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カタチから入りたがる人

カタチから入りたがる人

台風9号、10号と立て続けにやってきましたが、みなさんの店舗や事務所、設備は大丈夫でしたか?一昨日、昨日と晴天に恵まれましたが、今日の沖縄本島はどんより、それでいて変わりやすい天気です。 沖縄県内で大規模な観光土産品販売店を営む社長さんが「牧野さん、ちょっとついてきてほしい」というので、知り合いの社長さんが運営しているというお店に連れて行かれました。そこは、海外製のリゾートウェアのショップ。そのお店が沖縄に出店するのをこの社長が手伝ったんだそうです。 ひととおり店内を見て回りお店を出たあと、近くのカフェでお茶しながら「あのお店の店員は、基本給プラス歩合制なんですって。だから、店員がガンガン接客してガンガン売るんですよ。」と興奮気味に話します。 この社長さんがいつも「うちの従業員はカウンターの中にいてばっかりで全然接客しない」とグチをこぼしていたのを思い出しました。それと、この人は、仕事にしても趣味にしても何か新しいことを始めるときは、まずはカタチから入るタイプの人であることも。 社長:うちもあんなふうにガンガン接客させるには、社員の評価を各人の売上金額にすればいいと思うんですよ。どうです、いい考えでしょ! 牧野:いやぁ、それは、やめておいたほうが... 社長:どうして!? 牧野:業態というか売り方が違うでしょ。あの店はいってみればブティック。来店客をきちんと接客して売ることが求められていますし、店員さんそれぞれの積極性や接客技術によって売上も違うでしょうから、歩合にするのは自然な事かもしれません。 社長:じゃあ、ウチは? 牧野:あなたの店はいわば小売店。観光バスから降りてきたお客さんがどっと入ってきて、店の中を見て回り、気に入ったものを手にとって、レジでお金を払って帰っていく。レンタカーのお客さんはゆっくり買い物するでしょうけど、スーパーに近い。 社長:それでも、どれだけのお客さんに対応したかで社員を評価してもいいでしょ。 牧野:じゃぁ、どうやってそれを測ります? 社長:うちのレジは会計の度に毎回、社員番号を入れるようになっているから、誰がいくら売り上げたかわかるようになってる。 牧野:それは、その人が「売り上げた」んじゃなくて、「レジ打ちした」ってことでじゃないですか? 社長:いや、売り上げたんですよ。 牧野:いや、レジ打ちした、ですよ。やるにしても、店内のどの人たちを対象にやるんですか? 社長:全員。 牧野:いやいや、あなたのお店はバックヤードでの商品の検品、店内への品出し、お客様が買った商品の自宅へ発送、記念品の大口注文、それ以外にもそれぞれ持ち場があって、みんなで助け合ってお店を営業してるじゃないですか。それに忙しいときは、会計カウンターもレジを打つ人と商品を梱包する人の二人一組でやってますよね。カウンターでのお客様の会計は、みんなで助け合ってやる仕事のひとつなんですから。 社長:でも、カウンターの向こう側にみんなこもっておしゃべりばかりで困っている。彼女たちも販売員なんだからカウンターから店内に出てきて接客して売ってもらわなければ困る。さっきの店みたいに一人ひとりの売上で評価することで、うちの社員も積極的に接客するようになるはずですよ。 牧野:いやいや、絶対にやめたほうがいいですって。 この社長、その後、導入に踏み切ろうとしたそうなんです。でも、私が想像したとおり、店員さんたちから「じゃぁ私、接客もしないし、自分の持ち場の仕事もしないで、レジの前から離れない」「私もそうする」「私も!」「私もレジしかやらない」の大合唱。それではお店が運営できないとマネージャーからも再考を促され、断念したそうです。 他社でやっていることを「あれいいな。うちでもやってみよう」と表面的なことをまねるのではなく、「あそこは、なぜあれをやっているのか。なぜやれるのか。」「では、うちで取り入れる意味は? やれるのか? 問題は出ないのか?」といったことを考えた上で決めなければなりません。 あなたは、カタチから入る人ですか?それとも、本質から入る人ですか?

