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2つの利益、ちゃんと意識してますか?

2つの利益、ちゃんと意識してますか?

先週25日(金)の新聞に「ミニストップ、FC見直し 利益折半 稼ぐ力向上促す」という記事がありました。ミニストップのない沖縄ではなじみのない方が多いかもしれませんね。 これまでコンビニは、売上から仕入れ原価を引いたいわゆる「粗利」の一定割合を経営指導料として本部が徴収していました。近年のコンビニオーナーの負担過剰問題の一つはここにあります。 主力商品であるお弁当・おにぎりなどの消費期限が近づいたものは、本部が値引き販売を許可しませんでした。売れ残れば廃棄することになりますから、売上にはつながらずオーナーの粗利は減ります。一方で、粗利から一定割合を徴収するコンビニ本部としては、値引き販売の禁止を続けても一向に自分のフトコロは痛みません。 深夜時間帯は売上が少ないにもかかわらず、人手不足も相まってアルバイトの時給は高くなる一方でした。この人件費や深夜営業にかかる光熱費などの経費は仕入原価に含まれまれず粗利は減りませんから、コンビニ本部としては自分の取り分が減ることはなく、24時間営業を契約で縛り続けても一切痛みを感じないわけです。 冒頭のミニストップの取り組みは、粗利から人件費や水道光熱費などの経費を引いた「もうけ」をオーナーと本部で折半するということですから、 オーナーの痛み = ミニストップ本部の痛みとなるわけです。 中小企業の従業員さんやものづくりの経営者さんにこの2つの利益を意識していない人が意外といらっしゃるのを感じます。 粗利 = 売値 ー 仕入れ値もうけ = 粗利 ー 人件費・家賃・光熱費など諸経費 意識してますか?

味方を敵にまわす。

味方を敵にまわす。

昨日ご紹介したスゴ請け企業の中で、デニム素材で国内シェア55%を占める株式会社カイハラ。ユニクロ、リーバイス、エドウィンなど名だたるデニムウェアのメーカーから注文を受けています。 カイハラでは、糸を拠るところから染色して織り上げるまで、すべての行程を社内で完結させています。なぜなら、糸、染色、織り、それぞれの工程毎にデニムの風合いを決めるノウハウが詰め込まれていて、だからこそ各メーカーからの細かい注文に応えられるんだそうです。 でも、大手ブランドから生地を依頼されて国内シェアの半分以上を握っているぐらいなんだから、中小企業が目指す姿のもう一つ「自社製品」を製造しても良さそうなものだと加藤浩次さんが質問したところ、カイハラとしては「あくまでも素材に徹する」んだそうです。 その答えを聞いて、加藤浩次さんが「やっぱりそれはメーカーを守るということなんですか?」と質問していましたが、そういうことではないでしょう。それに「守る」というのは自分が相手より強い立場にいる時に使う言葉です。 最終製品の開発ということになれば、リーバイスやエドウィンと競えるだけのアパレルメーカーとしての製品開発力が必要になります。また、ブランド力もないですからマーケティングコストもかかります。それになんといっても、戦う市場がこれまでとはまったく違ってきます。「メーカーを守る」なんて、リーバイス、エドウィンと同じ土俵で戦って勝てるだけの商品力、ブランド力をカイハラが持っているというのでしょうか?逆に返り討ちにされるのではないでしょうか。それはカイハラ自身がわかっているはずです。 一方で、お客さんであるリーバイスやエドウィンと同じ土俵に上がって自らも戦うことになれば、素材メーカーとしての受注量が無くならないまでも減らされることは十分に考えられます。シェアトップといえども55%なんですから、リーバイスやエドウィンとしては2位、3位のメーカーの開発力をを育てながら徐々に発注先をそちらにシフトしていくことを考えるでしょう。また、新製品については競合相手に情報を提供をするのは嫌うでしょうからもう発注されなくなる可能性は高いでしょう。 減らされた分を自社製品の売上で補えればいいでしょうが、リーバイス、エドウィンのシェアをそれなりに奪わなければなりません。そんなリスクは犯さないと思いませんか? 味方を敵に回す構図になっていることをおわかりいただけたでしょうか?

スゴ請け!

スゴ請け!

先日の「がっちりマンデー!」からスゴイ造語が出ましたね。 「スゴ請け」 下請けながら際立った技術力を持っていて、その分野では大きな国内シェアを持つ企業です。 紹介された企業は・デニム生地で国内シェアの半分以上を占める、株式会社カイハラ・バス用電装部品では、ほぼ100%シェアのレシップ株式会社・アパレル用ハトメホックでは国内トップシェアのモリト株式会社(なんと、創業112年!) 日本のものづくりを支える製造下請け企業は利幅が薄く、経済環境が悪くなれば真っ先に値下げ圧力にさらされ、応えられなければ取引を打ち切られます。 そんな、下請け企業の経営者が目指したい姿の代表的なものの一つはこの「スゴ請け」であり、もう一つは「売れる自社製品」でしょう。 中小零細製造業の経営者・事業者さん、あなたはどこを目指しますか?

「ゴーイング・コンサーン」は誰のため?

「ゴーイング・コンサーン」は誰のため?

https://youtu.be/8OtUg69Rmeo みなさん4連休はいかがでしたか?沖縄は秋も深まり、気温も30℃前後と過ごしやすかったですね。私はエアコンを使わずに過ごしていました。 毎週金曜日の11:00からFM那覇で生放送している「車座RADIO」。経営者の集まり「守成クラブ沖縄」が提供している番組で、毎週、会員さんをゲストに招き、お話を伺う番組です。第3金曜日は私がナビゲーターということで、先週18日(金)は税理士の金城一也さんをゲストにお迎えしました。 中小企業診断士の牧野がナビゲーターでゲストの金城さんが税理士とくれば、当然ですが話題は経営について。いまの厳しい経済状況を中小零細企業・事業者さんが生き抜くにはどうすべきか、金城一也さんの持論を語っていただきました。 金城さんのお話のポイントは、 1.現金をできる限りたくさん準備する 2.事業の見直しを行うの2点でしたが、生放送を録画した動画がYouTubeにアップされていますので、詳しくはそちらをご覧ください。 金城さんはこれまでにも様々な場で、またこのラジオの中でも「会社は絶対に潰しちゃダメ」と語っています。 「会社を潰さない」から連想される言葉に「ゴーイング・コンサーン」という言葉があります。「継続企業の前提」とも呼ばれますが、会社が将来にわたって継続していくこという前提をいいます。企業会計の前提の一つであり、これを前提に会社に関わる各種制度が作られています。どちらかというと、投資家など企業の利害関係者のための言葉だという印象を受けます。 でも、金城さんが言う「会社は絶対に潰しちゃダメ」は、信念のようなものです。会社が潰れると、社長自身の家族だけでなく、従業員とその家族、債権者や取引先の経営も苦しくなったり、連鎖倒産することだってありえます。本当に広範囲の人に迷惑をかけてしまいます。まだ税理士として駆け出しの頃の金城さんが、顧問先の会社が倒産するのを間近で見た経験から得た信念のようです。 だから金城さんは言い続けるんだと思います。「絶対に会社を潰すな」