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経営者のあり方が社風を決め、社風が会社の業績を決める

経営者のあり方が社風を決め、社風が会社の業績を決める

以前、組織に働く慣性の力についてお話しました。(もう一度読みたい方はこちらからどうぞ。)https://banso-sha.jp/blog/20190410/ 組織に働く慣性の力とは、一度ある方向へ会社の風土(雰囲気、習慣、考え方など)が動き始めるとなかなか変えることができず、そのその風土が維持され、強化されていくというものです。 社員さんの働きは社風に影響を受けますよね。会社の業績は従業員さんが働いて生み出すものですから、社風が業績に影響を与えるというのは何となく分かるのではないでしょうか。 一方、社風ですが、これまで企業さんとお付き合いしてきて、「ここの社員さんは指示待ちの人が多いなぁ」というときは社長さんが細かいことまで指示を出す会社さんが多いようです。 現場から上がってくる悪い情報を拒絶する人たちが経営する企業は隠蔽体質になる、というお話もしましたね。https://banso-sha.jp/blog/20190408/ 社員さん明るく積極性があり、自発的に動く社風の企業さんでは、社長さんと従業員さんのコミュニケーションが良好です。 もうおわかりですね。社風は経営者(経営陣)で決まります。 牧野がこれまでに勤めた会社とコンサルティングで関わった会社は、巨大企業から個人事業者まで合計すると69社ありますが、経営陣の考え方や行動が社風を決め、社風が業績を決めるというのを肌で感じてきました。 コンサルティング会社では、同じ業界の企業さんを続けて担当することが多く私の場合、交通系と重工系でした。また、担当先企業さんに一年ほど常駐することがほとんどで、社員さんと一緒に机を並べて仕事をすることも多々ありました。 そうすると、業界によって雰囲気が違うのは当然なのですが、同じ業界なのになぜこうも雰囲気や仕事のやり方が違うのか、というケースに出くわします。 そんなとき、部長さんや役員さんとお話しているとその理由が分かったものです。 スタンフォード大学のチャールズ・オライリー教授の研究によれば、社風(組織文化)についてこれまでの数多くの研究で論じられていることはだいたい次のように整理できるとのことです。 (1)社風は、主に経営陣が持っている価値観と 行動を反映している(2)社風は、企業の業績を決める重要な一因  つまり、社長(を含む経営陣)の意識・行動の状態が業績を左右する、ということです。 学術的にも裏付けがありますね。

売上重視が招く悲劇…

売上重視が招く悲劇…

「売上」はキャッシュの源泉ですから会社にとって必要不可欠なものです。ですから、経営者としては、売上に注力しがちですし、従業員さんにも「売上、売上!」とハッパをかけたくもなります。 従業員さんに売上ばかりを意識させてしまうと引き起こしてしまう悲しい事例を2つご紹介します。 <ケース1> 観光シーズンには1日200万円近くを売り上げる県内小売業さんのケース。 そのお店では、従業員さん個人の判断でお客様に提示できる値引率は 一般客:10%まで 親戚、特別な知人・友人:20%までと決められていました。 ターゲット層が観光客というこのお店で県内リピーターさんが多い古参の販売員Tさんは、接客中に親しくなった県内一般客さんを「お話ししてて親しくなったから特別なお友達♪」と勝手に基準を緩め、20%値引きで販売。 お客様も次からはTさんを指名買い。これが常態化しているうちにTさんの基準はどんどん緩みついには30%、40%の値引きで販売するようになっていました。 このお店の平均原価率は約40%、販管費率が約40%ですので20%の値引きで利益ほぼゼロ。 つまり、Tさんは長年、売れば売るほど赤字を生み出していたわけです。 Tさんにも言い分はあり、「売上が上がるでしょ。お客様も喜ぶしでしょ。いいことづくめで会社の方針どおりでしょ♪」ということでした。 会社が決めたルールを守れない本人の資質の問題やチェック機能がなかったお店の問題もありますが、売上だけでなく、利益にも注意を払わせることができなかった経営側にも問題の一端はないでしょうか。 <ケース2> 年商5億円規模の卸売業さんのケース。 何年も未回収となっている1件あたり200〜300万円ほどの売掛債権が3本ほどあるが、どうしたらいい?との相談でした。 1つは詐欺、2つは倒産とのことでした。詐欺の相手方はプロなので足がつかないようにしてあり被害届不能。倒産の2社は夜逃げに会社清算終了でどれも回収不可能です。 社長さんは悔しくて帳簿から落とさずに何年も経過していたのですが、体力のあるうちに損金処理を勧めました。 それよりも、私が気になったのは、なぜこんなことが繰り返されたのか?その原因です。 これら売掛先のひと月あたりの受注額はだいたい20万〜40万円。取引条件はいずれも、納品翌月末の振込払い。つまり、半年以上も入金がないままいそいそと納品し続けたことになります。 担当した営業マンのKさんは、新たに開拓したこれらの取引先が自らの売上目標達成への貢献度が高いため、入金がなくても毎月売上が計上されるので納品を続けたようです。 これまた本人の資質の問題もあるでしょうが・売掛金回収の責任は誰にあるのか・新規開拓時の与信調査・滞留債権の管理・取引契約書(基本契約と個別契約)など、様々な問題を含んでいるのでこれらは別の機会に取り上げたいと思います。

