2022.03.09
簡単に作られる裸の王様
前回の続きです。 会社にとって都合の悪い事実がトップに上がらず、不正や隠蔽が組織風土になるのは、大企業に限らず、10人にも満たない小さな組織でもありえます。 私がまだ二十代のとき、業界シェア2位の金融機関のIT子会社に勤めていた時のことです。 売上の99%がグループ企業との取引だったので、新規事業を立ち上げるべく事業部が作られ、人事異動でそこへ送り込まれました。 「新規事業」という部署に企業の中からどのような人間が集められるのか、というのにも面白いパターンがあるのですが、それはまた別の機会に。 新規事業部といっても事業部長を含めて8人。事業部長が描いたビジネスモデルを実現しようと動きはじめるのですが、現場は気づきます。 「事業部長のプランどおりには行かない」 現場を束ねるリーダーとして事業部長に状況を説明し、プランの見直しを進言するのですが、事業部長からは「なぜうまくいかないんだ!」 何度説明してもウンザリした顔をしていました。 私も現場にいなければなりません。上司には逐一状況を報告していたのですが一向に変化の兆しもありません。 上司は上司で、最初のうちは事業部長に状況を報告していたようですが、その度に事業部長から叱責にあうので次第に私からの悪い状況報告を握りつぶすようになったみたいです。 さらには、以前は私の報告を詳しく聞こうとしていた上司も、私が報告する度にだんだんとウンザリした反応をするようになってきました。 現場でアライアンスを組んでいたコンサルティング会社の方からは「牧野くん、いつまでそんな会社にいるの?」とお誘いいただいたこともあり、現場がなんとか形になってきた1年後にお誘いいただいた会社に移ることにしました。 都合の悪い情報がトップまで上がらないという中小企業は他にも見てきました。実際にそこで働いてもいましたので。 こういう会社では、トップといえども、「裸の王様」のような状態です。 共通することはたった一つ。 トップが都合の悪い情報を拒絶する。 たったこれだけです。 拒絶し、報告者をウンザリした顔で睨みつける。怒りをぶつければ効果は抜群。 これを続ければ、隠蔽組織は出来上がります。 「続ける」というのがポイントです。 続きは次回。 牧野でした。最後までお読みいただきありがとうございます。 【メルマガ】をご登録ください。小さな会社の社長のためのメールマガジン「 あなたの経営にちょっとプラス」▼ こちらから登録https://banso-sha.jp/news/mag/