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アツアツとキンキン

アツアツとキンキン

一昨日のTEORI WORKS OKINAWAでのセッションでは、帳簿の付け方でわからないところの質問を受けていました。彼女は簿記はわからないそうですが、儲かっているのかいないのか、その金額はいくらかなのかを毎月把握してもらうために、私が指導して開業当初からちゃんと帳簿をつけてもらっています。もちろん青色申告! 行政の中小企業支援機関と契約してアドバイザーの仕事をしていたと前回書きました。 行政機関の仕事ですから、税金が使われます。税金ですから予算化されて議会で可決されるときには、金額と使いみちが決められていますので、私たちアドバイザーの仕事も、ここまではやってもいいけどその他のことはダメ、などルールが決まっています。 でもそれだと、例えば、この事業者さんには商品開発だけでなく経営面もサポートしてあげたほうがいい、というときだってありますが、行政としてはそれ(経営面)はあなたやるべき仕事ではありません、という事になってしまいます。 私としては「どっちもできるし、その事業者さんにはどっちも必要なのにっ!」ってなっちゃいますが、行政の施策としては致し方のないことでしょう。 また、一緒にその機関で働く先輩アドバイザーの方からは「牧野さんは、事業者さんに感情移入しすぎ」と言われました。私としては、えっ?感情移入しちゃダメなの? 要はバランスということなのでしょうが、冷静に客観的にならなければならいときは当然必要ですが、事業者さんが実現したいことに向かって情熱を傾けているときに、それを支える人もグッと熱く燃えちゃうのが自然じゃないですか? その気持を抑える必要なんてないでしょう?むしろ抑えちゃダメでしょう? 経営者さんを支える仕事する人は、一緒になって燃える人じゃなきゃダメ、が私の持論です。 ただし、もう一つ。 それは、たとえ熱くなっていても、いつでも冷静にそして客観的になれる人。 アツアツとキンキンの同居。 飲み物の自動販売機みたいな人。

イチローの常に人に笑われてきた悔しい歴史

イチローの常に人に笑われてきた悔しい歴史

このブログで何度も登場した、お客さんの宮城麻里江さん。彼女の工房 TEORI WORKS OKINAWA が展開する南風原花織・琉球絣の洋装ブランド MARIKASI が、ついに、初めて沖縄県外へ出展します! 働く大人の女性にぜひ着てほしいブランドです。 沖縄現代工芸展2020『開かれる沖縄の扉』日本橋三越本店 本館5階 スペース#57月8日(水)〜21日(火)初日は本人も店頭に立つ予定です。 イチロー選手の偉大な記録、ピート・ローズ超えの日米通算4257安打。達成したときの記者会見から一部を抜粋します。 「僕は子供の頃から人に笑われてきたことを常に達成してきているという自負はあるので、例えば小学生の頃に毎日野球を練習して、近所の人から『あいつプロ野球選手にでもなるのか』っていつも笑われてた。だけど、悔しい思いもしましたけど、でもプロ野球選手になった。何年かやって、日本で首位打者も獲って、アメリカに行く時も『首位打者になってみたい』。そんな時も笑われた。でも、それも2回達成したりとか、常に人に笑われてきた悔しい歴史が僕の中にはあるので、これからもそれをクリアしていきたいという思いはもちろんあります」 どうしてこの一節を持ち出したのかって?それは、冒頭でご紹介した MARIKASI も最初は笑われたというか、相手にされなかったから。 いまから4年前、織物の職人として三年間の研修を終えた彼女から相談を受けて「南風原花織、琉球絣を使った洋服のブランドを立ち上げよう」ということになりました。ところが、当時、私の周囲の専門家の人たちからは、 「そういうの、よくあるパターンだよね」とか、「そんな価格の服、買う人いると思う?」 といった冷めた反応をいただきました。お義母さんの工房で働き始めたばかりの彼女はなかなかブランドの立ち上げに時間を割けず、遅々として進まない状況に 「もう、彼女の支援は止めなさい」 とまで言われたことがあります。 それでもめげずに二人でコツコツと少しずつ取り組み、2年後にはとうとうデビューを果たし、沖縄県内でも目利きのバイヤーが揃うプラザハウスさんで定期的に催事を開かせていただけるようになりました。そしてさらに2年後、ついに県外初、東京での催事です。 「常設店も持たずに催事でしか販売してないくせに、たった1回だけ日本橋三越の催事に出展できたからって浮かれるなよ」と言われるかもしれません。 とはいえ4年前、牧野の周りの中小企業支援の専門家と言われる人たちの中で、MARIKASI がここまで来れると思ってくれた人は誰もいなかったんですよ。 二人でもっと高い目標をクリアしていきますからね。