成長し続ける会社のちょっとした共通点…その理由

成長し続ける会社のちょっとした共通点…その理由

以前、成長し続ける会社のちょっとした共通点が、ホワイトボードとミーティングスペース、というお話をしました。 まだ理由をお話していませんでしたよね。 ただホワイトボードがあるだけじゃダメですよ。 ホワイトボードにTodoリストが書かれていたり、予定表が貼られていたりみたいな、掲示板のようにいつも何か書かれっぱなし、というのではダメです。いつも真っ白になっていないと。 ミーティングスペースも、商品サンプルとか印刷物など仮置場になっているような、いつも何かモノが置かれているのもダメです。何も置かれていない状態じゃないと。 つまり、ボードもスペースも、いつでも使えるようにしてあることが重要です。23年間いろいろな会社さんに常駐してプロジェクトをやらせてもらった経験でも、会議室を確保しにくい会社さんの場合、プロジェクトを非常に進め辛く感じました。というか、スケジュールは遅れがちになるし、アウトプットのクオリティも落ちます。 ハードなプロジェクトになればなるほどメンバー間の意思疎通のスピード上げて、発生する問題の解決スピードを早めなければなりません。 そのための場所が、会議室やミーティングスペースです。 何か問題が起きたら、関係者がさっと集まって、議論して対策を出して、さっと散る。 炎上中のプロジェクトに火消しとして送り込まれたことが何度かありますが、これができないとホントしんどかったです。 集まって議論するなら話が噛み合わなければならないし、結論もお互いに共通認識を持たなければいけませんよね。 口頭だけで話し合っていると、自分はこいうつもりで言ったのに相手が受け取って認識したものが違っていて議論が噛み合っていない、なんてことありますよね。 「伝えた」と「伝わった」は全く違いますよね。 人数が多いにも関わらずホワイトボードも使わずに行われる会議に何度も参加しましたが、そこで交わされる議論は言葉が飛び交うだけの「空中戦」でした。 そんなときのホワイトボードです。 ヘタでもなんでもいいから、図にしたり、表にしたりしてみると、パッとわかって参加者全員が「な〜んだ、そういうこと」ってなこと、経験してますよね? まさに、空中戦は一見に如かず。 売上が毎年20%ペースで伸びている沖縄県内の企業の社長さんも「社員からは朝令暮改って思われてるかもしれないけど、思いついたら関係する社員をこの場所にサッと集めて、ホワイトボードにパッパッパと書いて指示をちゃんと理解させる」って言ってました。 ミーティングスペースとホワイトボードの重要性、ご理解いただけました?

「売上=客数×客単価」の「客単価」を分解する

「売上=客数×客単価」の「客単価」を分解する

売上=客数×客単価 の考え方のうち、前回は「客数」を分解しました。 今回は「客単価」の分解です。 目標として設定した客単価をどのように構成して実現するか、を考えることになります。 やり方としては(1)価格政策で目標客単価に近づける(2)商品構成で目標各単価をねらうが主なやり方です。 メニュー表の作り方を工夫して目標の客単価を実現している飲食店さんもあるようですが、まずは基本を。 (1)は、値上げではなく、価格設定を上手に行って目標の客単価へ近づけます。価格設定を上手に行って目標の客単価へ近づけま。 買ってほしい価格の商品と買わなくてもいいから価格を見せるための商品を並べておいて、買ってほしい商品のお得感を出そうというものです。 見せる価格の商品と買ってほしい商品とをくらべて「こっちの方がお得」と感じてもらうようにするわけです。 (2)は、商品構成を工夫して購入される商品点数を増やすことで目標の客単価へ近づけます。 買い合わせやオプションですね。 代表例が、スーパーの肉の特売コーナーにすき焼きのタレとかすき焼き用の野菜を一緒に置いたりする手法です。 このように、客単価の中身は目標の金額に近づけるための価格設定や商品構成を計画することになります。 前回の繰り返しになりますが、組み立て式で目標を立てたほうがいいというお話がここにつながってきます。 こうして目標とした客単価に向けて価格政策や商品構成を計画しておけば、期末に意味ある振り返りができるはずです。

「売上=客数×客単価」の「客数」を分解する

「売上=客数×客単価」の「客数」を分解する

売上=数量×単価 ではなく、売上=客数×客単価 で考えませんか?というお話を以前しました。この考え方、非常に大切だと思います。 ここで「客数」とは、お買い上げいただいたお客様の数、という単純な話ではないです。 ご購入いただいたお客様の数、と言ってしまえばそれまでですが、ご購入に至るまでのお客様はどんなお客様でしたか? まず、・購入されたお客様・購入されずに帰ったお客様に分けられます。購買率ですね。 また、・初めてのお客様・すでにご購入いただいたことのあるお客様にも分けることができますね。リピート率です。 以上の掛け合わせで4種類のお客様に分類されるのですが、それだとややこしくなるので、客数とは・初めてのお客様の購買率・既存のお客様のリピート率を合計したもの、ぐらいで考えても差し支えないでしょう。 「なんだ、小売や飲食の話じゃん」って思ったでしょ。 以前にも書きましたが、B to Bでも有効です。・初めて引き合いのあったお客様からどれだけの割合で受注できるか。(購買率)・既存のお客様からどれだけの再受注をいただいたか。(リピート率)のように考えられますよね。 組み立て式で目標を立てたほうがいいというお話がここにつながってきます。 こうして分解した要素ごとに目標を設定し、それを組み立てて最終的な目標を立てておけば、期末に意味のある振り返りができるはずです。