あなたは、もらいたい派? それとも、解決したい派?

あなたは、もらいたい派? それとも、解決したい派?

台風9号が過ぎ去ったと思ったら、今度は10号が近づいてきます。しかもかなり巨大な。沖縄をはじめ、進路が予想される地域のみなさん、十分な対策をとってください。 現在、週3回、2つの商工会で「新型コロナウィルス感染症対策経営相談窓口設置事業」として設置された相談窓口で事業者さんの経営相談に当たらさせていただいてます。その中で特に多いのが「補助金を使いたいのですが」というご相談です。ごくたまに「なんか、簡単にもらえる補助金があるって聞いたんだけど。」という方も。こういう相談、申請期限が近づくと増えてきます。 私が補助金がキライな理由がここにもあります。完全に手段が目的化してしまっています。 こうしたケースで補助金の申請にこぎつけるのは難しいです。制度を詳しくご説明して「ですので、あなたの相談内容では、この補助金には申請できないですし、他にも該当する補助金はありません」とお答えしてお引取りいただくことになります。 一方で、「新型コロナの感染が始まってから、売上が落ち込んでしまって...」という事業者さんがなんとかしようともがく中で、「特に、こんなことで困っているんです」とか「こんな事考えてるんですけど、どうですかね」というご相談もあります。 こうしたご相談では、こちらかいろいろと質問をしながら、ご希望やお考えもお聴きして、私からのアドバイスやアイディアもご提示して一緒に解決策を探っていきます。このプロセスは私としてもやりがいを感じる時間です。 そうして出来上がったプランは「これならこの補助金使えますよ。締め切りまで十分時間もあります。申請書の事業計画をじっくり書いていきましょう!」となり易いですよ。 あなたは、補助金をもらいたい派? それとも、問題を解決したい派?

早い判断のコスト vs 遅い判断の損失

早い判断のコスト vs 遅い判断の損失

台風9号が過ぎ去ったと思ったら、今度は台風10号がやってきます。沖縄をはじめ九州地方のみなさん、備えはできてますか? 「うちの経営陣はいつも判断が遅い、というか遅すぎる」 これは、病院や介護施設のグループが経営する介護士施設にお勤めの職員さんからお聞きした話です。 新型コロナの第1波のとき、他の介護施設が家族の面会を禁止にしていっている中、このグループの経営陣は傘下の特別養護老人ホームにおける家族の面会禁止の判断をズルズルと先延ばしにしていたそうです。 介護の現場では、職員さんがお年寄りを抱きかかえたり、耳が遠いので顔を近づけて耳の近くで話しかけたりと、濃厚接触なしには介護ができません。なので、職員や利用者さんが誰か一人でも感染したら一気に集団感染につながるリスクを抱えています。 お子さんやお孫さんと会うことができない、というのは利用者さんにとってもご家族にとってもつらいことでしょう。そこを慮ったというのもあるでしょう。また、実際に禁止にした施設では「せっかく孫が東京から帰ってきているのに会わせないのかっ!」というクレームもあったそうなのですが(東京から来た子供を自分の親に合わせるというリスクをあえて冒すこの人もどうかと思うのですが)、そうしたクレームを恐れたのかもしれません。 集団感染の危険にハラハラする現場をよそに、このグループの経営陣はなかなか決断できず、他の施設よりも3、4週間も遅れて家族の面会の禁止を決めたようです。 今回の台風9号でも、午前11時ごろには沖縄本島の路線バスは午後3時からの運休を決めたというのに、このグループ傘下のデイサービスでは閉所→利用者の帰宅、という判断がずるずると午後まで遅れたようです。 もうすでに強風が吹いているにもかかわらず、運良く雨には降られずに利用者さんを帰宅させることができたそうですが、もしも、土砂降りの暴風雨の中を帰宅させることになってしまったら、利用者さんや送り届ける職員さんたちをどんな危険に晒したことでしょうか。 素早い判断には、クレームや機会損失などコストがかかるでしょう。 でもズルズルと判断を引き伸ばしたために発生するのは「被害」です。その損失は計り知れません。 コストと被害の損失、あなたはどちらを選びますか?

