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忘れ去られる大事な目的

忘れ去られる大事な目的

先日は、販売システムを導入したものの、全ての売上が販売システムに入っていないことに一年経っても気づかなかった、という例をご紹介しました。(→ こちら) どうしてこんなことが起きるんでしょうね。 考えられるのは・目的が小さかったか、目的を忘れてしまった・システムの導入に合わせて仕事を変えなかったという2つの理由です。 中小・小規模企業によくあるIT導入の目的が「省力化」。 当初の目的が省力化だった場合は、先日の例でも十分に目的を達成しています。直営店舗と卸売部門のどちらの部署においても、売上の大半を占める店舗の販売業務と卸売販売の売上集計の省力化は実現していました。 でも、省力化だけのために数百万円もかけて導入したのでしょうか。 おそらく、省力化以外にも目的があったはずです。でも、システムを使い始める前に労力をかける中心となるのは「使い方」を覚えること。使い方を覚えなければせっかくのシステムを使えませんから、従業員さんに使い方を覚えてもらうための講習はシステム導入の一大イベントです。 そして、使い方を覚えると省力化の効果をすぐに実感できます。システム導入の目的のひとつを実現できたことがはっきりとわかります。 この会社の例では、売上の大半を占める主要な販売業務は大幅に省力化されました。しかしながら、直営店舗の外商取引や卸売部門の委託販売といったわずかな業務については放置されてしまったようです。 省力化以外の目的は、使い続けてはじめて実現できるものが多く、・効果を実感できる人が経営陣や管理職などに限られる・そうした人数が少ないユーザーに対する使い方の講習は後回し・実現できるまでの期間が長い・それまでの間、根気よく継続・定着させる努力が従業員に求められるといった理由で忘れられてしまったり、努力が払われないようです。

数百万円投資して導入した販売管理システムという名の「電卓」

数百万円投資して導入した販売管理システムという名の「電卓」

販売管理システムを導入して1年経つのに、会社が売り上げた販売データがこのシステムに入っていない、なんてことあると思います? 数百万円をかけて新たに販売管理システムを導入したとある製造業の会社さん。この会社は自社直営店での小売と一般小売店への卸売で製品を販売しています。 POSレジがこの販売管理システムに連動しているので、直営店ではレジで販売したデータはすべて自動的に販売管理システムに入ります。ところが、店頭での販売以外に外商での販売も行っており、その分については誰も販売管理システムに入力していなかったんです。卸売部門では、通常の卸売取引はシステムに入力していましたが、委託販売の分についてはシステムに入力していませんでした。入力していない分の売上は、システム導入前と同様に電卓で集計していたんです。 販売管理システムにデータが入った売上と入ってない売上、どちらも経理へは報告されるので、会社としての売上はきちんと把握できていたのですが、販売管理システム上の売上とは一致していないなんてことを1年経ってもだれも気がつかなかったんです。 せっかく多額の投資をした販売管理システムですが、主要な販売方法における電卓のような単なる売上集計機になっていました。 どうして、こんなことになっちゃうんでしょうね。この続きはまた。

値引きで始まる消耗戦

値引きで始まる消耗戦

先日の「値引きで失った儲けは値引率の倍以上の売上増でしか取り返せない」には、東京でサービス業の会社を経営されている社長さんから「こうやって数値に落とすとその怖さがわかります」という感想をいただきました。 売値から変動費(仕入れや材料費などの原価)を差し引いた儲けが粗利です。この粗利で固定費(人件費、諸経費)を回収します。つまり、値引きをすると粗利が少なくなるので、その分たくさん売って粗利を稼がなければならないため、固定費を回収するのが大変になってしまいます。その大変さが数値なると怖いですね。 でも、中小・小規模企業にとって取引先からの値下げ要求はつきもの。競合との競争もあれば、輸入品との価格競争にさらされている会社さんもあるでしょう。売値を下げざるを得ないなら、変動費を下げて粗利を確保するか、固定費を下げて少ない粗利でも回収しやすくするか、のどちらかです。 少しでも商品や原材料を安く買えるところを探して変動費を減らす。経費を節約したり、忙しくてもバイトを減らしたりして固定費を削減する。 もうこれは消耗戦です。 となると一番いいのは、価格を下げなくても売れる製品・サービスを持つことになりますが、簡単ではないですよね。

値引きで失った儲けは、値引率の倍以上の売上増でしか取り返せない

値引きで失った儲けは、値引率の倍以上の売上増でしか取り返せない

一番簡単でかつ一番効果があるマーケティング施策、値引き。 仮に、通常売価1,000円、仕入値500円の商品があるとしましょう。この商品を1,000個販売すると、売上100万円、変動費(仕入値)50万円、粗利50万円ですね。 この商品を10%値引きして販売すると、通常売価と同じだけの粗利50万円を稼ぐためには、 粗利50万円 =(売値900円 − 変動費 [仕入値] 500円)× 1,250個となり、250個余分に売らなければなりません。 つまり、変動費率(原価率)50%の場合、 10%の値引き販売で失った粗利を取り返すには、 売上を25%増やす必要があるということです。 5%の値引きでは11.1%の売上増、15%の値引きでは42.8%の売上増が必要ですから、  値引きで失った分の儲けは、値引率の倍以上売上増がないと取り返せない ということになります。 ちなみに沖縄の小売業、製造業に多い変動費率(原価率)60%では、10%の値引き分の粗利は、33%もの売上増がなければ取り返せません。 さらに、卸売業に多い変動費率(原価率)80%では、10%も値引いてしまうとその分の粗利は、100%増すなわち倍の売上が必要となってしまいます。 苦しい時についつい頼ってしまいたくなる値引きですが、ある種の劇薬といえるかもしれません。

採用される側について知ってます?

採用される側について知ってます?

ある社長さんの集まりでブログのネタが何かないか聞いたところ、「採用」というお題をいただきました。 そこで、採用する側ではなく、採用される側のお話を。 一般に人が仕事を探す場合、①求人広告を見るとか人材紹介サービスに登録して探す②知り合いの紹介で探すの2つが大半を占めると思います。 ①の場合、その会社の内部についてはほとんどわからないので、面接の過程で質問して情報を得ていくことになります。私の経験では、内定をもらった後にこちらからもう一度面接をお願いし、自分にとって大切な決め手となる仕事の内容と技術レベルについて、直接会って再確認したことがあります。それでも、実際入社していみると事前に聞いていたのとはずいぶんと違っていた経験があります。 採用にはコストがかかりますので「入ってみたら違った」と感じてすぐに退職されてしまってはかないません。ですので、面接の段階で本人の期待値とのズレを解消しておく必要があるでしょう。 この期待値のズレを少なくする方法として、②があります。かっこよく言えば、リファラル採用というやつですかね。 私がコンサルティング会社に入社したのがコレです。同じプロジェクトで仕事をしていた方から「どう、ウチに来ない?」と誘われました。面接を経て内定をいただきましたが、その会社の人達と一緒に仕事していましたし、雰囲気についても普段の会話で聞いたりしていましたので、緊張しながらも安心して入社することができました。 ①の場合は「入ってみてやっぱりよかったと思う会社」、②の場合は「社員が友人・知人に薦めたくなる会社」でないといけないですよね。社長さん、あなたの会社はどうですか?