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定義の行間を読む

定義の行間を読む

「立派な経営者さんだなぁ」と感じているとある中小企業の会長さんがいます。私のメルマガを購読されていてご自身でいいと思った号はプリントアウトして持ち歩いていらっしゃいる方です。以前にもご紹介しましたよね。 昨日参加した勉強会でお会いしたとき「牧野さん、ほら」と文字を大きくしたり、赤字にしたりとご自分で編集したプリントアウトを見せてくださいました。それがこの号。なんだか嬉しくなっちゃう一日の終りでした。  ★ 毎年講師のご依頼をいただいている沖縄県高度工芸技術者養成研修事業。今年度で4年目になりました。 もちろん、私が工芸の技術を教えるわけじゃありません。 受講者のみなさんは工芸の職人を目指して1年間、技術の研鑽に励んでいますが、自分の工房を構えるとなったら経営という問題に直面します。 そこで、「作ることばかりじゃなくて、 経営のことも忘れないでね」という啓発的な3時間の授業の講師を毎年ご依頼いただいています。 今年度の講座を9月30日にzoomで開催したところ、受講レポートが事務局から先日届きました。みなさんの受講後の感想をいただくのは4年目にして初めて。 その中で一番多かった感想が、「伝統工芸だからといって 伝統的なものを作らなくてもいい」ということに驚きや勇気をもらったというものです。 裏返すと、みなさん「伝統的なものを作らなければいけない」と思い込んでいたようですね。 過去3回の受講生さんもそうでした。 日本の伝統的工芸品は「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」にもとづいて経済産業省が指定します。 略して伝産法と呼ばれるこの法律の第2条に「伝統的工芸品とはなにか」が定義されています。 それによれば、伝統的工芸品とは 伝統的な原材料を使って(第4項) 伝統的な技術・技法で(第3項) 手工業的に作られる(第2項) 日常生活に使用するもの(第1項)というものになります。 (第2条には第5項もありますが、 話の本筋から逸れますので割愛します) この第2条の条文をずっと眺めていると「伝統的なものを作れ」とは書かれていないことに気づきました。 つまり、 現代的なものを作ったとしても この4つを満たせば それは伝統的工芸品であるということなんです。 長年伝統的工芸品を作り続けてきたベテラン職人さんでもご存じない方が大半でこの話をすると驚かれる方が多いことに私のほうが驚かされます。 この第2条の行間が読めたとき伝統工芸の職人さんに向き合うときの伴走舎のスタンスが決まりました。 授業では、私のお客様であるTEORI WORKS OKINAWAの宮城麻里江さんをはじめ、伝統工芸の世界で「現代的なもの」をつくることにトライする私の職人仲間を紹介しています。 そうすると、若い受講生のみなさんが食い入るように見ているのがzoom越しでもわかります。 「伝統的工芸品というからには 伝統的なものを作らなきゃ」という固定観念が取り払われたので何か視界が開けたんでしょうね。 あなたの事業にも知らずしらずの固定観念があるかもしれません。 まずは、当たり前とされていることの定義の行間を読み解いてみてはどうでしょうか。 牧野でした。最後までお読みいただきありがとうございます。【メルマガ】をご登録ください。 https://banso-sha.jp/news/mag/ 小さな会社のこだわる社長のためのメールマガジン 「 あなたの経営にちょっとプラス」 ■ 代表 牧野のインタビューhttps://youtu.be/ejn7a9CuJkE ■ お問い合わせhttps://banso-sha.jp/contact/

リーダーにとって最も重要な仕事

リーダーにとって最も重要な仕事

牧野です。 先週より、ドラッカーが説くリーダーシップにまつわるエピソードをご紹介しています。 ドラッカーによれば、リーダーにとって最悪のこととは、辞めたあとの組織がガタガタになること。 そうならないように、コンサルティング会社時代の私は「現場の仕事には手を出さず、 手を後ろに組んでいた」と前回書きました。 じゃあ、牧野は何してたんだ? って思いますよね。 ドラッカーは言います。 リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。ドラッカー「非営利組織の経営」 もちろん、これだけやっていたというわけではありません。これを最優先に位置づけていたんです。 具体的にいうと… コンサルティング会社時代のプロジェクトは1年〜1年半という期間の長いものばかりでした。 それだけの長きに渡るプロジェクトを何も問題が起きないまま終えることなどありえません。 ですから、絶えず数ヶ月以上先のスケジュールを見ながら予想されるリスクに目を光らせていました。 また、現場の状況を見ながらトラブルの予兆を捕まえて早めに芽を摘むといったこともしていました。 つまり、当時の私は「リーダーの仕事は、 メンバーが仕事をしやすい環境を作ること」と考えていたんです。 だから、メンバーの仕事をジャマしそうなものをどけておいてあげる。 そして、いまジャマしているものがあればすぐにどけてあげる。 この2つをひたすらやっていたんです。 伴走舎となった今でも同じですよ。 牧野でした。最後までお読みいただきありがとうございます。【メルマガ】をご登録ください。 https://banso-sha.jp/news/mag/ 小さな会社のこだわる社長のためのメールマガジン 「 あなたの経営にちょっとプラス」 ■ 代表 牧野のインタビューhttps://youtu.be/ejn7a9CuJkE ■ お問い合わせhttps://banso-sha.jp/contact/

