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経営計画は仮説で立てる  |「売上=客数×客単価」の「客単価」を分解する

経営計画は仮説で立てる |「売上=客数×客単価」の「客単価」を分解する

売上は「売上=客数×客単価」と分解できます。前編では「客数」を仮説として捉え、行動につながる目標の立て方を整理しました。本記事ではもう一つの要素である「客単価」に焦点を当て、値上げに頼らず、仮説で客単価を組み立てる考え方を解説します。 目次 売上=客数×客単価、そのもう一つの要素をどう考えるか客単価は「値上げ」だけで決まるものではない価格の見せ方を工夫するという仮説商品の組み合わせを工夫するという仮説客単価もまた、仮説で組み立てるもの仮説があると、数字は「先生」になる目標とは、数字ではなく考え方を決めること 売上=客数×客単価、そのもう一つの要素をどう考えるか 売上は「売上=客数×客単価」というシンプルな式で表すことができます。前編では、このうちの「客数」を分解し、仮説にもとづいて目標を立てる考え方を整理しました。今回はもう一つの要素である「客単価」について考えてみたいと思います。 客単価という言葉を聞くと、まず「値上げ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ただ、いきなり値上げの話になると、経営者自身も身構えてしまいますし、社員さんからも「それは難しいです」という反応が返ってきがちです。ですが、客単価は必ずしも値上げによってしか上げられないものではありません。 客単価は「値上げ」だけで決まるものではない 目標とする客単価をどうやって実現するか。考え方はとてもシンプルで、大きく分けるとやり方は二つあります。一つは「価格の見せ方を工夫すること」。もう一つは「商品の組み合わせを工夫すること」です。まずは、この基本だけを押さえておくことが大切だと考えています。 ここで重要なのは、どちらも「値段そのものを上げる」話ではないという点です。客単価は、事前の設計によって、無理なく組み立てることができます。 価格の見せ方を工夫するという仮説 一つ目は、価格の見せ方を工夫することです。これは値上げとは別の話です。たとえば、本当に買ってほしい価格帯の商品と、必ずしも買われなくてもいいけれど、比較のために置いてある商品を並べておく、という考え方があります。 人は価格を単独で判断しているようで、実際には「比較」で判断しています。「こちらのほうが、なんだかお得だな」と感じてもらえれば、自然と選ばれる商品が決まってきます。飲食店のメニュー表などでは、よく使われている考え方ですよね。 ここで立てるべき仮説は、「この価格帯の商品を基準に見せれば、こちらが選ばれやすくなるのではないか」というものです。客単価は偶然決まるのではなく、どう見せるかという仮説にもとづいて設計されていきます。 商品の組み合わせを工夫するという仮説 二つ目は、商品の組み合わせを工夫することです。こちらは、購入点数を増やすという発想です。いわゆる「買い合わせ」や「オプション」と呼ばれるものですね。 たとえば、スーパーの精肉売り場で、すき焼き用のお肉の横に、すき焼きのタレや野菜が一緒に並んでいるのを見たことがあると思います。「せっかくだから、これも一緒に」という気持ちが自然に生まれれば、結果として客単価は上がります。 この場合の仮説は、「この商品とこの商品を組み合わせて見せれば、一緒に買ってもらえるのではないか」というものです。ここでも、客単価は自然発生的に決まるのではなく、事前に組み立てられています。 客単価もまた、仮説で組み立てるもの こうして見てみると、客単価の中身は、「どんな価格をどう見せるか」「どんな組み合わせを用意するか」という設計の積み重ねでできていることが分かります。これは、前編で扱った「客数」とまったく同じ構造です。 客数も、客単価も、どちらも自然に決まるものではありません。どこをどう動かすつもりなのか。その意図が仮説として言葉になっているかどうかが、目標として機能するかどうかの分かれ目になります。 仮説があると、数字は「先生」になる 仮説をもって立てた目標は、達成しても未達でも、必ず次の一手を残してくれます。結果の数字だけを追いかけていると、期末の振り返りは「よかった」「ダメだった」で終わってしまいがちです。 一方で、仮説があれば、数字は原因を教えてくれる存在になります。どこが想定どおりで、どこがズレていたのか。そのズレは、次に何を変えるべきかを示してくれます。数字は評価の道具であると同時に、学びのための先生でもあるのだと思います。 目標とは、数字ではなく考え方を決めること 客数であれ、客単価であれ、大切なのは「どこをどう動かすつもりだったのか」が言葉になっていることです。目標とは、単に数字を決めることではなく、考え方を決めることなのかもしれません。 あなたの会社の目標は、数字を追いかけるためのゴールでしょうか。それとも、行動を導き、振り返りで学びが残る仮説としての目標でしょうか。前編と後編を通じて、そんな問いを一度立ち止まって考えていただけたらと思います。 公開・更新履歴2019年:公開2025年12月21日:大幅に加筆・再構成

