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足の長いものは足の長いお金で。

足の長いものは足の長いお金で。

こんにちは。経営の専門家、伴走舎 牧野です。 会社の健康状態チェック3観点の「1.安全性」の中から「(2)長期の安全性」です。 お金を「お足」なんていいますが、「足」は長いとか短いとか、期間の長さの表現なんかにも使われます。 今日お話する長期の安全性とは、足の長い買い物を足の長いお金で買っているかどうか、つまり、会社の長期的な運用資産(固定資産)が長期的な資金調達手段で賄われているかどうか、ということです。 固定資産は金額も大きく、長い時間をかけてその費用を回収します。ですが、その費用を短期的な資金で賄っていると、費用の回収よりも返済の方が早くて、資金的に苦しくなる恐れがあります。 ですので、長期的に費用を回収する固定資産を長期的な資金で賄っていることを確認するのが長期の安全性です。 固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100 100%より低ければ低いほど良いとされており、資金面で安定的な設備投資がされているということになります。 でも、多数の製造機械や工作機械を必要とする製造業さんなどは、金額の大きい固定資産を自己資本だけで賄うのは大変です。そこで使われるのがもう一つの固定長期適合率です。 固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) × 100 1年を超える期間の運用が行われる固定資産が、長期的な資本(自己資本と固定負債)でどの程度カバーされているのかを見る指標です。100%以下である必要があります。 工場や製造機械をお持ちの会社さんは貸借対照表と取り出して、足の長いものと足の長いお金の比較してみましょう。

ブランドの機能

ブランドの機能

こんにちは。経営の専門家、伴走舎 牧野です。 会社にとって強みとなる目に見えにくい経営資源を総称して「知的資産」と呼び、その知的資産は 1. 知的財産権、2. (狭義の)知的財産、3. 知的資産 の3つに分類されるなんて説明を以前しました。その際、特許、実用新案、意匠、商標などの1. 知的財産権について説明しました。 じゃぁ今日は「2. (狭義の)知的資産」から説明しましょう、といきたいところですが、この分類、ややこしいですよね。 みなさんが「そんなのも会社の強みになるんだ」といったことを理解してもらうのが最大の目的ですから、こうした学問的な分類は脇において、会社にとって強みとなる目に見えにくい資産=知的資産を一つ一つ説明していくことにしますね。 今日はブランド、その中でもブランドの機能についてです。 ブランドは強力な知的資産です。「ブランドは、自社の製品・サービスと他社のそれとをはっきりと識別させる」ものだからです。 では、ブランドにはどんな機能があるのでしょうか。 1. 出所表示機能ブランド名により、そのブランドが付与されている製品・サービスのメーカー・提供者が識別できる機能です。リンゴのマークを見れば、Appleの製品だ!とわかりますよね。この機能があるので、消費者は製品の選定が容易になり、リピートが促進されるわけですね。 2. 品質表示機能ブランド名により、そのブランドが付与されている製品・サービスの品質、価値などが判断できる機能です。「JAPAN」というブランドに寄せられる信頼がまさにこれですね。この機能は、消費者の品質判定基準になりえます。 3. 宣伝広告機能ブランド名が、消費者のメーカー・提供者に対するイメージや評判を向上させる機能です。ウォークマン世代のおじさんにとっては、かつての「SONY」がまさにこれでした。なんだか時代の先を行ってる、って感じでした。この機能により、認知度や好感度を得ることができて、ステータス・シンボルにもなりえます。 4. 資産価値機能ブランド名それ自体が資産価値をもち、企業の収益の向上に貢献する機能です。 特別なブランドを持っていなくとも、自分の会社の商号、製品名などはれっきとしたブランドです。自社のそれぞれについて、この4つの機能がどんな状態にあるのか、チェックしてみてはどうでしょうか。 ブランドの要素とブランドの資産価値

本当の失敗とは 「何もしないこと」

本当の失敗とは 「何もしないこと」

こんにちは。経営の専門家、伴走舎 牧野です。 私が書きためてある言葉の中から。 私がエベレストを登頂できずに下山して帰ってく ると、 周りからは「失敗した」って言われるんです。 でもそれはちょっと違います。 成功の反対は失敗ではなく、本当の失敗とは 「何もしないこと」です。 私は山登りを通して、挑戦し続けていく先に 必ず登頂や成功があるのだと確信しています。 栗城史多 メモに2012年2月の日付があります。何かの記事の一部を書きとめたのだと思います。

自己資本だけじゃ間に合わない!?