台風が来る毎に決めてるんですか?

台風が来る毎に決めてるんですか?

台風9号は沖縄から離れつつありますが、暴風圏・強風圏の範囲は広く、まだまだ警戒を緩めるわけにはいきませんね。 内地でも毎年のように勢力の強い台風が上陸するようになってきました。台風への対応を事前に決めてありますか? 数多くの台風がやってくる沖縄でも、台風がやってくる度に対応を決めている事業者さんがいらっしゃいます。 店を閉めるのかどうか従業員さんはいつ帰すのか明日は店を開けるのかどうか従業員さんの出勤はどうするのか 台風がやってくる度に、経営者さんと従業員さんみんなで一日中ザワザワとやっているわけです。働いている従業員さんにしてみれば、不安な時間をダラダラと過ごすことになります。決めきれないうちにいつの間にか事業所が危険な状況になってしまっていることだってありえます。 店・事務所を閉めるのならどのタイミングか店・事務所を開けるのならどのタイミングか従業員さんはどのタイミングで帰すのか従業員さんがどのタイミングで出勤してもらうのか あらかじめ基本方針を決めておいてはどうでしょうか。決めておいたからといって、それに縛られる必要はありません。台風がやってくる時間帯や勢力は毎回違います。状況に合わせた柔軟な対応が求められますが、基本方針を基準にすれば、判断が早くなるし、従業員さんもあらかじめ準備ができます。 昨日8月31日(月)は、朝から商工会で経営相談の日でした。台風9号が近づいており、予報では午後には暴風圏に入ります。職員さんに聞くと「暴風警報が発令されて、バスの運行が止まると自宅待機ということになっています」とのこと。基本方針が決まっているんですね。 午前11時ぐらいに「午後3時から沖縄本島の路線バスは全線運休」の発表がありました。 それを受けて午前11時30分ごろには、沖縄県商工会連合会から「13時に閉庁」の指示がありました。加えて「バス通勤の人は、バスの最終時刻を確認して帰宅するように」との指示も。 県連本部としては、暴風警報が発令される前にバスの運休が先に決まったのでそれに合わせて柔軟な対応をとったんでしょうね。 基本方針と状況に合わせた柔軟な対応、していますか?

コロナ禍転じてバスから降ろす

コロナ禍転じてバスから降ろす

沖縄本島ではここのところ太陽が顔を出してくれませんね。熱帯低気圧が発生し、週末にかけて台風9号となって沖縄に近づいてきそうです。またしばらく太陽が見れないのか… ☆ 「コロナ禍」 ほとんどの経営者の方々にとっては、まさに禍(わざわい)です。でも、この禍を機に、長年の懸案を解決した方もいらっしゃいます。 起業の経緯は人それぞれでしょうが、起業時の資金を自分だけではなく、他の人にも出資を仰いで起業した方もいることでしょう。けれども、起業して時がたつにつれて、その資本関係が重荷になってくる場合があります。利害であったり、人格であったり、その理由は様々でしょう。株をすべて買い取れればいいのでしょうが、なかなかそうはいかない事情もあります。ですが、事あるごとにこの資本関係が経営者にとってとてつもないストレスになり続けます。ジェームズ・コリンズの言葉を借りれば、「バスに乗せて出発してみたら、間違った人だった」ということでしょうか。 ※バスとその乗客ついては、「誰をバスに乗せるか」を参照 ある社長さんは、この機に株の買取を申し出たところ、すんなりとすべて買い取れたそうです。それも額面で。相手にしてみれば「この先の状況が読めない中で、紙くずになる可能性だってある株を額面で買い取ってくれればありがたい。今のうちに売っちゃえ」ということでしょうか。 また別の社長さんは、会社を精算することに株主全員から同意してもらいました。業績が急激に落ち込み、この先の不透明は状況では、清算の同意が得やすかったのかもしれません。 最終形がその社長さんにとって望ましい形なのかどうかはわかりませんが、少なくとも、お二人とも長く苦しめられてきた資本関係という荷を降ろすことができました。まさに、コロナ禍が転じて、間違った人をバスから降ろせました。