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単なる数値目標だけじゃ、人は具体的に動けない

単なる数値目標だけじゃ、人は具体的に動けない

「今年の売上目標は対前年比10%増!」のような目標を立てている方、いませんか?その目標の立て方で毎年達成はできていますか? 社長さんからそのような目標を提示された社員さんは、どうやってその目標を達成するのか具体的な行動に落とせるのでしょうか? 月末近くになって、対前年同月比10%に届きそうにないとわかると「がんばって売りましょう!」「店頭でお客様に声掛けしましょう!」「外回りを強化しましょう!」のように普段やっていることを「もっとガンバル」的なモードになっていませんか? なぜでしょう? 「売上」のような具体的な数値の目標であっても、まだまだ大きな塊のようなまとまった指標だからです。 気の遠くなるような高い目標も、手の届きそうな細かな目標に分解してやるとやるべきことが見えてきて達成しやすくなりますよね。 同じように、大きな塊の指標も小さな塊の指標に分解してやることで、「もっとガンバル」なんてことしなくてもやるべきことが見えてくるはずです。

現場の業務を変えるだけでなく、経営者の業務も変える

現場の業務を変えるだけでなく、経営者の業務も変える

前回は、システムを導入するのなら「捨てるべき業務は捨て、変えるべき業務は変え、加えるべき業務は加える」ということをしっかりやらないと、システムの導入目的は実現できないし、効果も現れない、というお話をしました。 さらにいえば、この事例でいうと、システム導入に際してデータ集計業務を、廃止したり、変更したり、追加したりしても、ただそれだけでは定着しません。 現場の業務を変えるだけでなく、経営者の業務も変えないと。 システム導入によって精度が上がった数値、さらに細かく見れるようになった数値、新たに見れるようになった数値、こうした数値はただ集計させるだけでなく、何か目的があって必要とした数値のはずです。 であれば、その数値目標を示し、定期的に報告してもらい、チェックし、改善策を考え、指示する。これがなければ定着しませんし、これが経営者の仕事ではないでしょうか。

変えられなかった仕事のやり方

変えられなかった仕事のやり方

販売システムを導入したものの、すべての売上がこのシステムに入力されていなかったという事例で、こうしたことが起きる原因として考えられる理由は以下のようなものでした。(→参照)・目的が小さかったか、目的を忘れてしまった・システムの導入に合わせて仕事を変えなかった 多くの中小・小規模企業のシステム導入の目的の一つには省力化があり、省力化される業務については業務の変更がなされますが、省力化されない業務、この事例では直営店の外商取引と卸売部門の委託販売はシステムへ入力するように業務の変更がされず、これまでの仕事のやり方がそのまま残されました。 省力化の他にも、データを集計して分析し、対策を立てることで売上の向上につなげるというのが販売システムの導入の大切な目的でもあるはずです。 この会社では、本来なら販売システムからデータを取り出して集計・分析するように業務を変えなければなりませんが、慣れているからと従来のやり方を変えませんでした。 だから、集計・分析の段階で外商取引と委託販売の売上データがシステムに入っていなくても困ることはなく、その発見までに一年という時間が経過することになってしまったわけですね。

目的のために捨てる業務、変える業務、加える業務

目的のために捨てる業務、変える業務、加える業務

前回の続きです。 この事例の会社が販売システムを導入する目的が「データを集計して分析し、対策を立てることで売上の向上につなげる」ということであれば、それを業務として組み込まなければ意味がありません。 システムを導入すると、導入前よりも細かくデータを貯めることができます。そうするとこれまでは精度が粗かったデータも細かく見ることができますし、いままでは見ることができなかったデータも見れるようになります。 そこで、・システムの導入で不要になった集計業務を廃止して、・データの集計を細かくできるようになった業務を変更し、・新たに見れるようになったデータを集計する業務を追加するということをしなければなりません。 システムを導入するのなら「捨てるべき業務は捨て、変えるべき業務は変え、加えるべき業務は加える」ということをしっかりとやって、定着させなければシステムの導入目的は実現できませんし、もちろん効果も現れません。 でも、これを定着させるにはさらに…

チップをすべて賭けるか?

チップをすべて賭けるか?

大塚家具がヤマダ電機の傘下に入ることになりました。 高級家具を会員制で販売するというスタイルを確立して成長した大塚家具ですが、経営方針を巡る対立から創業者である父の勝久さんは会社を追われ、娘の久美子さんが経営権を握り、それまでの会員制を捨てて、店舗スタイルの転換を進めました。 「客層を落としてはダメ。価格を下げたら二度と戻れなくなる」と当時父の勝久氏はテレビの取材に答えていましたが、その言葉どおりニトリやイケアとの競争に巻き込まれ2016年から3期連続の最終赤字。絶えず資金不安を抱えながらスポンサー探しに追われ、ついに51%の株式をヤマダ電機が取得し、大塚家具はヤマダ電機の子会社となりました。 一方、父勝久さんは、従来の大塚家具のスタイルを堅持した「匠大塚」を創業し、順調に業績を伸ばしています。 高級家具という業界では他の追随を許さないポジションを確立しているのに、なぜ競争の激しい市場にカジを切るのか。当時、私は不安に思っていました。 これまで泳いでいた海とは違う海へ会社を丸ごと飛び込ませてしまい、うまく泳げなかったので会社ごと救助船に拾ってもらった。そんな構図が浮かんできます。 別会社をつくるなり、別会社を作らずとも別ブランドでやってみるということは検討したのでしょうが、そうした手持ちのチップの一部だけ賭けることをせず、久美子さんはなぜすべてのチップを賭けなければならなかったのでしょうか。