手を後ろに組む

手を後ろに組む

コンサルティング会社時代、チームを率いてプロジェクトを進めるのが仕事だった私は、「自分がいなくても仕事が回る」のを理想形としてチーム作りをしていたと前回書きました。 ドラッカーも リーダーにとって最悪のことは、辞めたあと組織ががたがたになることである。「非営利組織の経営」 と言っています。 では、私がどうしていたのか。 それは、以前にも書きましたが、基本姿勢として 手を後ろに組む です。 私がマネージャーになりたての頃、リーダーとして忙殺されていた私に対して同僚のマネージャーがくれた一言が 牧野さん、ダメですよ。手を後ろに組んじゃいましょ。 でした。つまりは、 「現場の仕事に手を出すな」 ということ。 プレーイングマネージャーよろしく現場の仕事もこなそうとするのをやめたんです。 自分がやったほうが早い、というときでもやらないようにしました。 現場の仕事に手をつけるとどうしてもそちらが優先になってしまう。すると、リーダーとしての仕事はみんなが帰ってから。 最初のうちはよくても、だんだんと仕事が回らなくなってくる。 そうして知らず知らずのうちにチームを危険な状態に近づけていく… 同僚からのこの一言をもらったときまさに私のチームはそんな状態でした。 それ以来、「手を後ろに組む」を心がけるようにしています。 あなたは、手を出しています?それとも、手を後ろに組んでいます?

リーダーにとって最悪のこと

リーダーにとって最悪のこと

休暇を取ったときの職場へのおみやげについて前回は書きました。 コンサルティング会社時代、メンバーに対しては、休暇中に出かけても職場へのおみやげは買ってこないように指示していました。 私自身も休暇をとって旅行に行ってもおみやげを買うことはありませんでした。 休暇の長さは、土日を含めて9日間取ることが多かったように思います。GWは祝日の並びがよければ、それ以上。 他のメンバーとお互い重ならないように休暇をとって、プロジェクトの進行を妨げないようにすることは当然です。 マネージャーの私が休みを取るとその間、チームはリーダー不在となってしまいます。 休みを取るためだけではないですが、私にとってチーム作りの理想形は「自分がいなくても仕事が回る」ということ。 プロジェクトごとにチームメンバーは変わるりますが、プロジェクトでも「自分がいなくても仕事が回る」を目指していました。 そのためには、自分がやっている仕事内容とその状況はすべてオープンにして、メンバーにわかるようにしておく。 もちろん、人事・評価に関わることはそういうわけにはいきませんが、それ以外はすべて。 メンバーにもそのように伝えていました。 一つには、人を育てるのが目的。新人、中堅といったレベルを問わず、マネージャーがどんな仕事をしてるのか直接見て学んでもらおうと思っていました。見て覚えろ的な職人気質の教育法でしょうか。木工職人だった私の父親譲りなんですかね。 とはいっても「牧野さんがしてるその仕事、 それは何のためにしてることですか」「牧野さんがそう判断したのは どうしてですか?」とか聞かれれば、ちゃんと説明していました。 もう一つには、自分の代わりを一時的にでも務まる人を用意しておくため。 そういう人がいれば、自分も安心して不在にできるし、お客さんも安心しますよね。 「牧野さんと〇〇さんが交代で休むの? であれば、いいですよ」って感じです。 メンバーからも、「牧野さん、大丈夫ですよ。 休暇、楽しんできてください」 休暇を終えて出勤しても何事もなくプロジェクトが進んでいるのはちょっとさみしい気もしますが。 ドラッカーは言います。 リーダーにとって最悪のことは、辞めたあと組織ががたがたになることである。「非営利組織の経営」 リーダーが抜けたとたんに動けなくなる組織を作ったリーダーは最悪ということでしょう。 さらにドラッカーは続けます。 それはリーダーが単に収奪するだけだったことを意味する。何も作り上げなかったことを意味する。「非営利組織の経営」 ガーン。何も作り上げなかったに等しいそうですよ。 社長がいなくても、ちゃんと回る会社にしてますか?組織を作り上げるお手伝い、しますよ。

おみやげ禁止

おみやげ禁止

地元の子どもたちが修学旅行へ行くと両手に一杯のお土産を抱えて帰ってきます。 修学旅行が近づくとおじいちゃん、おばあちゃんをはじめ、たくさんの親戚の人たちが餞別を渡すんだそうです。ですから家族はもちろん、餞別をいただいた人たちへのお土産も買うのでいっぱい抱えて帰ってくることに。「お前んとこは沖縄に親戚がいないから 子どもたちが寂しい思いするだろ」とウチの子供たちが修学旅行の時期になる度に餞別を持ってきてくださるご夫婦がいました。本当にありがたいことです。(K高の卒業生さんはわかりますかね? ピ○○のオッチャンとオバチャンです) 沖縄で最初に勤めた会社でも職場へのお土産をみなさん買ってきました。休みをとって旅行に行ったわけでもなく週末にどこか出かけてきただけでもお土産を持って出勤される方が多かったですね。だから休憩室にはいつも誰かのお土産のお菓子がありました。 一方で、東京で働いていたとき。自分の部署やチーム対しては休暇で旅行へ行ったり帰省した際には職場へのお土産は買わなくていいと指示していました。 なぜか。 一つには、お土産を買う買わないは本人の自由ですから買ってこないからといって何ら問題ないことを全員に明示するため。お土産は買ってくるものという暗黙のルールを作らないためでもあります。 もう一つは、仕事を忘れてリフレッシュしてほしいから。 「職場へのお土産を買わなければいけない」ということを頭の片隅に置きながら休暇を過ごして欲しくなかったからです。 お土産を買うために予定を変更したり帰り際に買い忘れていたことに気づき慌ててお土産さんを探し回ったり。さらには、何を買おうか、いくつ買えばいいのか、と思い悩んだり。逆にストレスに感じる人もいると思います。 もちろん、「休み中にキミに連絡とらなくて済むように 仕事を片付けておいてね」というのも欠かせませんが。 これはいい悪いの問題ではなくどちらが社員さんが働きやすいか。 それぞれの会社さんの都合に合わせて考えてみてはいかがでしょう?