が行かなかったようです。 補助金の申請が採択されたものの、・「こんなの自分がやりたいことじゃない」とやる気をなくして立ち消え・なんとか最後まで完了させたけど、その開発した事業や商品はそのまま塩漬け・購入した設備や機械が使われずにホコリをかぶっているといった事例はたくさん見てきましたし、よく耳にします。 来月以降、補助金の公募が増えてくると思います。申請前にもう一度確認してください。やりたいことと公募要領の間でつけた折り合いは、やる気をなくさず納得できるものなのかどうか。

お恥ずかしいことですが、忘れてました。

お恥ずかしいことですが、忘れてました。

先日、関西や九州のある仲間たち(その人たちと実際に会ったことは、これまで一度もありません)とお互いの仕事の近況を話し合う、月に1度のzoom飲みをしてたときのことです。 ある人がすばらしい成果を上げたという報告があって、その人のことを評して 「天才とは、誰でもできることを天才的にやりきる人」だったか忘れたけど、そんな言葉があったよね。 なんてことを誰かが口にすると、みんな「確かになぁ〜」とメモしていました。もちろん私も。 飲み会が終わったあと「どこかで聞いたよなぁ、出典は誰だろう?」とネットで検索していたら、出てきました。 中の見えないものは、人を買う 私のブログです。このメルマガでもご紹介していましたね。 お恥ずかしいことですが、完全に忘れていました。だから再度みなさんにご紹介することで、もう忘れないようにします。 誰にでもできることを、誰にもできないくらいやる新貝晃一郎(布団職人)

あなた、当事者ですよ。

あなた、当事者ですよ。

「炎上してる現場の真っただ中にいる人ほど当事者意識がないんだよね」という感想をコンサルティング会社時代、豊富な経験を持つ同僚から聞いたことがあります。 当時、役員から呼び出されて「うちの社長が先方の社長に対して、なんとかするとコミットしてる。とにかく明日から行ってなんとかしてこい。」みたいな感じでその同僚と一緒に送り出されたことが何度かあります。実際に現場に行ってみると、これまでに見たことないようなひどい状況だったりするんですよね。 でも、そのプロジェクトで仕事をしている顔見知りの後輩たちから「お久しぶりでーす。牧野さんたちが直々に出てくるなんて、何かあったんですかぁ?」なんて声をかけらたものです。そうした現場の反応に接して出てきたのが冒頭にご紹介した同僚の感想です。 経営の現場でもそれに近いものを見かけます。 自社製品に関して行政から改善命令を受けたある会社の社長さん。記者会見まで行われて社名を公表され、地方ローカルとはいえマスコミにも取り上げられて会社としては大ピンチです。 そんなピンチにこの社長さんは「どうしてこういうことになったんだ!?」と他の役員さんと責任をなすりつけあったり、スタッフの方々に「お前たちは何をしていたんだ!」と叱責するばかり。「社長も含めこの経営陣はリスクは承知していたけど、放置していたんだな」というのがこのやり取りを聞いていてわかりました。 その後の改善措置として実施する内容の検討はスタッフまかせ。スタッフさんが考えた対策とそれにかかる費用について「これで行政に報告します」と説明して、支出の承認を求めたところ、その社長さんから返ってきたのは、 わかった。それでやっとけ。しかしお前らが考えることは、いつも金のかかることばっかりやな。 それを聞いて私もぽかんと口が開いたままになってしまいました。ひどい経営者だと言ってしまえばそれまでです。 それよりも、この社長がこうした行動・言動をするのはなぜか?おそらく、自分が当事者だという意識がなかったのでは。 普段から会社に降りかかる様々な問題の原因を会社の外の世界に求めたり、社員に求めたりしているんじゃないでしょうか。つまり、「最終的な責任は、社長の自分にある」という意識がないのでは。この出来事を振り返り、そう感じました。