2021.10.13
定義の行間を読む
「立派な経営者さんだなぁ」と感じているとある中小企業の会長さんがいます。私のメルマガを購読されていてご自身でいいと思った号はプリントアウトして持ち歩いていらっしゃいる方です。以前にもご紹介しましたよね。 昨日参加した勉強会でお会いしたとき「牧野さん、ほら」と文字を大きくしたり、赤字にしたりとご自分で編集したプリントアウトを見せてくださいました。それがこの号。なんだか嬉しくなっちゃう一日の終りでした。 ★ 毎年講師のご依頼をいただいている沖縄県高度工芸技術者養成研修事業。今年度で4年目になりました。 もちろん、私が工芸の技術を教えるわけじゃありません。 受講者のみなさんは工芸の職人を目指して1年間、技術の研鑽に励んでいますが、自分の工房を構えるとなったら経営という問題に直面します。 そこで、「作ることばかりじゃなくて、 経営のことも忘れないでね」という啓発的な3時間の授業の講師を毎年ご依頼いただいています。 今年度の講座を9月30日にzoomで開催したところ、受講レポートが事務局から先日届きました。みなさんの受講後の感想をいただくのは4年目にして初めて。 その中で一番多かった感想が、「伝統工芸だからといって 伝統的なものを作らなくてもいい」ということに驚きや勇気をもらったというものです。 裏返すと、みなさん「伝統的なものを作らなければいけない」と思い込んでいたようですね。 過去3回の受講生さんもそうでした。 日本の伝統的工芸品は「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」にもとづいて経済産業省が指定します。 略して伝産法と呼ばれるこの法律の第2条に「伝統的工芸品とはなにか」が定義されています。 それによれば、伝統的工芸品とは 伝統的な原材料を使って(第4項) 伝統的な技術・技法で(第3項) 手工業的に作られる(第2項) 日常生活に使用するもの(第1項)というものになります。 (第2条には第5項もありますが、 話の本筋から逸れますので割愛します) この第2条の条文をずっと眺めていると「伝統的なものを作れ」とは書かれていないことに気づきました。 つまり、 現代的なものを作ったとしても この4つを満たせば それは伝統的工芸品であるということなんです。 長年伝統的工芸品を作り続けてきたベテラン職人さんでもご存じない方が大半でこの話をすると驚かれる方が多いことに私のほうが驚かされます。 この第2条の行間が読めたとき伝統工芸の職人さんに向き合うときの伴走舎のスタンスが決まりました。 授業では、私のお客様であるTEORI WORKS OKINAWAの宮城麻里江さんをはじめ、伝統工芸の世界で「現代的なもの」をつくることにトライする私の職人仲間を紹介しています。 そうすると、若い受講生のみなさんが食い入るように見ているのがzoom越しでもわかります。 「伝統的工芸品というからには 伝統的なものを作らなきゃ」という固定観念が取り払われたので何か視界が開けたんでしょうね。 あなたの事業にも知らずしらずの固定観念があるかもしれません。 まずは、当たり前とされていることの定義の行間を読み解いてみてはどうでしょうか。 牧野でした。最後までお読みいただきありがとうございます。【メルマガ】をご登録ください。 https://banso-sha.jp/news/mag/ 小さな会社のこだわる社長のためのメールマガジン 「 あなたの経営にちょっとプラス」 ■ 代表 牧野のインタビューhttps://youtu.be/ejn7a9CuJkE ■ お問い合わせhttps://banso-sha.jp/contact/