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目的のために捨てる業務、変える業務、加える業務

目的のために捨てる業務、変える業務、加える業務

前回の続きです。 この事例の会社が販売システムを導入する目的が「データを集計して分析し、対策を立てることで売上の向上につなげる」ということであれば、それを業務として組み込まなければ意味がありません。 システムを導入すると、導入前よりも細かくデータを貯めることができます。そうするとこれまでは精度が粗かったデータも細かく見ることができますし、いままでは見ることができなかったデータも見れるようになります。 そこで、・システムの導入で不要になった集計業務を廃止して、・データの集計を細かくできるようになった業務を変更し、・新たに見れるようになったデータを集計する業務を追加するということをしなければなりません。 システムを導入するのなら「捨てるべき業務は捨て、変えるべき業務は変え、加えるべき業務は加える」ということをしっかりとやって、定着させなければシステムの導入目的は実現できませんし、もちろん効果も現れません。 でも、これを定着させるにはさらに…

チップをすべて賭けるか?

チップをすべて賭けるか?

大塚家具がヤマダ電機の傘下に入ることになりました。 高級家具を会員制で販売するというスタイルを確立して成長した大塚家具ですが、経営方針を巡る対立から創業者である父の勝久さんは会社を追われ、娘の久美子さんが経営権を握り、それまでの会員制を捨てて、店舗スタイルの転換を進めました。 「客層を落としてはダメ。価格を下げたら二度と戻れなくなる」と当時父の勝久氏はテレビの取材に答えていましたが、その言葉どおりニトリやイケアとの競争に巻き込まれ2016年から3期連続の最終赤字。絶えず資金不安を抱えながらスポンサー探しに追われ、ついに51%の株式をヤマダ電機が取得し、大塚家具はヤマダ電機の子会社となりました。 一方、父勝久さんは、従来の大塚家具のスタイルを堅持した「匠大塚」を創業し、順調に業績を伸ばしています。 高級家具という業界では他の追随を許さないポジションを確立しているのに、なぜ競争の激しい市場にカジを切るのか。当時、私は不安に思っていました。 これまで泳いでいた海とは違う海へ会社を丸ごと飛び込ませてしまい、うまく泳げなかったので会社ごと救助船に拾ってもらった。そんな構図が浮かんできます。 別会社をつくるなり、別会社を作らずとも別ブランドでやってみるということは検討したのでしょうが、そうした手持ちのチップの一部だけ賭けることをせず、久美子さんはなぜすべてのチップを賭けなければならなかったのでしょうか。

忘れ去られる大事な目的

忘れ去られる大事な目的

先日は、販売システムを導入したものの、全ての売上が販売システムに入っていないことに一年経っても気づかなかった、という例をご紹介しました。(→ こちら) どうしてこんなことが起きるんでしょうね。 考えられるのは・目的が小さかったか、目的を忘れてしまった・システムの導入に合わせて仕事を変えなかったという2つの理由です。 中小・小規模企業によくあるIT導入の目的が「省力化」。 当初の目的が省力化だった場合は、先日の例でも十分に目的を達成しています。直営店舗と卸売部門のどちらの部署においても、売上の大半を占める店舗の販売業務と卸売販売の売上集計の省力化は実現していました。 でも、省力化だけのために数百万円もかけて導入したのでしょうか。 おそらく、省力化以外にも目的があったはずです。でも、システムを使い始める前に労力をかける中心となるのは「使い方」を覚えること。使い方を覚えなければせっかくのシステムを使えませんから、従業員さんに使い方を覚えてもらうための講習はシステム導入の一大イベントです。 そして、使い方を覚えると省力化の効果をすぐに実感できます。システム導入の目的のひとつを実現できたことがはっきりとわかります。 この会社の例では、売上の大半を占める主要な販売業務は大幅に省力化されました。しかしながら、直営店舗の外商取引や卸売部門の委託販売といったわずかな業務については放置されてしまったようです。 省力化以外の目的は、使い続けてはじめて実現できるものが多く、・効果を実感できる人が経営陣や管理職などに限られる・そうした人数が少ないユーザーに対する使い方の講習は後回し・実現できるまでの期間が長い・それまでの間、根気よく継続・定着させる努力が従業員に求められるといった理由で忘れられてしまったり、努力が払われないようです。

数百万円投資して導入した販売管理システムという名の「電卓」

数百万円投資して導入した販売管理システムという名の「電卓」

販売管理システムを導入して1年経つのに、会社が売り上げた販売データがこのシステムに入っていない、なんてことあると思います? 数百万円をかけて新たに販売管理システムを導入したとある製造業の会社さん。この会社は自社直営店での小売と一般小売店への卸売で製品を販売しています。 POSレジがこの販売管理システムに連動しているので、直営店ではレジで販売したデータはすべて自動的に販売管理システムに入ります。ところが、店頭での販売以外に外商での販売も行っており、その分については誰も販売管理システムに入力していなかったんです。卸売部門では、通常の卸売取引はシステムに入力していましたが、委託販売の分についてはシステムに入力していませんでした。入力していない分の売上は、システム導入前と同様に電卓で集計していたんです。 販売管理システムにデータが入った売上と入ってない売上、どちらも経理へは報告されるので、会社としての売上はきちんと把握できていたのですが、販売管理システム上の売上とは一致していないなんてことを1年経ってもだれも気がつかなかったんです。 せっかく多額の投資をした販売管理システムですが、主要な販売方法における電卓のような単なる売上集計機になっていました。 どうして、こんなことになっちゃうんでしょうね。この続きはまた。

値引きで始まる消耗戦

値引きで始まる消耗戦

先日の「値引きで失った儲けは値引率の倍以上の売上増でしか取り返せない」には、東京でサービス業の会社を経営されている社長さんから「こうやって数値に落とすとその怖さがわかります」という感想をいただきました。 売値から変動費(仕入れや材料費などの原価)を差し引いた儲けが粗利です。この粗利で固定費(人件費、諸経費)を回収します。つまり、値引きをすると粗利が少なくなるので、その分たくさん売って粗利を稼がなければならないため、固定費を回収するのが大変になってしまいます。その大変さが数値なると怖いですね。 でも、中小・小規模企業にとって取引先からの値下げ要求はつきもの。競合との競争もあれば、輸入品との価格競争にさらされている会社さんもあるでしょう。売値を下げざるを得ないなら、変動費を下げて粗利を確保するか、固定費を下げて少ない粗利でも回収しやすくするか、のどちらかです。 少しでも商品や原材料を安く買えるところを探して変動費を減らす。経費を節約したり、忙しくてもバイトを減らしたりして固定費を削減する。 もうこれは消耗戦です。 となると一番いいのは、価格を下げなくても売れる製品・サービスを持つことになりますが、簡単ではないですよね。