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鉱脈を探り当てた!

鉱脈を探り当てた!

日本経済新聞朝刊の最終面にある「私の履歴書」。最近全然読まなくなっていましたが、先月の寺田千代乃さん(アートコーポレーション名誉会長)はじっくり読んでいました。やっぱりサラリーマンの階段を登って社長になった人や文化人よりも、創業者の履歴書はダイナミックですね。 鋼材問屋の配送部門から独立して夫婦で始めた運送業「寺田運輸」でしたが、頼みの鋼材問屋から「出ていけ」といわれ、その分の売上の穴を埋めるべく奔走していた寺田夫妻にオイルショックが襲います。 苦境にあえぐ中でも立石電機(現オムロン)の精密機器輸送を請け負っていたので、当時では運送会社でもあまり普及していなかったアルミ製の箱型の車(今ではこちらが一般的ですね)を保有していたそうです。 ある日、家族で国道を走っていると夕立が来て、歩道橋の下に止めたトラックが荷台の荷物にシートをかけていました。引越荷物のようで少し濡れてしまっているし、シートも汚いので「嫌やなあ」と寺田さんは思ったそうです。 自社が保有している箱車だったら雨でも荷物は濡れない。オムロンの仕事は平日限定で引っ越し依頼が多い週末はその箱車が使えるだろう、と思いついたのが「アート引越センター」の始まりです。 当時、引越し費用が家計を圧迫しているという新聞記事を見かけ、実際にどれくらいの引っ越しがあるのか、住民基本台帳人口移動報告という市町村をまたいだ人の移動を集計した政府統計をあたってみたそうです。 当時で年間800万人程度が移動していた。ここには同一市内を移動した人は含まれていない。「こんなに多くの人が引っ越しをしているんだ」。驚きとともに、何か鉱脈を探り当てたような気になった。(日本経済新聞「私の履歴書」寺田千代乃(9)) どこに鉱脈があるのかわかない。だから何かのきっかけが必要です。いつもセンサーを鋭く保っておきたいですね。

二冠

二冠

今日は、手抜きだろ!って言われてしまいそう…ですが、そのとおりですm(__)mでも、深いのでじっくり読んでみてください。 藤井聡太くんが史上最年少で二冠を達成したあと、師匠の杉本昌隆八段がインタビューに答えて、藤井くんについてこう語っています。 才能のある人、天才タイプの人っていうのはすごく器用なんじゃないかと昔、勝手に思っていたときがあるんですけど(藤井くんは)器用に立ち回ろうと全然していない。効率の良さを求めないから普通の言葉でいうと、地道な努力を積み重ねてきたから今があるのかなと思います。ただ、それを努力と感じさせない将棋に対する好奇心があるから、ずっと歩み続けて向き合えるのかなとも思います。本当に先を見ているんだなと。もっともっと目標は先にあるんだなと思いました。 どうです? 余計な解説は要りませんよね。

とどまってもダメ?進んでもダメ?

とどまってもダメ?進んでもダメ?

昨日10/6の日本経済新聞朝刊の第一面の隅っこに「北越コーポ、家庭紙参入」という見出しの記事がありました。製紙業界売上高5位レベルの北越コーポレーションが、ティッシュやトイレットペーパーなどの家庭紙に参入するそうです。 紙媒体の電子化が進み、印刷用紙の需要減少は加速しているのに対して、消費者の衛生意識の高まりや在宅勤務の普及も追い風となって家庭紙の生産は伸びているそうです。 北越コーポレーションは、主力事業が印刷用紙のようで、家庭紙へは新規参入となるようです。自社の事業構成の見直しということですね。 業界5位の北越コーポが新規に参入しても、シェアは3%と予想されており、同様に印刷用紙が主力の競合も参入してくる可能性もあります。トイレットペーパーやティッシュはスーパーの特売品の対象になりやすいですし、新規参入によって供給が増えれば価格競争に陥りやすいでしょう。 先細りする主力にとどまっても、新規に参入をしても、どちらを選んでも厳しい道が待っているのかもしれません。成熟産業の大企業にとってもコロナ禍での経営の舵取りは難しいものになっていますね。

最初は侮辱から始まりましたから。

最初は侮辱から始まりましたから。

最初は侮辱から始まりましたから。かなり侮辱されましたからね、スプリングトレーニングでは。 10年連続200本安打を達成した試合の後でのイチローの言葉です。一体何のことか。 メジャーに移籍して迎えた最初のキャンプのことだそうです。マイク・ハンプトンというピッチャーと対戦した時に 「彼からヒットを打てると思いますか」 という質問が飛んできたそうです。 前々年に22勝を挙げ、その時点でもメジャー通算85勝を記録していた投手とはいえ、あまりにも見下した質問にイチローは絶句したそうです。 まあ、あの質問は一生忘れないですけどね 10年ちかく昔のこととはいえ、記者からの悔しい質問をずっと忘れられなかったんですね。 10年(連続)200(安打)続けて、ヒットが出ないとなんで出ないんですかっていう質問に変わったんですよね。そういう状況が作れたことはスゴく良かった。 (中略) そういう周りを変化させられたこと に対してはちょっとした気持ち良さがある。 悔しい思いを見返して、そこに気持ちよさがある、と言っています。 子供の頃から、人に笑われてきた悔しい歴史が僕の中にはある。でも人に笑われてきたことを常に達成してきた自負はある。 イチローといえども反骨精神に支えられていたんですね。私達にも悔しい思いをしたことはイチローに負けないくらいたくさんあるはず。私たちも、その悔しい思いを忘れずにバネにしない手はないです。

粗利ともうけ

粗利ともうけ

先日ご紹介した2つの利益、粗利ともうけ。 粗利 = 売値 ー 仕入れ値もうけ = 粗利 ー 人件費・家賃・光熱費など諸経費 でしたね。私のセミナーでよくお見せする図なのですが、これだとわかりやすいと思います。 値引きをすると粗利が削られることがわかりますでしょうか。 粗利で経費をまかなうのですが、値引きで削られた粗利で経費をまかなえないと赤字です。従業員さんの中には、ここを意識していない方が意外と多く、経費を賄う分まで粗利を削り込んで値引きしている例を何度も見たことがあります。 自社の粗利率あるいは原価率、経費率は従業員さんにも把握してもらったほうがいいでしょう。 また、卸販売をするときの掛け率も粗利を削ることになります。 実は、ものづくりをしている事業者さんで、ここを意識していない方も意外と多いのです。 原材料費(=売上原価)から販売価格を決めてしまうのですが、卸販売の掛け率を見越していないので直販であれば利益が出るのですが、卸販売では利益が全然出ていないケースをいくつも見てきました。 毎年、沖縄県内の工芸関係者さん向け経営セミナーの講師をやらせていただくのですが、このあたりはくどいほど繰り返し説明しています。