自己資本だけじゃ間に合わない!?

こんにちは。経営の専門家、伴走舎 牧野です。 あなたの会社の健康状態をチェックするための1.安全性、2.収益性、3.効率性の3つの観点をご紹介しましたが、今回は1.安全性について見ていきます。 安全性はさらに3つの観点に分けられ、(1)短期の安全性、(2)長期の安全性、(3)資本の調達構造の3つの観点があります。 今日はこの中から(3)資本の調達構造についてご説明します。 貸借対照表(BS)の左側は会社の財産を表し、右側はその会社の財産を生み出すための資金をどのように調達したかを表しています。BSの右側には、上に「負債の部」、下に「純資産の部」がありますよね。つまり、どれだけのお金を借りてどれだけを自分の財布から出して左側にある財産を生み出したのか、ということがBSには書かれているわけです。 となると、あまり借金していない、逆にいうとできるだけ自分の財布から出しているほうが安全性は高いですよね。 この、自分の財布から出している比率を「自己資本比率」といい、次の式で計算されます。 自己資本(=純資産の部) ÷ 総資本(純資産の部+負債の部) × 100 当然、自己資本比率は高いほうが安全性が高いとされます。自己資本比率が100%だと、いわゆる「無借金経営」というやつですね。 もう一つ、自己資本に対して借金がどれくらいあるかを「負債比率」といい、以下の式で計算します。 負債の部 ÷ 自己資本 × 100 負債比率は低ければ安全性が高いと言われます。 では、負債は悪か?ということになりますが、負債には「投資のタイミングを逃さない」というメリットがあります。 お店の評判が上がって売上がどんどん伸びているのでもう1店舗出してさらに売上を伸ばそう!というときに自己資本が積み上がるのを待っているのではタイミングを逃してしまうかもしれませんね。 必要な資金を借入してタイミングよく出店して、売上を伸ばすのも会社の成長戦略のひとつです。計画通りに売上が伸びれば、借金はきちんと返済できます。 自己資本比率を高めに保ちつつ、借入を有効に活用するのは経営者としての手腕の見せどころですね。

賛成しなければ成立しない

賛成しなければ成立しない

こんにちは。経営の専門家、伴走舎 牧野です。 株式全体の3分の1以上を持っている株主は「拒否権」を持っていると言うけど、どういうこと?という質問をいただきました。 「拒否権」というと物々しいですね。「何を拒否できるんだ?」とか「拒否ばっかりされたら、なんにもできないじゃん!」とか思ってしまいますよね。 ここからは、発行済の株式がすべて普通株を前提に説明します。 ここで「拒否権」といわれているのは、正しくは「株主総会に全株主が出席して残りのすべての株主が賛成しても、その株主が賛成しなければ議案が成立しない」とい意味です。 3分の1は33.3.....%ですね。ですので全株式の34%を持っていれば、株主総会で賛成しなければ議案を成立させないようにすることができるわけです。 「全体の34%持っていたって、過半数が賛成すれば成立するじゃん!」って思いますよね。株主総会の決議には普通決議と特別決議があって、過半数の賛成で成立するのは普通決議、3分の2以上の賛成で成立するのが特別決議となっています。 特別決議が必要な議決事項は会社法309条2項で定められており、これらを決定するには34%の株式を持っている株主の賛成が必要になるのです。 特別決議が必要な事項の主なものをご紹介しておくと(1)会社の基盤となるものを変更する場合 ・資本金減額の実施、定款の変更、事業譲渡や解散の実施などする場合。 ・合併や株式交換、株式移転や会社分割等のM&Aを実施する場合。 (2)株主の地位が変更される場合 ・全部取得条項付種類株式の取得や株式の売り渡し請求を決議する場合。 ・株式合併を実施する場合。 (3)株主の損得に関わる場合 ・譲渡制限株式の買い取りに関する内容決定や自己株式取得をする場合。 ・株主への配当を現物で実施する場合。 (4)新規に株式を発行する場合 ・第三者割当増資をする場合。 ・新株予約権を発行する場合。 (5)経営陣を変更する場合。 ・監査役を解任する場合。 (6)株主に大きな利害が発生する可能性がある場合 ・経営陣の責任の一部を免除する場合。 参考になりましたでしょうか。