とんでもないところへいくただ一つの道

とんでもないところへいくただ一つの道

昨日はTEORI WORKS OKINAWAで、来週からの東京出展(7月3日-7日 銀座で和装ブランド 宮城麻里江、8日-21日 日本橋で洋装ブランド MARIKASI)前の最後のセッションをしてきました。といってもここまでくると「頑張れぇ♪」ぐらいしか言えませんが。 前回のこの稿では、宮城麻里江さんと一緒にMARIKASIを立ち上げた4年ほど前について書きました。 この頃の牧野は、行政の中小企業支援機関と契約したアドバイザーもしており、その立場から彼女ををサポートしていました。でもまぁ、前回も書きましたが、遅々として進まない状況に行政からは「もう支援するのは止めなさい」と言われてしまったわけです。 公的な機関としては限られた予算とリソースで運営している以上、なかなか前に進まない事業者さんの支援には見切りをつけて、他の事業者さんの支援にあたってほしいという判断だと思います。仕方のないことかもしれません。 とはいえ、公的な支援からこぼれ落ちたとしても「これは!」と思える事業もあるわけで、それが周りの専門家が何と言おうと、私にとっては彼女の MARIKASI だったわけです。 そこで、引き続き彼女のペースに合わせながら続けるために、公的機関の立場ではなく個人的な立場からの支援に切り替えて彼女のサポートを続けました。 彼女のペースに合わせるといってもダラダラと続けるわけではありません。彼女が自分で決めた目標を達成するためには、ここぞというところでペースを上げてもらわなければならないときもあります。1年経ってもなかなか1着目の試作が出来上がらないという状況は、いろいろ理由はあったものの時間がかかりすぎです。 私から彼女に切り出したのが「先にデビューする場所と日を決めて、おしりに火をつけちゃおう」でした。 他の工芸仲間にも協力をお願いし、MARIKASIのデビュー戦を三人展という企画にして沖縄市のプラザハウスさんに持ち込んでみました。 そこからです。進捗を遅らせていた問題が一気に片付き始め、一気にデビューにこぎつけることができました。不思議ですね。 イチロー曰く、 小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへいくただ一つの道

誰がお客か?

誰がお客か?

受動喫煙が苦手な伴走舎 牧野です。 一昨日に出席した、那覇で行われた経営者さんの集まりのお話の続きです。 私のとなりに座ったのは、4月に会員制のバーをオープンしたばかりの女性でした。沖縄にも緊急事態宣言が出た直後だったので、オープンして3日で休業したものの、最近無事に再オープンされたそうです。会員制の安心して飲めるお店を目指したいけど、しばらくはオープンにして営業しているとのこと。 この方、お店を完全禁煙にしているそうです。お店が目指しているのが、安心して落ち着いて飲めるお店、ですからコンセプトとマッチしています。 それに、素晴らしいと感じたのがもう一点。それは、 「誰がお客か?」をちゃんと見ている。 タバコを吸わない人同士で飲みに行くと困るのが店選び。となりのテーブルにタバコをバカバカ吸うグループが来たりして不愉快な思いをしたという話はよく聞きます。 とはいえ、お酒飲むところなんだからタバコはつきもの、と思ってらっしゃる方は多いと思います。 日本たばこ産業が1965年から続けてきた「全国たばこ喫煙者率調査」では、日本の成人の喫煙率は減り続け、2018年にはピーク時の3割にまで減ってしまい「JTは、喫煙者率が減少傾向にあるものと考えております。」というコメントを残して翌年以降の調査を終了しました。https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/2018/1213_01.html その調査によれば、2018年の成人の喫煙者率は、男性27.8%、女性8.7%、男女合計で17.9%。タバコを吸う人は成人の5人に1人にも満たない。 つまり、4人のグループであれば、タバコを吸う人が1人もいない確率のほうが圧倒的に高くなります。 たくさんのお客を狙うのであれば、タバコを吸わない人。ニッチに攻めるのであれば、スモーカー。 あなたは、誰をお客にしていますか?

真似しようにもマネできない?

真似しようにもマネできない?

Zoom飲み会が好きなのは運転代行で帰るのが面倒だからと思っていたのですが、受動喫煙がゼロだということも理由の一つだと、昨晩2ヶ月ぶりに那覇へ外出してわかりました。タバコが苦手というよりダメな牧野です。 ということで昨晩は那覇で経営者さんの集まりに参加してきました。同じテーブルにはたまたま中華料理屋さんと沖縄そば屋さんという飲食店を営む経営者さんが二人いて、お話をうかがっていると新型コロナの影響の受け方がとても対照的でした。 中華料理屋さんの方は、同じ場所で37年間ずっと営業してきて地域に根づいているせいか、影響を受けないどころかかえって売上が伸びている、というお話をされていました。 一方の沖縄そば屋さんは、営業してまだ10年にも満たないので地域に根づいておらず、新型コロナの影響をまともに受けている、とおっしゃっていました。 これ、本当に地域に根づいているかいないかという時間の問題でしょうか? 歌舞伎座の向かいにある創業152年の弁当屋さんも、昨年夏から廃業か事業譲渡を考えていたということですが、新型コロナの影響で客足も減り譲渡先が見つからずついに暖簾を下ろしました。 では、味でしょうか? 周囲の方々のお話をお聞きしても、中華と沖縄そば、どちらのお店も味には定評があります。 となると理由は、わからない、といったところでしょうか。 この中華料理屋さんには、先代から続く常連客さんがたくさんいるというのは確かです。それにこのお店、本当に美味しいです。チャーハンは絶品です。しばらくすると、また食べたくなります。それが口コミとなって長い時間をかけて地域に広がったことでしょう。 すべて理由の「一つ」です。でも、これだ!という理由はよくわかりません。 これを専門用語で「模倣困難性」といい、他社にはマネがしにくいという意味です。この模倣困難性には4つほど規定要因がありますが、その中でも「歴史的要因」と「因果関係の不明性」がこの中華屋さんの模倣困難性の要因といえるでしょう。 早い話が「会社の歴史の中で形成されたけど、なぜなのかよくわからん」ということです。 長い時間がかかるのは確かなのに、なぜなのかよくわらからない、となるともう他社にはマネのしようがなくてお手上げですね。 こういう会社はホントーに強いです。