経営計画は仮説で立てる  |「売上=客数×客単価」の「客数」を分解する

経営計画は仮説で立てる |「売上=客数×客単価」の「客数」を分解する

経営計画で「今年は売上◯%アップ」という目標を立てても、現場の行動や振り返りにつながらないことは少なくありません。売上は「売上=客数×客単価」と分解できますが、その式を仮説として使えているでしょうか。本記事では、このうち「客数」に着目し、行動を導く目標の立て方を整理します。 目次 売上目標は立てているのに、なぜ行動が変わらないのか目標に「仮説」が入っていないと、学びが残らない売上は「客数×客単価」に分解できる客数は「来た人の数」ではないBtoBでも構造はまったく同じ仮説があると、期末の振り返りが変わる売上目標の前に、客数の仮説を置いていますか? 売上目標は立てているのに、なぜ行動が変わらないのか 経営計画を立てるとき、「今年は売上を○%アップしよう」といった目標を掲げることは、ごく自然なことだと思います。ただ、その目標を社員さんに示したとき、「どうやって実現するのか」を具体的にイメージできているでしょうか。また、期末になって「なぜ達成できたのか」「なぜできなかったのか」を、社員さん自身の言葉で説明できる状態になっているでしょうか。 現場を見ていると、そこが曖昧なままになっているケースは少なくありません。数字は立てたものの、日々の行動は前年とあまり変わらない。振り返りをしても、「もっと頑張ればよかった」「景気が厳しかった」といった話で終わってしまう。そうした状態が続く背景には、目標の立て方そのものに問題があるのではないかと、私は感じています。 目標に「仮説」が入っていないと、学びが残らない 私がよくお伝えしているのは、目標は「結果を測るための数字」ではなく、「行動を導くための仮説」だという考え方です。この数字に到達するためには、どんな行動が必要なのか。どんな前提条件が成り立てば実現できるのか。そこまで考えてはじめて、目標は現場で使えるものになります。 仮説のない目標は、達成できたかどうかは分かっても、「なぜそうなったのか」が分かりません。達成しても偶然なのか必然なのかが判断できず、未達で終わった場合も、次に何を変えればいいのかが見えてこない。これでは、せっかく時間をかけて経営計画を立てても、組織に学びが残りにくいのではないでしょうか。 売上は「客数×客単価」に分解できる では、仮説を入れた目標とはどんなものなのか。ここからは、売上という数字を題材に考えてみます。売上はシンプルに表せば、売上 = 客数 × 客単価ですよね。 今回はこのうち、「客数」に焦点を当てます。客単価については後編で扱いますので、まずは売上目標を客数の側からどう考えるか、という視点です。 客数は「来た人の数」ではない 客数という言葉は便利ですが、その中身は意外と曖昧に扱われがちです。「来た人の数」「引き合いの数」と一言で済ませてしまうと、どこに手を打つべきかが見えにくくなります。 たとえば来店型の事業であれば、客数は次のように分解できます。どれくらいの人が来てくれたのか。そのうち、どれくらいの人が購入してくれたのか。初めて来た人はどれくらいだったのか。リピートしてくれた人はどれくらいか。こうして見ていくと、客数とは単なる人数ではなく、行動の積み重ねだということが分かります。 つまり客数とは、新規のお客様がどれくらい来て、どれくらい購入してくれたのか、既存のお客様がどれくらい戻ってきてくれたのか、そうした要素の集合体です。 BtoBでも構造はまったく同じ 「それは小売や飲食の話でしょう」と思われるかもしれません。しかし、BtoBでも考え方はまったく同じです。BtoBに置き換えると、客数は次のように分解できます。 引き合いはどれくらいあったのか。そのうち、どれくらい受注できたのか。既存顧客からの再受注はどれくらいあったのか。式で表せば、売上 = 商談数 × 受注率 × 客単価となります。 「売上◯%アップ」という目標を、この構造に当てはめてみると、新規の引き合いを増やすつもりなのか、受注率を上げるつもりなのか、既存顧客からの再受注を増やすつもりなのか、どこを動かす計画なのかがはっきりしてきます。 仮説があると、期末の振り返りが変わる 客数について仮説を置いて目標を立てておくと、期末の振り返りの質が変わります。引き合いは想定どおりだったのか。受注率は仮説と比べてどうだったのか。再受注は増えたのか、それとも別の要因が影響したのか。ズレた場所が、感覚ではなく構造として見えてきます。 これは、達成・未達を評価するためだけの振り返りではありません。「次はどこを変えるか」という次の一手を考えるための振り返りです。仮説をもって立てた目標は、結果がどうであれ、必ず学びを残してくれます。 売上目標の前に、客数の仮説を置いていますか? 今回お伝えしたかったのは、売上目標を立てる前に、まず「客数についてどんな仮説を置いているか」を問い直してみてほしい、ということです。新規を増やすのか、既存を深掘りするのか。それとも、そのあたりが「なんとなく」になっていないでしょうか。 数字を掲げること自体が悪いわけではありません。ただ、その数字が行動を導き、振り返りで学びを生む仮説になっているかどうか。そこが、経営計画が機能するかどうかの分かれ目なのではないかと、私は考えています。 後編では、もう一つの要素である「客単価」をどう仮説として扱うかを考えていきます。客数と客単価、両方を仮説として組み合わせたとき、売上目標は初めて「使えるもの」になるはずです。 あなたの会社では、客数について、どんな仮説を置いていますか? 公開・更新履歴2019年:公開2025年12月21日:大幅に加筆・再構成

裸の王様が治める国に共通する悲しい結末

裸の王様が治める国に共通する悲しい結末

ちょっと暗いタイトルですいません。 裸の王様になってしまう人の共通点について先日書きました。 悪い情報を拒絶すること、でしたね。 下から上がってくる悪い情報を聞いても叱責するだけで、原因を探って対策を立てようとはせず、原因についての部下からの説明を言い訳と受け取る。 それを繰り返していくうちに部下から悪い情報は上がらなくなり、裸の王様になっていく... 社長が裸の王様になる過程はこんな感じでした。 社長が裸の王様になってしまうと、社長の周りの直属の部下たちはイエスマンにならざるを得ず、悪い情報は握りつぶし始めます。 そうすると次第に、イエスマンたちは悪い情報を上げてくる自分の部下を厄介者扱いするようになります。 悪い情報上げていた部下も厄介者扱いされているうちに次第にイエスマンになって、悪い情報を握りつぶして上司に上げなくなっていきます。 大きな組織になれば、この連鎖が下の階層へ、またさらに下へ、と繰り返され、組織全体に広がります。 こうなってしまった組織の状態をひとことで何と言うでしょうか? そう、隠蔽体質、です。 隠蔽体質の組織といえども、現場で発生している悪いことを隠し続けられるものではありません。 いずれは露見して世間を騒がせる不祥事になります。 最悪の場合、隠し続けた製品の欠陥が尊い人の命を人を奪ってしまいます。 だから社長、本当に気をつけてください。絶えず自分をチェックしてください。 できれば、客観的に判断して、社長にとって厳しいことでも指摘してくれるそんな人がいればベストです。

組織に働く慣性の力

組織に働く慣性の力

中小企業にお勤めの方からこんな相談を受けたことがあります。 社員:実は会社でこんな問題があります。   考えた解決方法はこうです。   牧野さん、どう思います? 牧野:それ、やってみる価値はありますね。   けど、全社で取り組む必要ありますよ。 社員:だから止めておきます。 牧野:え!?社長の了解もとれてるのに、   どうしてですか? 社員:最初はみんな賛成するんですけど、   結局言い出しっぺに押し付けるんです。 牧野:どういうことですか? 社員:ウチの社長は、うまくいっても   褒めることもせず何も言わないけど、   失敗すればグダグダ言うんですよ。 牧野:ありゃまぁ。困った社長さんですね。 社員:だからみんな、現状を変えるのが   イヤなんです。新しいことを始めると   みんな、反対意見ばかり言って   つぶそうとするんです。 牧野:確かに、新しいことやって叱られるなら、   何もしないで何も言われないほうがいい。   社内の雰囲気はそうなってきますよね。 社員:ウチの会社はこれまでずっとこの繰り返し。   だから、現状を変えようとした   勇気ある人はみんな辞めていって、   現状維持を望むやる気のない人だけが   会社に残っているんです。 これ、組織に働く「慣性の力」です。 組織が一旦ある方向に進み始めると、それを変えるのに相当な力が必要になります。大きな組織になれば、なおさらです。 組織に働く慣性の力の威力を知るのにちょうどいいエピソードがあります。 出典を思い出せなくて申し訳ないのですが、サルを使ったこんな実験の話を聞いたことがあります。 実験室に5匹のサルを入れて生活させます。天井の中央からはバナナを吊るしてあり、引っ張ると上から熱湯が降ってくるという仕掛けにしておきます。 そのバナナを取って食べようとして熱湯で散々な目にあった5匹のサルはいずれ全員バナナを取ろうとしなくなります。 その頃を見計らって1匹だけ実験室内のサルを入れ替えます。新入りのサルAは天井からのバナナを見つけ、取って食べようとしますが、古株の4匹のサルが必死に止めます。 古参のサルから止められるのを繰り返すうちに、新入りAもいずれバナナを取らなくなります。バナナを取るとどうなるかを経験していないにも関わらず。 そこでまた、古株のサルをもう1匹入れ替えます。新入りのサルBは当然バナナを取ろうとしますが、またも残りのサルは必死で止めます。驚いたことに、バナナを取ると何が起きるかをまったく知らない先ほどの新入りAも一緒になって止めるんです。 こうして新入りBも、理由がわからないままバナナを取らなくなります。 さらにまた、古株のサルをもう1匹入れ替える・・・ これを繰り返して、古株が1匹もいなくなり、実験室の中のサルが新入りA〜Eにすべて入れ替わったとき、新たに新入りFを入れると、バナナを取るとどうなるかを知るサルはすでに1匹もいないのにもかかわらず、新入りFがバナナを取ろうとするのを他のサルが全員で止めたそうです。 あなたの会社にも、組織の慣性の力が働いているはずです。

社長、裸の王様になってませんか? 〜 裸の王様の共通点

社長、裸の王様になってませんか? 〜 裸の王様の共通点

「裸の王様」を辞書で引くと、「高い地位にあって周囲からの批判や反対を受け入れないために、真実が見えなくなっている人のたとえ」とあります。 私が若かりし頃、配属された新設部門の部長はまさに裸の王様でした。王様の周りの課長は、いわゆるイエスマンで固める布陣。 裸の王様が治める王国で働く兵士は悲惨です。 当時、結婚して子供が生まれたばかりの私は、コンサルティング会社へ転職しました。 このときの部長に限らず、裸の王様になってしまった偉い人、何人も見てきました。 私が見てきた裸の王様に共通するのは、悪い情報を拒絶すること。 部下から上がってくる悪い情報に対して叱責するだけで、その原因を探り、対策を立てようとはしません。 部下が原因について述べようものなら、それを言い訳と受け取ります。 これを繰り返していくうちに部下から悪い情報は上がらなくなり、裸の王様の出来上がりです。 現実が見えなくなってしまうので、状況悪化の本当の理由がわからず、的外れな対策を命令しつづけ、部下は疲弊し、組織は衰退していきます。 社員にとって社長は生殺与奪権者です。社員にも生活があります。つまり、社長の怒りに触れることは、家族の生活を危険に晒すことになります。 したがって、社長はよほど注意しないと裸の王様になりかねません。 あなたは大丈夫ですか?